昨今、老後準備の制度がますます充実してきています。
今回は、企業型確定拠出年金のマッチング拠出とは逆になるような制度であるiDeCo+(イデコプラス)についてお話したいと思います。
マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金の加入者(従業員)が自分で掛金を上乗せして支払うことができる制度のことです。
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目次
iDeCo +(中小事業主掛金納付制度)とは?
iDeCo+(イデコプラス)とは愛称で、正式名称「中小事業主掛金納付制度」といいます。
まだあまり知られておりませんが、2016年に法改正されて2018年5月から制度がスタートしております。
確定拠出年金には、そもそも企業型と個人型がありますが、今回の制度は個人型にくっついた制度で、中小事業主は従業員が任意で加入しているiDeCo(個人型確定拠出年金)に掛金を「プラス」して支払うことができるようになりました。
これにより従業員の老後の安心を中小事業主が後押しできることになります。
対象となる中小企業の要件とは?
正式名称に「中小事業主」とあるように対象となるのは、中小企業です。
3階建てとも言われるような老後準備制度の整った大企業は対象外となります。
では、その対象となる中小企業の要件ですが、下記の(1)~(5)の要件を全て満たす必要があります。
(2) 企業型確定拠出年金を実施していなこと。
(3) 確定給付企業年金を実施していなこと。
(4) 厚生年金基金を実施していなこと。
(5) 従業員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働組合がないときは従業員の過半数を代表する者に中小事業主掛金を実施することについて同意を得る(労使合意をする)こと。
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加入対象者の要件とは?
次に加入対象者の要件ですが、それは個人型確定拠出年金(iDeCo)に自分で加入している従業員で、事業主掛金を支払うことに同意した人になります。
(個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者とならない従業員に対して、中小事業主掛金のみを拠出することはできません。)
iDeCo+は、冒頭でもお話したように個人型にくっついた制度ですので、そもそも個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入していなければなりません。
掛金設定・納付のしくみは?
加入者掛金と中小事業主掛金の合計額は、月5,000円以上2万3,000円以下です。(加入者が年単位拠出を行っている場合は、「5,000円 × 拠出区分の月数」の金額以上、当該拠出区分の限度額以下)
加入者掛金と中小事業主掛金それぞれ1,000円単位で決めることになります。
一定の資格(職種、勤続期間)を定めた場合同一資格内において、同一の掛金額とする必要があり、特定の人に不利になるようなものはいけません。(一般社員と役員などで差を設けるなどは可能)
その納付方法は、加入者掛金及び、中小事業主掛金について会社(事業主)が取りまとめて支払いをします。
(任意加入となる個人型確定拠出年金(iDeCo)自体は、自分の銀行口座から掛金を引落とすことも、会社での給与天引きとすることも可能ですが。)
iDeCo+(イデコプラス)の事業主と従業員のメリット・デメリットとは?
事業主側
【メリット】
掛け金を全額損金に算入できて新たに節税ができること。
従業員の福利厚生を充実することで求人や定着率にいい影響が考えられる。
その他の制度導入に比べれば、まだコストや手間がかからない。
【デメリット】
労使の合意を取り付ける手間がかかる。
導入後に掛金は事業主が取りまとめるため(給与天引き)、事務負担は増える。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入しない従業員への対応が難しい。
従業員側
【メリット】
事業主が上乗せしてくれる分は掛金の負担がない。(事業主拠出分について、その従業員の給与額は増えませんから所得税、住民税および社会保険料が増える心配もありません)
【デメリット】
個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入は任意なのですが、強制力が働く可能性があります。
また、加入しなかった場合に待遇差を感じる可能性も考えられます。
まだまだ制度自体が始まったところなので評価が難しいのですが、これから自社に上乗せの年金制度を導入しようと考えていらっしゃる事業主の方にはいい情報ではないかと思います。
何故なら、これまでの制度導入に比べればハードルがかなり低いからです。
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詳細につきましては、サイトや厚生労働省iDeCo+の新制度のお知らせを参考になさってください。(執筆者:小木曽 浩司)