適正な家計のためには、適正な家計把握が欠かせません。
家計把握の伝統的な方法は、なんといっても家計簿ですよね。
とはいえ家計簿をつけるのは難儀です。
レシートを貯めて、1枚ずつ項目別に書き込んでいきます。
私はエクセルのテンプレートを使っているので、書き込むのではなく入力していきます。
夫がいただいてくるお給料は銀行口座への振り込みですから、インターネットバンキングの夫のマイページをチェック。
通販にはレシートがありませんから、同様にクレジットカードのウェブ明細をチェック。
子どもたちのガチャガチャや縁日のようなレシートが発生しない支出については、メモを控えておかねばなりません。
ICOCAはチャージ時に領収証がもらえるので、おかげで切符についてはこの手間が省けるようになりました。
はっきり言って、たいへんです。
1か月につき1時間くらいかかりますから。
その理由を力説します。
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目次
手間がかからない方法もある
家計の把握が多少アバウトになっても良いなら、家計を把握するにはほかにも方法があるのは事実です。
通帳残高を定期的にチェックする(手軽さ★★★★★)
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例えば年に1回、年末年始の大きな収支も落ち着く1月末や住民税額が変わる直前の5月末などに、通帳の残高をチェックする方法です。
どんなことにどれだけのお金を使ったのかという内訳は明らかになりませんが、どれだけの収入があってどれだけの支出があったのかは分かりますよね。
また通帳が手元にある限り、どこまででも遡ってチェックすることが可能ですから、今の今まで家計把握を実施した経験がない方でも、いきなり何十年ものお金の流れを把握することが可能です。
ウェブ通帳ならそのサイトが許容するところまでしか遡れませんが。
デメリット
・年に1回のチェックならまだしも月に1回となると正確性に欠けること
・家計に関する口座がひとまとめになっていないならまとめる手間が発生すること
でしょうか。
家計簿アプリを使う(手軽さ★★★☆☆)
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テクノロジーの進歩は目覚ましく、今や家計簿だってアプリの時代です。
「マネーフォワード」や「Dr.Wallet」、最近では「LINE家計簿」も登場しています。
これらの家計簿アプリは便利ですよ。
ガラケーユーザーの私は使ったことがないものばかりですが、その触れ込みを目にするだけで便利なことは伝わってきます。
・銀行口座やクレジットカード会社などお金関係の他のサービスと連携して、自動的に記録してくれる。
・家計簿自体がクラウドに保存され、家族で共有できる。
デメリットといえば、
・インターネットサービスである以上避けられない、個人情報漏洩リスク
くらいでしょうか。
家計簿をつける目的は、家計の適正化です
以上2つの方法、間違いなく便利でラクです。
でも私はこれらを選ばず、もっと不便な方法を選び続けています。
なぜか。スマホを持っていないからだけではありません。
それは家計簿をつける目的に関係があります。
家計簿をつける目的は、冒頭にも述べましたが、
ですから。
家計簿をつける(手軽さ★☆☆☆☆)
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レシートを1枚1枚見ながら、そのレシートがどの項目(食費、日用品費、教育費など)に当てはまるのかをチェックし、入力
していきます。
複数の項目にまたがるレシートも少なくないので、1枚で2つ3つ数値を入力することもしばしば。
手間です。
でも、これが私は良いと思います。
理由1:「なぜそのお金を使ったのか」を振り返って考えられる。
項目に分けるときに、考えなければならないのが良いんです。
その食品は、必要な食品だったのか嗜好品なのか。
その子どものおもちゃは、適切な教育費なのか、不必要なものだったのか。
しばらく時間を置いて考えて、得られた価値は価格に見合っていたと判断できるのか。
振り返って見直して、消費行動を修正します。
理由2:夫婦で価値観を共有できる
先ほどの価値観を、夫婦で共有します。
わが家では、子どもたちのおやつは嗜好品ではなく必要な食費に分類します。
夫は当初驚いていましたが、おかげでスーパーでの「おやつほしい」に格闘しなくて良くなったと穏やかです。
理由3:「たまには」がたまでないことに気づく
「たまには贅沢」は大切なことです。
しかし、その「たまには」がクセになってしまうんですよね。
わが家の例で言うと、大型商業施設に増えてきた有料屋内型公園の利用がそれでした。
週末に暑い日寒い日天気が悪い日が続いてしまうと、体を動かせない子どもたちが不憫でついつい利用してしまっていたんですよね。
夫婦は
と思っていましたが、家計簿をつけてみると3回行っている月もありました。
そこから3か月控えました。
理由4:使うべきところに使っていないことに気づく
近所の屋内型公園には行くくせに、ある年のわが家は旅行などのレジャー費が絶望的に少なかったのです。
これはいけない。子どもがかわいそう。
出不精な夫婦ですが、以後は積極的に遠出しています。
1回出かけると諭吉が1人確実に飛んで行きますが、そこで出てくるケチケチ根性を抑えられます。
「観覧車(遊園地ではなく、観光地にぽんと1基ある高いやつ)のりたい」や「ガチャガチャしたい」だって、レジャー費を増やすためなら快諾できます。
節約だけが家計の適正化ではないはずです。
家族が不和になってイライラすると、浪費が増えますしね。
理由5:罪悪感の根拠が、そうでもなかったことに気づく
浪費と言えば、ケチケチ根性の強い私たち夫婦は高価なものを購入してしまうとどうしてもヘコみがち。
しかし家計簿をつけていると月10万円単位、年間なら100万円のお金を日常的に目にすることになります。
例えば上等の洋服。
たしかに1着5万円は心がズキズキしますが、特別な日だけとして5年間着れば年間1万円、10年間なら5,000円。
それならたいした出費じゃないんですよね。
そういうことが、家計簿から分かります。
たしかに手軽ではないのですが、家計の適正化のためにその面倒な作業にこそ価値が眠っていると思うのです。
適正な家計を先につける手も
こんな方法もあります。
毎月の予算を袋分けする(手軽さ★★★★☆)
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1週間ごとの予算に袋分けする方法か、毎月の費目(家計簿でいう「項目」)別に袋分けする方法か、その両方をする方法が一般的でしょうか。
家計を振り返って適正化するのではなく、適正な予算をあらかじめ振り分けておくという逆転の発想です。
お手軽なのも魅力的な方法なのですが、緊急的な大きな支出への対応が難しいことがデメリットです。
また適正な家計は家ごとに異なるはずなので、あらかじめ予算を振り分けるときの配分が難しいです。
うまく振り分けられないと、ある袋は余ってしまい使い過ぎ、ある袋は足りなくなって他の袋から補給し…となってしまう可能性もあります。(執筆者:徳田 仁美)