保険を検討する際に、「掛け捨てが嫌!」と考える方がいらっしゃいます。
特に女性に多いような気がしますが、それを裏付けるように女性にターゲットを絞った、「健康お祝い金」とか、「生存給付金」を受け取ることができる保険があります。
その代表的なものが損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の医療保険「フェミニーヌ」です。

目次
「生存給付金」は、どの位お得なのか
同社のHPを見ると、「3年毎に受けとれる15万円がうれしい。女性のための医療保険です」とあります。
これはかなり魅力的です。
それでは、フェミニーヌの3年毎に受け取ることができる「生存給付金」は、どの位お得なのでしょうか。
「フェミニーヌ」の生存給付金の部分の保険料はいくらなのかは、実は正確なところが分かりません。
オプションとして加える「特約」であれば、その部分の保険料は分かるのですが、「フェミニーヌ」の生存給付金は特約ではなく、主契約の中に含まれてしまっています。
他の保険に置き換えて考えてみましょう
保険料を類推するために、フェミニーヌの保障を分解して、他の保険に置き換えてみましょう。
30歳女性の場合です。
医療保障の部分は、アクサダイレクトの「定期医療」の保険料を参考にしています。

こちらは10年更新タイプで、フェミニーヌに付いている女性疾病特約(女性特有の病気で入院した際に、入院日額5,000円上乗せされる)や入院一時金、また退院後の通院の保障がついてないので、それらが加わっているフェミニーヌの医療保障部分はもっと高いでしょう。
死亡保障300万円の部分は、オリックス生命の定期保険「ファインセーブ」の15年満期の保険料を参考にしました。

フェミニーヌの月額8,527円から単純に医療保障、死亡保障を除くと、
となります。
この部分が生存給付金の月額保険料と仮定すると、3年毎に15万円受け取るために払う保険料合計は、
フェミニーヌの医療保障の手厚さを考えて医療保障の部分を多めに3,500円としてみると、
3年ごとに15万円受け取るために払う保険料合計は、
4,439円 × 12か月 × 3年 = 15万9,804円
となります。
正確な比較ではないので断定はできなのですが、どうやら3年ごとに受け取れる15万円は、ほぼ自らが払い込んだもの、ひょっとすると、それ以上に払っている可能性もあるかもしれません。
フェミニーヌの生存給付金15万円にメリットがあまりないとすると、定期型であるというデメリットが浮き出てきますね。
15年の更新ごとに保険料が上がります。
45歳更新時 → 9,473円
60歳更新時 → 1万5,236円
90歳まで自動更新可能なようですが、保険料の案内はHP上では見当たりませんでした。かなりの高額になりそうです。
もし、このような「お祝い金」や「生存給付金」を受け取りたいという場合には、メットライフ生命の医療保険「フレクシィS」がお勧めです。
終身保障タイプの医療保険に特約として「健康給付金」を付加できます。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「フェミニーヌ」とメットライフ生命「フレクシィS」の主な保障内容を比較してみましょう。(フレクシィSの特約を、なるべくフェミニーヌに近づけて付加しています)
フレクシイS
【女性疾病上乗せ】 5,000円
【退院後の通院】 6,000円
【入院一時金】 なし(10日までの短期入院は一律10万円)
【先進医療特約】 技術料通算2,000万円+5万円
【生存給付金(健康お祝金)】 5年ごとに10万円
【死亡保障】 なし
【保険期間】 終身
【月額保険料】 6,211円
フェミニーヌ
【女性疾病上乗せ】 5,000円
【退院後の通院】 1万円
【入院一時金】 10万円
【先進医療特約】 技術料通算2,000万円
【生存給付金(健康お祝金)】 3年ごとに15万円
【死亡保障】 300万円
【保険期間】 15年(90歳まで自動更新可能)
【月額保険料】 8,527円
上記の例の場合、フレクシィSの健康お祝い金の月額保険料は1,340円です。(メットライフ生命HPのシミュレーションより)
5年ごとに10万円受け取るために支払う保険料合計は、
1,340円 × 12か月 × 5年 = 8万400円。
返戻率にすると124.3%となります。
返戻率の高い学資保険でも近年は110%を超えることが難しくなっているので、保険を使った貯金の中では優秀と言えます。
ただし、この健康お祝い金を受け取るために、条件があります。
それは、「継続して10日以上の入院がないこと」です。
10日以下の入院であればカウントされない訳で、支払い要件としては他社と比較するとかなり広くなっています。
その点もフレクシィSのメリットと言えます。
「生存給付金」はあくまで脇役ということをお忘れなく

「健康お祝い金」、「生存給付金」は、本当に貯金として機能しているのかを確認することが大切です。
フェミニーヌの場合はネット上で公開されている情報ではその点が分かりませんでした。
興味がある方は、保険会社や保険ショップで質問してみてください。
フェミニーヌは保障内容も非常に手厚く、医療保障も死亡保障も準備できるので、例えば若い女性が1本だけ入る保険を選ぶとしたら、選択肢になる保険と言えます。
3年毎の15万円で旅行に行ったり、買い物したり、そのまま貯金したり、という楽しみと共に保障を準備できます。
定期型であるリスク
そのまま更新を重ねることも可能ですが、年金生活に入ってからの高額な保険料は大きな負担になるでしょう。
また、女性の場合、妊娠出産があるため、入院のリスクが高い時期が男性よりも早く来ます。
正常な分娩にかかる入院は医療保険の対象外ですが、妊娠中毒症での入院や帝王切開の手術費等は対象です。
また、乳がんや子宮筋腫等も比較的若い段階で罹患するケースが珍しくありません。
そのような病気にかかってしまうと、完治するまで新たに医療保険に加入することが難しくなる可能性が高まります。
フェミニーヌを選択する場合には、結婚等のタイミングに必ず見直しをして、終身の保障に切り替えましょう。
「生存給付金」はあくまで脇役で、保険の本分はあくまでもしっかりとした「保障」であることを忘れないでください。(執筆者:夏目 翠)