国税庁が先日、年内にも仮想通貨の確定申告をより行いやすくするための環境整備を進める方針であることを明らかにしました。
仮想通貨投資家の中には、今年2~3月の確定申告で大変な思いをした方が少なくありません。
次の確定申告はラクになるのでしょうか。
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仮想通貨の確定申告で大変なのは「取得価額の計算」
仮想通貨に関しては、次のいずれかが行われている場合、その利益について確定申告を行わなければいけないこととなっています。
(2) 仮想通貨を他の仮想通貨と交換し、利益が出た場合
(3) 仮想通貨でモノやサービスを購入し、利益が出た場合
(1)については取引所での売買をイメージしていただければそれほど難しくはないかと思います。
(2)と(3)についてはイメージしにくいかもしれません。
特に(3)については、仮想通貨を日本円と同じような感覚で使い、モノやサービスを購入するからです。
(2)と(3)については、「手持ちの仮想通貨をいったん売却して日本円に換え、その後、その日本円をもって他の仮想通貨やモノ・サービスを購入した」という風に考えます。
そして、仮想通貨の取引による利益は原則「雑所得(規模によっては事業所得)」に該当します。
このときの取得価額は移動平均法(毎年継続適用するなら総平均法もOK)で計算します。
仮想通貨の確定申告でもっとも大変なのがこの取得価額の計算です。
というのも、取引所ごとにデータの形式が異なるため、計算がしにくいのです。
また、複数の仮想通貨取引所を使っている人はそれぞれの取引所での売買をピックアップしなくてはならないため、トレードの回数が多い人ほど、時系列に整理して取得価額を計算するのに手間をかけることになります。
そのため、申告期限ぎりぎりまで大変な思いをした人が少なくありませんでした。
国税庁がいうところの「確定申告の簡略化」とは
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では、このような状況について、国税庁はどのように簡略化するというのでしょうか。
現時点で分かっている範囲だと、次のような点になります。
・ 納税申告に必要な書類の簡略化
・ 自動計算ソフトの周知徹底
ただ、この程度の内容が本当に簡略化につながるかは疑問です。
仮想通貨の所得や納税額の計算を自動化されるとしたら、会計ソフトの機能に自動計算機能をつけるということなるかと思うのですが、事前に取引データ(CSV)を整理しておくなどの必要があります。
また、ほとんどのソフトは「移動平均法」、「総平均法」のいずれかで損益計算をすることとしています。
そのため、どちらがより節税になるかの比較はできません。
さらに、民間の自動計算ソフトも完ぺきではなく、仮想通貨の種類や取引所データによってはエラーになることもあります。
今後、どのように国税庁の議論と検討が進んでいくのかが不透明ですが、もしこの程度であるなら投資家の負担が激減するとは言えません。
そのため、仮想通貨の売買やペア取引、仮想通貨での購入などを行っている人は、国税庁の検討をあまり期待せず、地道に記録をつけていくのが得策ではないかと思われます。(執筆者:鈴木 まゆ子)