皆さんは近年銀行が紹介してくる金融商品が、元本保証ではないリスクのある商品に偏っていることにお気付きでしょうか?
2007年より銀行でも保険商品が全面解禁となり、販売チャネルとしても最大となるほどに成長し、当時は渋々解禁した保険会社も潤う結果となりました。
しかし解禁から10年を経てもなお減らないのが、銀行経由で加入した保険商品に対する「苦情」です。
日本企業の年度末が集中する3月、こちらから用事もないのに金融機関の担当者から「お時間をいただきたい」と面談のお約束は入っていませんか?
商品が悪い訳ではなく、何が苦情となっているのかを確認し、お互いが納得の取引につながるポイントを整理しましょう。
目次
金融庁が注視する苦情の中身とは?
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銀行経由で加入する保険に対する苦情件数は、1000件に1件。0.1%の確率です。
これ皆さんはこれを高いと見るか、低いと見るか。
最近では外貨建て保険販売に対する苦情が、2017年度に約2000件あり過去5年間で3.3倍になったとのこと。
ここではその中身を見てみましょう。
なかなか減らない「説明不足」
ちなみに元本保証商品とは「全ての運用期間にわたって元本の額が減らない(元本割れしない)こと」が取り決められている金融商品のことです。
保険や投資信託が解禁されるまで、銀行では定期預金を中心とした元本保証商品しか取扱っていませんでした。
銀行の取扱い商品を見る顧客の目も、銀行の紹介商品ならという気持ちが近年になっても変わっていない場合もあり、結果的に苦情となることもあるようです。
苦情の主な内容は
「元本割れすると思っていなかった」
「為替リスクについて十分な説明を受けていない」
といった、元本保証に関わるものです。
ゆがんだ銀行の収益構造
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今の銀行が置かれた状況は金利が低く、貸金との利ザヤで稼ぐ伝統的な収益が生めなくなりました。
そのため投資信託の販売や保険販売という「銀行に収益を生む商品」を営業のノルマに組み込み、定期預金が満期となるタイミングで顧客の属性に合ったように「加入の理由」を考え、押し込み営業となるケースがあるようです。
もちろん銀行側も営業の暴走を防ぐために「確認書」や「高齢者確認」など、定期預金にはない手続きを入れることで「自己責任」を立証します。
しかし、それでも苦情の7割は60歳以上の顧客であることを踏まえると、0.1%の苦情発生率は決して低くないと考えられます。
3月4月は苦情が増える時期?
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この3月は銀行にとって年度末、営業のノルマ達成のために押し込みが増える時期です。
また教職員など3月末で定年退職を迎える方々は、4月に退職金を受け取ることもあるでしょう。
該当する方はもちろん、ご両親などご家族の方に該当する方が居る場合は次、のポイントに注意することをお勧めします。
銀行が勧める金融商品を契約する前に
(1) 元本保証の商品か、そうでないかを最初と最後に確認すること
前述した通り、どのタイミングであっても元本が保証されてないと元本保証商品とは言いません。
解約期間に制限があったり、最初に多額の手数料が引かれたりする保険商品は多くあります。
10年後や満期に元本が保証されていても、それは予定通り進んだ場合のみに保障されることとなります。
それがご自身の運用方針や投資金額に合っているか、最初に確認することはもちろん、契約する最後にも確認しましょう。
その確認は自身への確認だけでなく、銀行担当者へのプレッシャーにもなります。
(2) 納得しなければ断ろう
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保険自体の仕組みを理解している方がほとんどでしょうが、銀行で取扱っている保険商品は、そこに外貨建てやお子様に贈与できる仕組みが組み込まれていることがあります。
この説明文を読んで既にイメージが沸かない方は、説明をされても完全に理解納得することは無理でしょう。
それぐらい商品は複雑で、加入よりも保有期間中に起きる人生のイベントに対応させることの方がよっぽど難しく、そのメンテナンスを異動が頻繁にある銀行員に任せることはお勧めしません。
とにかく、納得できなければ断りましょう。またはご家族の方に、恥ずかしがらず相談しましょう。その上で加入するのは、自己責任ですから。
販売側に問題が
販売されている保険商品には問題がなく、保険会社が直接販売する場合はここまで高い確率で苦情になっていないことを考えると、やはり販売側に問題があると思われます。
そんな状況に陥らないためにも、自己防衛のため、お互いが最低限のマナーを守りましょう。(執筆者:中野 徹)