もうすぐ確定申告。
医療費控除が気になりますね。
年末調整で対応できる配偶者控除や生命保険料控除と比べ、医療費控除は年末調整ではできず、確定申告や還付申告を別にしなければ税金は戻りません。
医療費控除については、過去記事でお話したことがあります。
目次
介護サービスは医療費控除になる?
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日ごろ介護に勤しんでいる人にとって、介護サービスの負担は結構重いです。
せめて医療費控除となり、税金の還付金があれば少しだけ報われる気がしますね。
平成29年度の介護サービスの利用者は約604万人います。(厚生労働省 平成29年度介護給付等実態調査より)
同年に改正のあった介護保険法に基づいて、どんな介護サービスについてどんな費用が医療費控除として認められるのか、確認していきましょう。
ちなみに平成31年2月15日から3月15日までの確定申告で申告できるのは、平成30年1月から12月までに支払った医療費や介護サービスです。
給与が1か所から支払われていたり、年金が主収入の人は2023年3月15日までに還付申告もできます。
7段階の介護認定、月々の自己負担限度額はどのくらい費用がかかる?
在宅サービスや施設でのサービスの要支援1、2、要介護1~5、介護認定ごとに月々の限度額と平均介護費用は以下の通りです(平均単価を10円とする)。
平均介護費用額は医療費全額なので、このうちの
・ 1割または2割(年金収入等 単身280万以上、夫婦364万以上の人)
・ または3割(単身340万円、夫婦463万円以上の人)
が介護費用の自己負担額になり、このうち認められたものが医療費控除の対象です。

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居宅サービスを受けている人は、自己負担1割の場合で、要支援1だと費用は1か月で約1,340円ですが、1番重い要介護5だと月平均は約2万3,700円も使っています。
介護施設でサービスを受けている人も重くなるほど費用がかかり、負担1割で要介護1の特別養護老人ホームにいる人は月平均約2万2,000円、要介護5は月平均約3万230円かかっています。
医療や介護の必要度の高い介護療養施設サービスだと、要介護1の月平均が約2万5,000円、要介護5の月平均は約4万1,000円です。
医療費控除の対象となる居宅サービス等
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在宅介護で使った介護サービスについて、医療費控除が使えるものは以下の通りです。
自宅に訪問してきた医師、歯科医師、看護師、薬剤師など専門家にサービスを受けた場合と施設に通ってサービスを受けた場合があります。
・ 訪問リハビリテーション…理学療法士、作業療法士などが訪問してリハビリを行う(介護予防も含む)。
・ 居宅療養管理指導…医師、歯科医師、薬剤師等が訪問し、療養を管理・指導する(介護予防も含む)。
・ 定期巡回サービス…訪問介護員等が、定期的に利用者の居宅を巡回して、看護する。
・ 随時対応サービス…オペレーターが通報を受け、利用者の状況に応じて看護サービスの手配を行う。
・ 随時訪問看護…オペレーターからの要請を受けて、随時、訪問介護員等が利用者の居宅を訪問して、入浴、排せつ、食事等といった日常生活上の世話を行います。
・ 介護看護複合型サービス…介護と看護一体型の24時間対応の訪問看護サービス
・ 通所リハビリテーション(デイケア)…老人保健施設や医療機関へ通所してリハビリなどを受ける(介護予防も含む)。
・ 短期入所療養介護(ショートステイ)…特別養護老人ホーム等に短期入所し日常生活の介護・機能訓練等を受ける(介護予防も含む)。
居宅看護サービス等と併せて利用する場合に医療費控除となるサービス等
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訪問サービスでも通所サービスでも看護を伴う介護、療養介護を伴う生活介護等であれば医療費控除にすることができます。
・ 夜間対応型訪問介護…定期巡回や通報システムでヘルパーが訪問、安否確認や排泄ケアを行う(平成30年3月末分までは介護予防含む)
・ 訪問入浴介護…看護職員と介護職員が訪問し、浴槽を運び込み入浴介護を行う(介護予防を含む)
・ 地域密着型訪問型サービス
・ 通所介護(デイサービス)…老人保健施設等に通って食事や入浴、機能訓練等を受ける。平成28年4月1日から地域密着型も含む。平成30年3月末まで介護予防含む。
・ 小規模多機能型居宅介護…(介護予防含む)利用者の希望などに応じて、訪問や宿泊を組み合わせて、入浴、排せつ、食事等の介護、その他日常生活上の世話、機能訓練(リハビリテーション)を行う。
・ 認知症対応型通所介護(日帰りサービス)…老人デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどで、通ってきた認知症の利用者に、入浴、排せつ、食事等の介護や生活等に関する相談、健康状態の確認、機能訓練(リハビリテーション)等を行う(介護予防含む)。
・ 短期入所生活介護(ショートステイ)…(介護予防含む)特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所してもらい、食事、入浴、その他の必要な日常生活上の支援や機能訓練などを行うサービスです。医療費控除にするには療養介護と一緒に受けることが必要です。
・ 定期巡回サービス…訪問介護員等が、定期的に利用者の居宅を巡回して、入浴、排せつ、食事等といった日常生活上の世話を行う。
・ 随時対応サービス…オペレーターが通報を受け、利用者の状況に応じて介護サービスの手配を行う。
・ 随時訪問サービス…オペレーターからの要請を受けて、随時、訪問介護員等が利用者の居宅を訪問して、入浴、排せつ、食事等といった日常生活上の世話を行います。
・ 訪問看護サービス…看護師等が利用者の居宅を訪問して、療養上の世話または診療の補助を行う。
・ 複合型サービス…上記に記載した居宅サービスを含まない組合せにより提供されるものに限ります(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く)。
・ 地域支援事業の通所型サービス…(家事など生活援助中心のサービスを除く)日中、利用定員18人以下の小規模の老人デイサービスセンターなどに通ってもらい、食事、入浴、その他の必要な日常生活上の支援や生活機能訓練などを日帰りで提供するサービス。
医療費控除にならない在宅サービス等
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家事手伝いのような生活援助中心の在宅サービスは、介護保険を使い1割から3割の自己負担でサービスを受けることはできますが、医療費控除にはなりません。
・ 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)…(介護予防も医療費控除にならず)認知症の高齢者が共同で生活する住居において、入浴、排せつ、食事等の介護、その他の日常生活上の世話、機能訓練を行う。
・ 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)…介護保険の指定を受けた介護付有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが、入居者に入浴・排せつ・食事等の介護など日常生活上の支援を行う。
・ 地域密着型特定施設入居者生活介護…(介護予防含む)
・ 福祉用具貸与…(介護予防含む)車椅子や付属品、電動ベッドや付属品、床ずれ防止用具。
・ 看護介護複合型サービス…家事援助など生活援助中心型の訪問介護の部分は医療費控除になりません。
・ 地域支援事業の訪問型サービス…家事など生活援助中心のサービス。
・ 地域支援事業の通所型サービス…家事など生活援助中心のサービス。
・ 地域支援事業の生活支援サービス…家事など生活援助中心のサービス。
医療費控除となる施設サービス
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老人ホームの経営破たんのニュースなどを聞くと、介護サービスや介護施設を利用するご本人やご家族は不安になることもあるのではないでしょうか?
入居一時金が返金されないことが問題になっていたりしますね。
入居一時金でも居住費、介護費等が含まれる場合は、その部分は医療費控除になる可能性があるので領収書をもらったら、内訳を確認してみましょう。
・ 介護老人保健施設…施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額
・ 指定介護療養型医療施設(療養型病床群等)…施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額
・ 介護医療院…施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額
医療費控除にならない施設サービス
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どの施設も日常生活費、特別なサービス費用は医療費控除にはなりません。
また、介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の家賃費用は、住宅なので医療費控除にはなりません。
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介護施設からの領収書に注意!
施設からの領収書には、医療費控除になるか表示してあるので、表示を確認するとともに以下のサービスで医療費控除の内訳が無い場合は、医療費控除になる金額はどのくらいか確認してみましょう。
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日常生活費は、居宅サービスの種類に応じる費用です。
通所介護及び通所リハビリテーションでは、食材料費、おむつ代、その他利用者負担が適当なものになります。
短期入所生活介護及び短期入所療養介護では、食材料費、理美容代、その他利用者負担が適当なものになります。
通所介護と異なり、おむつ代は居宅サービス費等の中に含まれ、介護保険給付の対象になります。
通所介護など施設へ通う交通費についても通常必要な額は医療費控除と認められる可能性があります。
介護保険にも「高額介護サービス費制度」がある
1か月に自己負担する介護サービス利用料には、所得区分に応じて上限が決まっています。
1割または2割負担の人は、年金収入等が単身280万以上、夫婦364万以上の人です。
平成30年8月より、年金収入等が単身で340万円以上、夫婦で463万円以上の世帯は介護サービスの自己負担が3割になりました。
その限度額を超えると、超えた分は申請により払い戻し「高額介護サービス費」を受けられます。
この分は「収入」と見なされ、医療費控除では、支払った自己負担分から差し引きます。
高額介護サービス費で払い戻しできず、医療費控除もできない自己負担分
高額介護サービス費でも払い戻しできず医療費控除もできない費用がいくつかあります。
・ 施設サービスの食費、居住費や日常生活費など
・ 介護保険の給付対象外の利用者負担分(生活援助など)
・ 支給限度額を超え、全額自己負担となる利用者負担分
医療費控除から差し引かれる主な収入
医療費控除から差し引かれる収入は他にもあります。
年間の医療保険と介護保険の自己負担額を合計して限度額として「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。
限度額は所得区分に応じて決まっています。
自己負担限度額を超えた金額は医療保険、介護保険の比率に応じて、それぞれ「高額介護合算療養費」、「高額医療合算介護サービス費」として払い戻され、これも収入となります。
同じ世帯に複数のサービス利用者がいる場合には、世帯の自己負担合計額でみます。
また、介護保険を使わないと戻ってくる給付金は収入に入るのでしょうか?
家族介護慰労金とは、要介護4,5の重度介護高齢者を介護している家族に対し、過去1年間介護サービスを使わず、医療機関へ合計90日超の入院をしなかったなどの条件で支給される給付金で、金額は10万円です。
生損保の介護保険の給付金も収入になります。
平均介護期間は約5年。
もし、介護認定を受けて「非該当」となった場合、病気には医療保険制度もフル活用しましょう。
医療保険制度には高額療養費制度がありますし、病院等にかかった自己負担分は医療費控除も使えます。
払い戻された高額療養費の受け取り分は、医療費控除から差し引かれる収入です。
介護の平均年数は4年11か月です。
生命保険文化センターの介護経験者に対して行った調査によると4年以上介護した人が4割以上いるとのことです。
必ずしもつきっきりとは限りませんが介護する人は時間を使い、介護費が家計に響くこともあるでしょう。
医療費控除はもちろん、高額療養費制度、高額介護サービス制度などを上手に活用し、家計に対する負担を軽減させたいです。(執筆者:社会保険労務士 拝野 洋子)