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信用取引の維持率について
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信用取引は、現金や株を担保に株や購入資金を借りて取引をします。
担保の額に対して取引できる金額が法令で決まっており、約定代金の30%以上の担保が必要となっています。
つまり信用取引で100万円の株式を買う場合、30万円以上の担保が必要です。
ただし、証券会社によって必要な担保の率は違うので確認が必要です。
信用取引で特に気を付けるのは「維持率」
維持率は、確認した時点の建玉約定代金に対する担保の額の割合です。
証券会社によって最低の担保の維持率が違います。
取引をするときは維持率が30%以上必要でも、建玉がある場合の最低の維持率は20%などとなっています。
つまり、
ということです。
しかし、株価の変動に対応できるように、普段は50%位の維持率で取引をしていた方が良いです。
相場が急落すると信用取引はどうなる?
相場が急落するときにまず確認をするのが「維持率」です。
とくに株を担保にしている場合は担保の価値も下がるため、一気に維持率が低下することがあります。
余裕を持って取引していても、大幅な急落には注意が必要です。
買い建玉の場合
株価が下がると単純に評価損を抱えるだけではありません。
ここが現物取引との大きな違いです。
買い建玉に評価損が出ると、損失分は建玉に上乗せされます。
つまり100万円の買い建玉の場合、10万円の評価損が出ていれば110万円が買い建玉です。
株を担保にしている場合
担保価値の下落に加えて買い建玉が増えるため一気に維持率が下がります。
証券会社で決められた最低の維持率を下回ると追証が発生します。
追証は最低の維持率に回復する金額を証券会社に差し出す必要があります。
例え次の日に相場が回復して維持率が回復しても、金額が減ったり、なかったことにはなりません。
追証が発生した場合
現金を入金するか建玉を決済するなどして解消します。
現金入金の場合は良いのですが、建玉を決済する場合は、評価損を抱えている建玉を決済すると、損失分の入金が必要になるので要注意です。
相場が急落するときの対処法
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相場一度急落すると数日続くことがあります。
理由は機関投資家の損切や、プログラミング取引による損切、信用取引の投げなどです。
そのため、信用取引をしている場合は急落があったら数日は注意が必要です。
そして急落したらまずは第一優先をするのが現金の確保です。
銀行に豊富に預金がある場合は良いのですが、そうでないことも多いです。
まずは証券口座の中で現金が確保できるか考える必要があります。
株が担保の場合
担保の評価は前日の株価です。
つまり急落した日の評価ではなくその前の日になるため、急落した日の株価でおおよその次の日の担保の評価が計算できます。
そこからおおよその維持率も計算ができます。
証券会社によって維持率が30%を下回ると、最低の維持率になっていなくても担保に差し出している現金や株が動かせなくなります。
その前に現金などを担保から外しておきます。
例:急落した日の維持率が35%で、その日の株価からおおよその維持率を計算すると30%を下回る可能性がある場合
先に5%分の現金や株を担保から外しておきます。
そうすると、買い建玉などを決済して整理したときに損失分の入金に充てられます。
建玉も整理することで、維持率を回復できたりします。
担保から外した現金や株は無理に使う必要はありません。
これはあくまでもさらなる株価の下落に備えるためです。
急落が1日なので、相場も回復したら担保に戻すこともできます。
担保が動かせなくなっては何もできなくなるのを防ぐためです。(執筆者:成田 恵)