貯蓄が苦手、そんな人によくおススメされるのは毎月一定額が口座から自動的に引き落とされる積立預金でしょう。
この最大のメリットは、給料が振り込まれてから貯蓄すべき金額が真っ先に引き落とされるので、お金の管理が苦手な人でも自動的に貯蓄ができる仕組み作りができます。
実は、この仕組みの考え方を老後資金準備にも応用しすれば、お金の管理が苦手だなと思っている人でも簡単に老後資金準備ができますのでご紹介します。
目次
老後資金準備を自動化する

この考え方というのは単純で、先ほどお話した毎月の積立預金の場合は1年間でこれくらい貯めるという目標金額を毎月の給料とボーナスから積立をしクリアしていくことです。
これを老後資金準備の場合は1年単位とより大きな枠で考えます。
具体的にどういう事かというと、老後までに貯めておくべき金額を毎年の貯蓄と子供が独立した後の人生最後の貯め時を上手に利用します。
イメージとしては
老後資金準備=年間の積立+最後の貯め時(ボーナス)
というように重ねて考えることができます。
その為には自分達はいくら貯めておくべきかということを知り、積立の仕組みを作る必要があります。
ただ、実はそう難しいことではなく、簡単な次の3つのステップで完成させる事ができます。
老後資金準備額 計算の簡単3ステップ
(1) 老後の支出を計算

定年後の毎月の生活費や居住費などを合計し、それを想定する寿命までの年数分を計算します。
何歳まで生きるかというのは正直わかりませんが、平均寿命よりも長く考慮して計算するとよいです。
※2017年の二人以上世帯支出の平均は28万3027円となっています。
参照:計局ホームページ/家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―
(2) 老後の収入を確認
老後の収入には国から支給される公的年金の公助と、親族などからの援助や相続などによる共助があります。
公的年金については毎年送られてくる年金定期便を参考にすれば、自分達がいったいいくら年金が支給されるのか把握することができます。
特に50歳を超えた方は、このまま年金を支払ったら将来いくら年金を受け取れるのかという見込額が記載されるようになるため、より具体的に計算する事ができるでしょう。
それを先ほどと同じように想定する寿命までの年数を掛けます。
共助がある場合は親や子供からの相続や援助が受けられる可能性があるか双方できちんと話し合うことでしょう。
共助がある場合はその金額を年金からの受け取り金額と合計します。
(3) マネープランを組む
そして、最後はこの目標をクリアする為のマネープランを組んでいくという事になります。
目標額の計算式は単純で、(1) の支出から (2) 収入を引き算するだけです。
例えば65歳で定年し90歳まで生きると仮定した場合に毎月の支出が28万円であれば25年間で8400万円が必要となりこれが(1)の支出となります。
次に(2)の収入ですが、まずは公助である公的年金が夫婦二人で毎月20万円(年間240万円)を受給できるという場合は25年間で6000万円となります。
さらに、共助として親から相続で1000万円が入ったとしたとした場合は先ほどの公助と合わせて合計で7000万円となりこれが(2)の収入となります。
そして、(1)-(2)が必要な準備金額ですので
つまり、この夫婦の場合は収入を支出が最低でも1400万円は上回るので、その分を定年までに「自助努力」で確保しておく必要があることがわかります。
もし、退職金が望める場合はその分をさらに差し引いて考えてもいいでしょう。
そして、これらをもとに最後のステップ(3)のマネープランを組みます。
もし45歳から老後資金準備をしていこうとなった場合では65歳までの毎年70万円を積立ていけば20年間で1400万円を準備する事ができます。
しかし、子供が独立する前の特に大学進学の時期などは余計にお金がかかりますので、その頃に毎年この金額を積立ていくのは少し難しいかもしれません。
そこで、登場するのが、最初にお話した積立預金の仕組みとなります。
毎年の積立をもう少し引き下げ、不足する分を最後の貯め時で準備していきます。
例えば、毎年の積立を40万円まで減らした場合は20年間で800万円を積立てることができます。
上のケースの場合は1400万円を最後の貯め時で準備する必要がありますので、仮に55歳時に子供が独立する場合には、残りの600万円を定年までの10年間に上乗せして準備していきます。
そうなると
55歳~65歳までは年間90万円(40万+60万円)
を積立ていく事になり、目標の1400万円をしっかり貯めることができます。
あとは、毎月の積立+ボーナスと同じ要領で、この金額を他とは別の口座に先取して分けてあげます。
老後資金準備も貯蓄の仕組みを自動化することができれば、この仕組みの最大のメリットである、お金の管理が苦手な人でも定年を迎える頃には自然と必要な金額が貯まっていることでしょう。
早めに老後資金準備の仕組みを作りましょう

この老後資金の準備の計算方法はあくまで一つの目安にされ、もし他にまとまった支出が予想される場合や介護の費用、そして物価の上昇なども考慮できると、より充実した老後資金準備となると思われます。
人により最後の貯め時の長さもことなりますので、後に負担が集中しないように現役時代とのバランスを取りながら早めに老後資金準備の仕組みを作りましょう。(執筆者:西田 凌)