一部週刊誌やネット記事がこの話で年金不信を煽っていますが、その年齢はよく見ると2つ浮かび上がってきます。
「75歳」と「68歳」…片方は誤解なのですが、両者とも根拠のある数字なので、どういうことなのか見ていきましょう。
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目次
「75歳」は繰り下げ可能な最高齢の方向性
後期高齢者になる75歳まで年金受給が繰り下げられたら、どれだけ働かなければならないの? と思いたくもなりますが、75歳という年齢は、ここまで繰り下げ可能にしようという方向性で検討されています。
現行制度(2018年現在)では、年金の受給開始年齢は70歳まで最大5年間繰り下げ可能です。
月あたり0.7%受給額を増額させることができ、5年繰り下げれば42%受給額を上昇させることができます。
もっとも最近では加給年金の受給要件を満たすような場合、繰り下げによりその分の加給年金がもらえなくなるなどのデメリットも広まってきました。ただ一般的には、75歳まで繰り下げられることで、42%を超える上昇幅も見込めます。
過去には「受給開始年齢が75歳に引き上げられる」と煽った記事もありますが、繰り下げの話と混同していると思われます。
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「68歳」が引き上げの本丸
一方で68歳であれば、75歳よりだいぶ下がりますが、こちらに関しては受給開始年齢の引き上げとして国が検討し始めています。
細かいことを言えば2018年4月11日、財政審の財政制度分科会という会合で財務省が示したという話です。
それ以前にも同会合では受給開始年齢を67~68歳に引き上げた海外の国が例示されており、この話は現実味を帯びていると考えるべきです。
海外の受給開始年齢
それでは、受給開始年齢67~68歳引き上げを予定している国とはどこなのでしょうか?
イギリス : 2046年までに68歳
ドイツ : 2029年までに67歳
確かにこれらの国で67~68歳に引き上げが予定されているとなると、検討課題に上がってもおかしくはないです。
アメリカやドイツでは、2018年現在50歳ぐらいまでの人が、67歳になってから年金をもらうことになります。
引き上げに至るのは時間がかかる…?
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ただ少子高齢化が著しいと言われている日本でも、65歳まで受給開始年齢を引き上げる際には困難が伴いました。
受給開始年齢引き上げはどの国でも国民の反発(最近ではロシアでの事例が報道されています)を生むものですが、その年齢まで雇用が求められる産業界の反発は、財界に支えてもらいたい与党の政治家にとっても頭の痛い話です。
65歳引き上げを実現にこぎつけた時までと今後で状況が変わるのは、労働者の人手不足です。
60代前半の雇用・賃金を巡って紛争が目立つ現状から考えると時間はかかるでしょうが、65歳以上の雇用が進んで来れば、68歳引き上げに関する国会審議から法改正にまで動くことも考えられます。(執筆者:石谷 彰彦)