法人保険というものを、皆さんご存知でしょうか?
法人保険とは、終身保険や医療保険などの個人向けの保健商品ではなく企業(会社)向けの商品になります。
あまりなじみのない保険になりますが、経営者の方にとっては非常に重要になります。
また経営者でなくても、会社勤めしている人ならば知っておいて損はないのが法人保険です。
今回は、法人保険の中でもポピュラーである、逓増定期保険について詳しく説明します。
目次
逓増定期保険とは
逓増定期保険は、保険期間が経過するごとに保険金額が増加し、保険期間満了までに契約当初の保険金額から5倍まで増加する定期保険です。
保険金額が、契約当初と比べて5倍も増えるなんてすごいですね。
逓増定期保険の被保険者は経営者になります。経営者の万が一のことがあった時に、大きな保険金を受け取ることの出来る安心感のある保険になっています。
大きな死亡保障があることが逓増的保険の大きなメリットになりますが、他にも逓増定期保険には様々なメリットがあります。
逓増定期保険のメリット

この章では、逓増定期保険のメリットについて説明します。逓増定期保険のメリットは主に4つあります。
(1) 死亡保障
逓増定期保険のメリットの一つ目は死亡保障です。逓増定期保険は、経営者に万が一のことがあった時に大きな保険金を受け取ることが出来ます。
保険金をもとに事業の立て直しを図ることが出来ます。
(2) 退職金の準備
逓増定期保険のメリットの2つ目は、退職金の準備をすることが出来ることです。
経営者が勇退するときは、多額の退職金は支払われることが一般的です。この退職金の資金に、逓増定期保険を利用することが出来ます。
逓増定期保険は、一般的に契約して数年で解約した時の解約返戻金のピークが来るのでこのピークが来たタイミングで逓増定期保険を解約すれば経営者の退職金に充てることが出来ます。
(3) 節税効果
逓増定期保険のメリットの3つ目は、逓増定期保険には、節税効果があります。逓増定期保険の保険料の一部は損金として扱うことが出来ます。
保険の種類によって損金に出来る割合は違いますが最大2分の1損金計上することが出来ます。
例えば、毎年の保険料が2,000万円であれば、2分の1の1,000万円は「支払保険料」という費用項目になり、残りの2分の1の1,000万円が「前払保険料」という資産になります。
保険料を5年間支払った場合、5年後の貸借対照表には保険料積立金が5,000万円貯まります。
この保険は契約から5年で100%が戻ってくる設計と仮定すると、解約すれば解約返戻金は1億円になります。
そして、そこから前払保険料5,000万円を差し引いた5,000万円が、一気に帳簿上に現れることになります。
この5,000万円は、雑収入として益金に算入されます。
したがって、同じ年度に5,000万円の費用のかかる設備投資や退職金の支出があれば、この益金とぶつけることが出来るので結果として節税になるのです。
(4) 事業承継
逓増定期保険のメリットの4つ目は事業承継です。事業承継の時に、頭を悩ますのが自社株の評価です。
自社株は、資本金に関わらず利益を毎年度上げ続けているとどんどん株価は上がっていきます。
逓増定期保険の保険料は、最大半分損金計上することが出来るので結果的に利益を圧迫することになります。
しかも費用計上出来ますが、解約の時期を間違えなければ逓増定期保険はしっかり資産として残ります。
逓増的保険をうまく活用すれば事業承継に役立てることが可能になります。
逓増的保険のデメリット

メリットの多い逓増定期保険ですが、デメリットも当然あります。逓増定期保険の主なデメリットは2つになります。
(1) 早期解約は大きなリスクになる
逓増定期保険のデメリットの1つ目は、早期解約のリスクが高いことです。
逓増定期保険は、一般的に早期で解約してしまうと大幅に元本を割ってしまいます。
一時的に大きな利益が出たからといって無理な保険料で契約すると後々自分の首を絞めることになってしまいます。無理のない保険料で契約することが重要になります。
(2) 出口戦略によっては単なる税金の繰り延べになってしまう
逓増定期保険のデメリットの2つ目は、出口戦略によっては単なる税金の繰り延べになってしまうことです。
節税のところでも書きましたが、逓増定期保険は、解約した時に雑収入になるので、この雑収入に退職金などの費用をぶつけることが出来なければ、しっかり税金を取られてしまいます。
出口戦略をしっかり考えないと単なる税金の繰り延べになってしまうのです。
まとめ 法人保険について
今回は、法人保険のなかで最もポピュラーである逓増定期保険について説明しました。
逓増定期保険は最近銀行でも販売するようになっています。逓増定期保険は一般の保険に比べてあまりなじみがないです。
しかし逓増定期保険は銀行や保険会社からみると収益の取れる商品なので積極的に販売してきます。
逓増定期保険の知識をしっかり身に着けて銀行や保険会社の言いなりにならないことは非常に重要です。(執筆者:渡辺 たけし)