目次
相続の疑問に、銀行員が答えます!
第4回 借入が残っていると、どうなるの? ~住宅ローンの場合
第5回 借入が残っていると、どうなるの? ~アパートローンや事業資金の場合
第6回 いまから準備できることはあるの? ~相続のときに困らないために
死亡したあとの事情が大きく変わる

死亡した人に借入が残っていたらどうなるか?
残っている借入の種類で、そのあとの事情が大きく変わります。
ポイントは生命保険です。
生命保険がセットされている借入と、セットされていない借入があります。
「死んだら保険金で借金がチャラになるか・ならないか?」の違いです。
住宅ローン
住宅ローンは、死んだら保険金で借金がなくなります。
それほど心配いりません。
アパートローンや事業資金融資
アパートローンや事業資金は、保険で借金がなくなることはありませんので、注意が必要です。
住宅ローンと生命保険のセットについて
住宅ローンを借りるとき、生命保険に同時加入します。
これは原則、というよりも義務に近いものです。
保険の正式名称は「団体信用生命保険」といいます。
仕組みを簡単に説明すると、
2. 保険金は毎月のローン支払に含まれている
3. 借りた人が死亡すると、生命保険でローンがチャラになる
生命保険といっても、何千万円もの保険金があるわけではありません。
支払われるのは、そのときの住宅ローン残金(と利息)だけです。
しかも妻や遺族の口座に保険金が入ることはなく、直接ローンを返済するので「チャラになる」という表現をしました。
住宅ローンに生命保険がセットされている理由は2つあります。
理由1:ローンを払っていた人が死亡すると、家族では払えないから
家族構成、ライフスタイルが昔と変わったとはいえ、「夫(妻・または共働き)が働いて住宅ローンを払う」のが一般的な住宅ローンです。
働き手が死亡すると、残された家族はローンの返済ができずに困ってしまいます。
そのため、はじめから死亡したら保険で住宅ローンがなくなるように設計されています。
理由2:家族が払えなくなると、融資したお金を銀行は回収できなくなるから
銀行側から考えると、保険がセットされていないと回収が難しくなります。
他の借入に比べて金利や返済面(苦しくなったら返済を減らしてくれることもある)でも優遇されています。
住宅ローンは特別扱い

貸したお金を回収するには、担保の不動産を売却すればいいわけですが、住宅ローンだとそう簡単な話しではありません。
「××銀行が、住宅ローンを払えなかったから自宅を取上げて売り払った」
など、契約通りの対応だとしても、世間の銀行を見る目は厳しいものです。
保険をセットして融資したお金を回収できるようにしています。
住宅ローンに生命保険がセットされているのは、借りる人のためであり、銀行のためでもあるわけです。(執筆者:加藤 隆二)