2018年に入って米中間の貿易摩擦が熾烈さを極めています。
事の発端はアメリカが対中国の貿易赤字を是正するために、中国製品に大幅な関税を掛けたことでした。
その後も報復合戦はエスカレートして、8/23にはアメリカが160億ドル(1兆8千億円)相当の追加関税を課すことを決定しました。
どうやらトランプ政権は本気で貿易不均衡を是正するだけでなく、本格的な中国封じ込めに動いているようです。
今回は諸刃の剣とも言うべきトランプ政権の行動と貿易ゲームの行方を、両国の株価チャートを使って予想してみたいと思います。
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目次
S&Pチャートの動き
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S&P指数はトランプ政権が誕生してから、2,000ドル ⇒ 2,800ドルと4割近い上昇をして、現在は新高値付近にあります。
アメリカは自国の好調な経済と株高を利用して、中国に対する熾烈な貿易戦争に打って出た感があります。
トランプ大統領が3/22に通商法301条にサインして、最初の対中制裁を発動した時には株価も大幅に下落しましたが、直後に底入れしてそのあとは新高値圏まで上昇しました。
米中の貿易戦争は市場を揺るがすような懸念材料のはずですが、最近の株式市場を見る限り、それをものともせず上昇しています。
上海総合の動き
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一方、中国の上海総合指数は2018年1月の高値から大幅に下げています。
特に顕著なのが、アメリカの対中制裁が始まったあとの動きです。
完全に相場が崩れ、8月現在は、ついに2016年初頭につけた安値を下抜いてこようとしています。
まさに底なしになってしまう可能性もありますね。
経済の状態や株価の動きを見る限り、アメリカの好調さと中国の不安定さは対照的です。
最近の中国経済を分析して、ついに中国経済崩壊かという少し極端な意見も出始めています。
二極化する世界の株式市場の動き

このようにNY市場のように新高値に近い株式市場もあれば、中国の上海総合指数のように新安値を切りそうなところもあります。
右肩上がりの市場としては、アメリカ、日本、インドなどがあり、中国、香港、韓国などは逆に安値に向かって下げ続けています。
現状ではNY市場の優位性は揺るぎないですが、あまりに中国市場やトルコリラなどが下落しすぎると、それが世界経済にとって不安材料になって、好調なNY市場にも跳ね返ってくるでしょう。
しばらくは現在のトレンドが続くでしょうが、いつ反動が起き始めるのかについては注意深く見守る必要があります。(執筆者:岡 隼人)