日常生活での「リスク」って一般的には「危ない」という意味でつかわれることが多いのではないでしょうか。
少なくとも、良いイメージを持っている人は少ないと思います。
一般生活での「リスク」は「危険」なイメージです。
じつは、投資での「リスク」とは、良いイメージと悪いイメージの両方があります。
例えば「リスクが高い」というのは大きく値下がりする可能性と、大きく値上がりする可能性の両方が含まれています。
別の言い方をすると「損得をする幅」とか、「損得する可能性」のことを投資の「リスク」ともいいます。
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目次
リスクを見たら、心の中で3をかける
一例として、日本の国内株式に分散投資をした場合のリスクについて見てみましょう。
こちらで見る数字は、私たちの公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が出している数字です。
この想定している国内株のリスクはおよそ25%です(2016年時の資料を参考)。
これだけ見ると「ああ、リスクが値動きの幅を指していて、それが25%ということは、国内株式に分散投資をすると、全体では一年間にプラスとマイナスの方に25%くらい動く可能性があるのかな」という気がします。
その考え方は、あっている部分もありますし、違っている部分もあります。
というのは、普通に表記してあるリスクは「普通の年に動く幅(1標準偏差)を表しているようなもの」なのです。
「普段目にするリスクの数値は普通の年の値動きの幅」
「とても悪い年」つまり金融危機(例えばリーマンショック)時には「普通の年」以上に動いてしまう、ということ。
では、どのくらい動くのでしょうか?
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それは、リスクに3をかけた数字をイメージしていただくと、かなり近い印象になると考えられます(3標準偏差)。
つまり、先ほどの国内株式のリスクが25%だとした場合には、
「とても悪い年」には、25 × 3で75%程度の値動きの幅で収まる可能性がある
実際の想定される値動きの幅には期待リターンを加算して考えますが、入門的な知識としては、まずここを押さえておけば良いかと思います。
ですから、もし投資対象のリスクを目にしたら、心の中で3をかけてみてください。
そうすると、「とても悪い年」にどのくらい値下がりする可能性があるのかが見えてきます。
ちなみに先ほどの国内株式の場合は、「とても悪い年」には、(短期的に考えた場合)100あったお金が30くらいにまで減ってしまう可能性がある、という投資対象だ、と考えることができます。
リスクはおおむね「あてになる?」それとも「ならない?」
で、このリスクがあてになるのか? ならないのか? というと、「おおむね、あてになるだろう」というように考えられています。
この「値動きの幅」というのは、過去の値動きを統計的に分析して出した数値だからなのです。
天気で考えてみましょう。
天気予報でも「一年後の今日の天気や気温をバッチリ当てろ!」と言われても、正確には誰にも分かりませんよね。
でも、「1年後の最高気温と最低気温の幅を当てろ!」って言われたら、「平年・差の激しい年・かなり差の激しかった年」で、おおよそを出すことができると思います。
それは、予言ではなくて、過去数十年などの期間で、かなり暑かった日はこのくらいの気温で、すごく寒かった日はこのくらいだったと記録があります。
そういうデータを集めて、統計的に見ると年間の気温の幅はこのくらいだから、1年後の今日の気温の幅の予想はおおむねあてになる」だろうというイメージです。
あなたはどれくらいの損に耐えられるか? をまず知ろう
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話を投資に戻しまして
「なんかの役に立つの?」
という疑問が出てくるかと思います。
これが意外と役に立つのです。
どのように役に立つかと言いますと「すごく景気が悪い時、金融危機が起こったら、どのくらいまで投資対象資産が値下がりするか?」がある程度予想できてしまうのです。
もちろん、的中率は100%ではありません。
「おおむね、あてになる」程度ですので、過度の期待はできません。(※より重要なのは、組み合わせ・分散によってさらにリスクを下げることです)
不透明なことばかりの投資ですから、最低限「どのくらい損(得)する可能性があるのか?」を理解してから投資をするのも大切だと思います。
そうしないと、大きな金融危機が発生した時に慌てて「安値で売ってしまった」という最悪の事態を自ら実現してしまうことになりやすい、かもしれません。
以上(執筆者:佐々木 裕平)