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自身で感じる「備えること」の大切さ

私は40代に入り、今まで使ったこともなかった医療保険やケガの傷害保険を請求することを経験しました。
足首の捻挫と、椎間板ヘルニアの治療で整形外科に通う日々。
保険を販売する立場から常々お伝えしてきたことを、自身が体験することで、より現実的なアドバイスができるようになりました。
大病を患うかどうかは分かりませんが、生きている間の万が一リスクに備えることはとても重要です。
今回は保険の中でも一生涯お世話になる医療保険について、上手な加入ポイントをまとめてみました。
生きている間の万が一リスクを考える
保険でカバーできる万が一リスクは経済的な補てんです。
医療費、入院費と言った実費はもちろん、収入減や遠距離の通院を余儀なくされた場合などオプション的に必要となってくる経済的なリスクを考える必要があります。
なお日本では高額療養費制度を利用すれば、月100万円かかったとしても実質自己負担は9万円程度に押さえられます(公的医療保険の対象のみ)。
今年就職したばかりで実家から通っている方と、子供3人を養う自営業の方では医療保険の保障内容には違いがあります。
しかし、ベース(基礎)となる部分は共通であり、オプション(追加)部分を経済的なリスク度合いに応じて付け加えることを実践してみましょう。
ベース(基礎)部分は、終身医療保険がベストチョイス
医療に関する保険料(掛け金)は、年齢が若ければ同じ保障内容でも安く、60歳を越える辺りから急激に高くなります。
これは単純に保険金を請求する確率が高くなるからです。
80歳になった時の自分を想像することは難しいかもしれませんが、今の備えが一生涯自分を守ると思って、1日入院3,000円からでも良いので終身保障型の医療保険に加入しましょう。

保険料の支払期間
また終身医療保険に加入する際は、保険料の支払期間によって負担する保険料が変わります。
一生涯保障ながら60歳で払い終わる場合や、一生涯支払う場合も選できます。
もちろん支払期間が短いほうが保険料負担は高いのですが、65歳までには払い終わる方法を選択すべきです。
年金生活になって、年金から保険料を支払うことは現実的ではありません。
オプション(追加)部分も含めた保障内容は負担する保険料との兼ね合いで決まりますが、第1に押さえるポイントは、最低限の一生涯保障を短い支払期間で確保することですね。
先進医療特約や三大疾病特約などに加入するかは、年齢別の保険料を考慮しながら検討しましょう。
年齢が若ければ、保険ではなく積立貯蓄で準備することも一考です。
医療保険は単独主契約で加入

死亡保障の生命保険とは別に、医療保険は単独主契約で加入しましょう。
医療保険は一生涯、繰り返し利用します。
その時々で医療保険も見直さずに済むようにします。
生命保険に医療特約で加入しないことをお勧めします。
医療保険に貯蓄性は不要、掛捨てで良い
生命保険に貯蓄性は必要だと考えますし、生命保険は家族構成や年齢によって見直しが必要です。
5年毎に保険請求をしなければ「お祝い金」なるボーナスがでる医療保険を見かけますが、単に加入者から多めに預かった保険料をお返しする仕組みなので、得はありません。
銀行預金より若干高い運用利回りが付く程度で、知れています。
もしその積立をする余裕があるのなら、NISA口座で積立投信を購入することをお勧めします。
しかも保険請求を1度でもすればもらえないので、免責金額を設定していることにもなり、万が一リスクに備える保険の意味がありません。
「実損填補型」の医療保険が出現
1日入院3,000円や5,000円と言われても、それでどれぐらいカバーできるかはケースバイケースですよね。
そんな時には日額型ではなく、かかった実費を全額支払ってくれる実損填補型医療保険が出ています。
AIU、富士火災、ソニー損保が販売しています。
共済保険で上乗せするのがお得

終身医療保険は民間保険会社での取扱いですが、働き盛りの年代には各都道府県が運営する共済保険を活用すると効果的です。
特に医療共済は60歳まで年齢に関わらず、保障内容および保険料が一律で、入院・手術・ケガ通院・先進医療手当も保障。
また場合によっては保険料の割戻もあります。
東京都民共済の場合、平成29年度割戻金実績は39%でした。
・ 実質1,220円/月(1万4,640円/年)
・ 1日1万円の入院保障が上乗せできる
この安心感は大きいと思います。
自営業者の方はサラリーマンのように有休や安定収入がない分、収入保障への備えも必要ですが、こちらは損害保険の分野です。
信頼できる方に、各自のリスクを計ってもらうことから、保険の見直しを始めてみてはいかがでしょうか?(執筆者:中野 徹)