GPIFというコトバを聞いたことはありますか? 年金積立金管理運用独立行政法人のことです。
日本語表記から判断すると、「私達の大切な年金を運用してくれているんだな」というイメージを持つかもしれません。が、よく考えると不思議に思えてきます。
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公的年金の運用は賦課方式では?

というのも、現状、公的年金は賦課方式で運用されているハズです。
賦課方式による運用とは、現役世代が支払った保険料をそのまま、すぐに高齢者に年金として給付してしまうという運用方法です。
賦課方式の運用において、積立金など存在するワケがありません。
しかも、GPIFが公表している数字では、平成30年第2四半期現在165.4兆円となっています。
平成31年度の国家予算が初の大台100兆円超えかと言われていますから、あまりにも多額です。
公的年金は積立方式で始まった

賦課方式下の公的年金に多額の積立金がある理由は、そもそもが積立方式で始まったからに他なりません。
積立方式が賦課方式に途中で変更された理由は、年金の運用者である当時の社会保険庁の計算ミスによる積立金不足です。
きっと、「まさか?」と思うに違いありません。しかし、事実です。経済学者の野口悠紀雄さんが指摘して、厚生労働省も認めています。
ちなみに、法律条文にはどこにも「公的年金が賦課方式で運用されている」という記載はありません。
あえて、賦課方式運用の法的根拠を求めると厚生労働省の役人による国会答弁しかないのです。
池に放たれたクジラ

GPIFの資産額は日本の株式市場と比較しても多額です。日本の株式時価総額は、現状およそ6兆ドル。
運用額と市場規模は完全にアンバランスです。が、GPIFは資産の相当な割合を株式市場で運用することになっています。
ちなみに、詳しい運用状況は、ぜひ、GPIFのYouTubeチャンネルをご参照下さい。
たとえるなら、池にクジラを放つような具合です。池全体の生態系が破壊されてしまいます。
つまり、GPIFの資産運用動向は株式市場の波乱要因となっています。
日本の株式市場は、数値分析どおりに動いてくれません。諸外国の株式市場と比較して健全とは言えません。
おかしな話です。GPIFなど、本来、なくても良い。むしろ、あってはならない存在です。その存在がマーケットを混乱させているのですから。
にもかかわらず、GPIFは定期的に運用実績を誇らしく誇示しているのです。(執筆者:金子 幸嗣)