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高利回り「金融商品」である国民年金
国民年金は非常に有利で、高利回りな「金融商品」です。
社会保障制度である公的年金のひとつである国民年金を、「金融商品」などと言ってしまうのは不謹慎かもしれません。が、事実なんです。
実際に損得勘定を検証してみます。
ここでは、女性のケースを取り上げます。(数値は、すべて2018年8月現在で最新の数値で試算します)
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実際に、「高利回り」を試算してみると
まず、平成30年度の国民年金保険料は、ひと月1万6,340円です。
国民年金保険料は、原則的に20歳から60歳まで40年間支払います。
つまり、40年間で1万6,340円を480か月分(40年間分)支払うことになります。
総額で、784万3,200円になります。
一方、40年間、モレなく保険料を支払った人には、満額の国民年金が支給されることになります。
平成30年度の満額支給額は、年額77万9,300円です。国民年金の支給開始は65歳からです。
公的年金は、一度もらい始めると死ぬまでもらえます。
女性の最新平均寿命は、最新である2016年の数値で87.14歳。この間、ずっともらえます。
受け取る年金総額は、
となります。
投資に例えて言えば、784万3,200円の投入資金が1,725万3,702円になって、かえってくることになります。
投資金額に対して、約2.2倍のリターンがあります。男性の場合でも、約1.58倍のリターンがあります。
なぜ、こんなに「高利回り」が実現するのか?
銀行におカネを預け入れしても、年間で「誤差」程度の金利分しか増えない超低金利の日本で、こんなにまで安全確実で有利な「金融商品」が実現する理由は、税金が投入されているからです。
平成30年度満額支給額の77万9,300円のうち半分は、税金です。
現状の国民年金制度は、本来の社会保険制度を逸脱したカタチで運営されています。
1円も保険料を支払わなくても、半分はもらえます
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仮に、何らかの事情で手元におカネがなく、どうしても年金保険料が支払えない場合には、「納付免除制度」が使えます。
免除を受けた期間については、後に、余裕ができてから支払うことも出来ます。
が、仮に記録が「免除期間」のままで残ったとしても、年金受給額を計算する場合には、「半分は受け取れるもの」として計算されることになります。
例えば、仮に20歳から60歳までの間、すべてが「免除期間」として認定されれば、満額の支給額である77万9,300円の半分はもらえることになるわけです。
つまり、38万9,650円。支給額の半分が税金というのは、こういうカタチで具体化するわけです。(執筆者:金子 幸嗣)