電子申告により確定申告を行うことで、給与所得や公的年金の源泉徴収票などを添付せずに申告を行うことが可能になります。
ただ電子証明書つきのマイナンバーカード(マイナンバー制度が始まる前は住基カード)を発行し、カードリーダも用意して対応ソフトウェアをインストールしなければなりませんでした。
しかし2018年(平成30年)分を申告する2019年(平成31年)より、この煩雑な手続きが一旦不要になります。

目次
マイナンバーカードなしで電子申告可能に
電子手続きを行うためのマイナンバーカードではあるのですが、電子申告は2004年に開始されたにも関わらず、2018年でも電子送信による個人の確定申告は低調なため、マイナンバーカード無しで電子申告できる方式が用意されます。
ID・パスワード方式で電子申告可能に
電子申告を行う場合は、オンライン送信・確定申告会場での申告を問わず、ID(利用者識別番号)とパスワードが当然のことながら必要となります。
税務署に身分証を持参して本人確認が行われ、「ID・パスワード方式の届出完了通知」が発行されれば、2019年以降はID・パスワードのみで電子申告も可能になります。

なお2018年に確定申告会場で申告を行い、マイナンバー入力の際に本人確認が行われ届出完了通知を受け取っていれば、改めて税務署に出向くこと無く、マイナンバーカード無しの電子申告が可能になります。
ただし今のところ時限つきの予定
ただしこの方式は長期的に続ける方針ではなく、2021年までを目途とした時限付きの措置です。
マイナンバーカードやICカードリーダが普及するまでの暫定的な対応という位置づけで、これらを所持しない申告者にも電子申告のメリットを理解してもらい、所持してもらうのが目的のように解釈できます。
普及が遅れれば延長の可能性もありますが、いずれ廃止されるものと頭に入れておいたほうがいいです。
スマホ・タブレットにも対応
国税庁サイトの確定申告書等作成コーナーで、2019年以降はスマホやタブレットを使った電子申告も可能になる予定です。

スマホ・タブレットでの確定申告は2018年現在では、書面の確定申告書の作成までは可能ですが、電子申告には対応していませんでした。
若年層を中心にパソコンを持たずスマホでネット接続している人も増えていますので、電子申告を普及させるためのもう一段の措置といえます。
パソコン・スマホ・タブレットいずれであっても、確定申告書等作成コーナーで書面の確定申告書が作成できるのであれば、ID・パスワード方式での電子申告はハードルが低く、書類の添付を省略できるメリットもあるので考えてみてください。
なお書類の添付は省略できても、5年間の保存義務はあります。(執筆者:石谷 彰彦)