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子どもが巣立ち、残った夫婦
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数年前、子どもが就職して家を出ていきました。
子どもの巣立ちはとても喜ばしいことなのですが、残された夫と私は、安堵しつつもなぜだか少し緊張していました。
とうとう自分たちの老後と正面から向き合うタイミングなのだと悟り、呆然としたからです。
これまでは、
でした。
お金をためるのも使うのも、基本的に子どもの進学を目安にしていました。
これからは夫婦単位でお金をためて、使う
夫は52歳。家のローンが終わるのは60歳、遅くとも65歳までに現役を引退する予定です。
これから老後の計画を詰めていくなら、あまりのんきに構えてはいられません。
将来のための貯金は結婚以来ずっとしていますし、年金もちゃんと納めてきました。
個人年金と共済年金も積み立てています。
問題は、せっかくためてきたお金なのに、何にどれくらい使うのかをまるっきり決めていないことです。
いつの間にか食い違っていた夫婦の将来像
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ちょうど最近、お互いの親族が立て続けに亡くなったり、介護付き施設へ入居したりと、否が応にも老後について考える機会が増えています。
ほとんど初めて、真剣に老後計画について話し合った夫と私は、夫婦としての将来像があまりにもかけ離れていることにがくぜんとしました。
新婚当初、夫は沖縄に移住して終の住処を見つけたいと言っていたはずなのに、現在はすっかり別な老後計画に変化していました。
夫の考え
・ 60歳で家のローンを支払い終えたらすぐに売却
・ 中古の一戸建てを全国にいくつか購入
・ 各地の家を拠点として、全国を旅行しながら暮らす
・ 使ってない家は遊ばせておかず、民泊業者に管理を任せる
いつの間にか計画を変更していたのは夫だけではありません
新婚当初、シンガポールで老後を過ごすのが夢だった私も、現在はシニア向けサービス付き分譲マンションに入居することを検討しています。
夫婦によっては、ここでケンカになることもあるでしょう。
我が家の場合は、あまりにも見事に想像と違ったので、顔を見合わせ笑ってしまいました。
さあ、夫婦ミーティングを始めよう!
夫婦ミーティングのルールは、
ことです。
夫の老後計画の根拠
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について説明してもらいました。
日本では、増加する空き家が年々問題視されています。
空き家は犯罪の温床になりやすく、もし災害時に倒壊すれば、近隣住民にとっては脅威です。
したがって、国は空き家対策に積極的になっており、老巧化したまま放置される空き家の増加を防ぐため2015年「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しています。
売るに売れない空き家に困っている所有者のためには、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」などの特例措置があります。
空き家の増加に困っているのは自治体も同様で、ほとんどの自治体に空き家活用の助成金や補助金があります。
というのが夫の言い分です。
最初は、「家を何軒も所有するなんてぜいたくでしょ?」と感じた夫の老後計画ですが、案外理にかなったものでした。
私の老後計画の根拠
根拠は、夫婦どちらかの体が不自由になったとき、老老介護で破綻するのが怖いからでした。
自分たちでリフォームするにしても、バリアフリーには国からの補助金制度があります。
地域の活性化を兼ねて、地元業者ならバリアフリーに限定せず、リフォーム全般に補助金を出すという自治体もあります。
戸建てのバリアフリー環境が約束されるのなら、あえてマンションに執着する意味は、あまりないように思えます。
我が家の夫婦ミーティングは今も続いています
当面の課題は、
です。
民泊に関する法的な決まりごとは非常に変化が激しく、なおかつ自治体によって温度差があり過ぎます。
例えば、大阪のように民泊を歓迎している自治体がある一方、北海道のように移住は歓迎だけれど民泊はあまり広まってほしくないという自治体もあるのです。
・ 民泊業が認められるように中古住宅をリノベーションするのと、夫婦のためのバリアフリーリフォームは両立するのか?
・ 民泊に好意的な自治体と、夫婦が暮らしたい土地は一致するのか?
どんどん課題が明確になっていきます。
ミーティングで老後不安が解消
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正直もう考えるのが面倒になって、
と言いかけることもありますが、これからも、食い違いはその都度夫婦ミーティングしていくでしょう。
夫婦の老後計画がおおよそ一致したことで、行きたい旅行先や暮らしたい土地の話題が格段に増えたのは確かです。
老後保障や補助について詳しくなったおかげで、老後破産や貧困老人など、やみくもに不安をあおる巷(ちまた)のウワサに踊らされることもなくなりました。
「私たちどうして貯金しているんだっけ?」今なら迷わず、夫婦そろって「老後のため!」と自信を持って答えられます。(執筆者:白戸 春)