ソフトバンクのIPO株に申し込みをした人は、ほとんど当選されているかと思います。
つい最近のニュースをみて、不安に思われている方もおられるのではないでしょうか。
今回は、現状と上場後の対応について考察してみたいと思います。
目次
ソフトバンク株の魅力は?
注目を集めたソフトバンク株の魅力は一体どこにあるのでしょうか。
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1. 短期的な値上がり益への期待
ソフトバンクに限らず、IPO株に対する短期的な株価上昇には、大きな期待が寄せられます。
2. 長期的な値上がり益への期待
ソフトバンクは携帯電話やスマートフォンなどの通信サービスや端末販売、その他ネットサービスを提供する会社です。
通信料などの安定的な収益基盤を背景に、売上における最終利益率は10%を超え、比較的高い効率で利益を生み出しています。
まさにソフトバンクグループ(9984)のドル箱と言える存在です。
2019年3月期の連結最終利益は前期比4.8%増の見込みですが、売上の伸びは年によってばらつきが見られました。
とはいえ高い収益力と安定的成長をする企業は十分に魅力的に映り、株価の上昇が期待されます。
3. 配当益への期待
ソフトバンクは配当性向85%程度を目安にすると明示しています。
今回の公募価格1,500円で計算した年換算の配当利回りは5%です。
KDDIの配当利回りは12月13日時点で3%、NTTドコモは4%ですので、同業他社と比較しても魅力がありますね。
懸念事項は?
1. 大規模上場
大規模のIPOの場合は、上場時にそれほど株価が上がらない傾向があります。
希少なモノほど価格は上がりやすくなり、大量生産されるものは価格が安いのと同じ、需要と供給の問題です。
2. 大規模な通信障害
つい先日発生した通信障害は各方面に影響を与えました。
ソフトバンクが使用しているエリクソン製の機器に問題があり、ソフトバンクだけでなくイギリスなど計11か国で発生したそうです。
総務省が「重大事故」と判断した通り、個人のみならず企業や公的機関にも大きな影響を与えたことは間違いありません。
今回のことで、通信会社は国を支える公的な側面を持つことが、あらためて認識されたのではないでしょうか。
今後ソフトバンクはエリクソンだけに頼らない、二次・三次の対応策に資金を投じなければならない可能性があります。
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3. 環境の変化
2019年10月には楽天が携帯電話事業に参入します。
政府からの通信料値下げ要求もあり、通信業界の環境はめまぐるしく変化しています。
各社2割から4割程度の通信料値下げを検討しており、これまでのような成長をし続けられるのかという懸念があります。
4. 中国製品への不安
アメリカと中国の貿易戦争が絡んでいそうな事件も起こっています。
格安スマホで存在感を示すファーウェイ端末への不安が広がりそうです。
各社販売しているメーカーなのでソフトバンクだけの懸念ではありませんが、上場前の状況にはあまり良い印象を与えるものではありませんでした。
携帯大手3社は基地局などの通信設備から中国製品を外すことを決定しており、今後の通信設備のコストが上がる可能性もあります。
懸念事項を踏まえてどう判断する?
短期売却狙いは難しそう
というIPOの王道手法は難しいかもしれません。
大規模上場である上に、通信障害やファーウェイの問題などのニュースが盛り上がりに水を差した状況となっています。
筆者は公募割れする可能性もあると考えています。
利益がでればラッキーと考えて、チャンスを逃さないように注意が必要だと思います。
長期的な値上がり益や配当狙いでも、無理をして公募で買うことはないかも
長期保有を考えるのであれば、公募で買っても良いのかなとは思います。
ただ先ほど申し上げた通り、公募割れの可能性もなきにしもあらずの状況だと思いますので、無理をしてまで買う必要はないと判断します。
購入された場合には、公募割れしても慌てないように心の準備をしておいたほうが良いかもしれません。
2019年は節目の年
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2019年は携帯業界にとって新たな1年となります。
通信料を下げても利益を出せる体質を、すでに作ることができているのかが問われる年となるでしょう。
ソフトバンクは、AIを活用して人件費を削減するなどの話も聞こえてきます。
通信料以外での収益源を確保できるか
あるいは携帯事業で新たな付加価値を生み出せるか
これらの有無が業績を左右することは間違いありません。
今回のソフトバンクの上場はソフトバンク自体に資金が入る公募(新株発行)ではなく、ソフトバンググループが保有するソフトバンク株の売出のみです。
上場によって直接的に資金を得るのはソフトバンクグループです。
ソフトバンクグループは得た資金を新たな投資に振り分けるとされています。
AIなどの先端技術に投資する企業に変わりつつあるソフトバンクグループの投資の成果が、ソフトバンクにも果実をもたらしてくれるのかどうか、ソフトバンクグループの動向に注視することが必要です。(執筆者:高橋 珠実)