2014年に開始となった少額投資非課税制度(NISA)。
いよいよ今年、2018年12月を以て、制度開始初年にNISA枠を利用して購入した商品の非課税期間が満了します。
「5年も前に買ったものなんて覚えていない」とか、「金融機関にやったほうが良いと言われて買ったものがそのままになっている」という声もちらほら聞こえきております。
今回は2014年のNISA利用商品を保有している方向けに、今年末までにやらなければいけないことをまとめました。
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目次
非課税期間満了時の選択肢
NISA枠を利用して購入した商品は、購入した年を含めて5年後の年末までに発生する売却益や分配・配当に対する課税がありません。
2014年1月~12月にした分に関しては、2018年12月末でその期間が終了するので、何かしらの方法で精算をしないといけないわけです。
その精算方法というのが大きく分けて3つあります。
(2) 商品はそのまま持ち続け、2019年以降は課税口座(特定口座)へ移管する
(3) 2019年のNISA枠へ保有商品を移管(ロールオーバー)する
という3つの方法です。
どれを選べば有利なのか、というのは場合によって異なるので、保有商品の損益状況等や今後の見通しで判断する他ありません。
それぞれの方法についてもう少し詳しく見てみましょう。
(1) 2018年12月末までに売却する
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もっともスッキリする方法です。
特に、現状の損益が満足できるレベルのプラスであれば、売却益に対しての非課税メリットを取って、「精算終了」とすることができます。
逆に、損失を出した状態での解約であれば、売却損発生時にはそもそも税金が発生しないので、非課税メリットがありません。
ただし、これまで受け取った配当金や分配金(投資信託の場合、「元本払戻金」ではない分配金)に対しては課税なしの状態で受取っています。
(2) 商品はそのまま保有し、来年以降は課税口座に移管
この場合、2018年末の段階で持ち値(買値)をいったんリセットして課税口座に移管します。
リセット時の損益がプラスでもマイナスでも、2018年末の価格を改めて適用して、残高を課税口座に移すことになるのです。
例えば2014年にNISA枠を利用して100万円で買った商品が、2018年末に120万円の評価となっていて、2019年以降は課税口座に移管、2020年に140万円で売却したとします。
2018年末時点では20万円の益出しとなりますが、NISAを利用しているので課税はありません。
2020年の売却時には、移管時の価格を持ち値としますので、140万円―120万円=20万円となり、20万円分の利益に対してのみ課税されるのです。
逆に2018年末時に損失が発生している状態で課税口座に移管、その後価格が回復して解約する場合は注意が必要です。
例えば2014年の購入時に100万円 → 2018年末時80万円の評価で課税口座に移管 → 2020年に100万円に価格が回復したので売却、という場合。
拠出額100万円に対して売却額100万円なので、一見すると税金がかからないように思えます。
しかし、課税口座に移管された時点で持ち値が80万円にリセットされているため、売却時には20万円の益出しとみなされるのです。
当然課税口座で売却するので、この20万円に対しては、20.315%の税金がかかります。
「それっておかしくない?」と思う方も多いと思うので、現在2014年NISA枠で購入した商品が含み損を抱えている場合には、には最後の(3)の選択肢も検討してみましょう。
(3) 2019年のNISA枠へ保有商品を移管(ロールオーバー)する
この方法をとるためには、2014年NISA枠を利用している金融機関と同じ金融機関に、2019年NISA枠が設定されていることが条件となります。
NISAを利用する金融機関は年ごとに変更できるため、途中で変更した方、あるいはつみたてNISAに変更されている方は要注意です。
ロールオーバーというのは、2018年で非課税期間満了を迎えてしまう商品を、2019年に新たに付与されるNISA枠を消化することで、もう5年間、非課税扱いのまま該当商品を保有し続けられる仕組みです。
この方法は、
「今も利益が出ているが、もっと価格が上昇すると思うので非課税扱いのまま保有し続けたい」
という場合に有効です。
ちなみに、2018年末時点の評価が2019年にもらえるNISA枠の範囲(120万円)を超えていても、全額NISA枠に移管できます。
要は非課税期間を延長する制度だと思ってください。
ただし、2019年NISA枠を消費する仕組みですので、来年新しい商品を非課税扱いで購入しようと思っている方は、ロールオーバーで消費した枠は120万円から控除されます。
ですから、新規投資とのバランスもよくよく考えて利用するようにしてください。
どれが良いかは状況次第
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非課税期間満了時の対応方法についてご紹介しましたが、どれが最良かというのは将来の価格次第なので、一概には言えません。
今後の見通しやご自身の相場観を元に選択してください。
2014年NISA枠内に商品を保有している方は、金融機関からお知らせ等が届いているかと思います。
何も手続きをしなければ「(2) 課税口座に移管」となる金融機関がほとんどです。
(1)か(3)を検討している方は届いているお知らせをよく確認するか、取扱金融機関に早めに問い合わせをして、手続きを実施するようにしてください。(執筆者:鈴木 みゆき)