来年71歳と言う男性は驚いたようでした。
先日参加した長尾義弘氏の「老後資金はためるな!」セミナーでのひとコマです。
企業によっては、厚生年金に上乗せした形で「企業年金」があります。
「企業年金」は、もらえる期間が10年か15年の有期年金が多いようで、公的年金のように終身でもらえる会社は今では稀です。です。
上記の男性のように企業年金も国の年金と一緒でずっと一生もらえると思っている人は案外少なくないのかも知れません。
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目次
支出の額は、収入の額に達するまで膨張してしまう
「義兄が、また生活費が足りないと言ってきたのです。」相談者様の義兄は上場企業を55歳で退職し、退職金でマイホームを買いその後は優雅な一人暮らしだったそうです。
ところが、70歳を過ぎると企業年金もなくなり蓄えも底をついてしまったとのことです。
そうなるとまだ現役で働いている弟だけが頼りのようで、度々援助をせがまれるようです。
もうこれ以上は無理と思案しかねていました。
一度手元に入ったお金はパーキンソンの法則によるところの「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」なくなるまでは使ってしまう、使えると思ってしまうのが常です。
70代はまだまだ元気で生活費もかかりますが、さすがに再度働き出すのは至難の業です。
老後の大切な生活費のことなのになぜか無頓着になりやすい
随分以前ですが、某企業の退職セミナーを担当していました。
社員でもブルーカラーの人は誕生月で退職となり、毎月退職1か月前の対象者が参加します。
毎回参加者さん達に質問から始めます。
退職金はどうなさいますか。
年金はご夫婦でいくらになりますか。

中にはご夫婦で参加される方もいるのですが、来月退職のほとんどの方が答えられません。
15年以上も前のことですが、現状はあまり変わっていないのではないでしょうか。
なぜ明日のことなのに、自分のことなのに、大切な生活費のことなのに「お金のこと」ってこうも無頓着なのかといつも思ってしまいました。
「みんな何とかなると思っている」
そして今のところ何とかなっていたのでしょう。
でも、退職して10年もたたないうちに退職金はとっくになくなった。あとは年金だけが頼りと言う方も少なくありません。
前述の企業さんにも、せめて退職1年前にこのセミナーを開催しませんかと何度か提案しましたが、セミナーは付録のようなもので、主旨は退職手続きの説明会です。
「老後破産」いやな言葉ですね。
でも日々まじめに働いても老後が安泰とはいかないのがこれからの日本社会です。
老後を心配なく過ごすためにはすべきことは多い
リタイア後の期間は思っている以上に長いものです。
インフレや公的年金の動向など自分でコントロールできない社会要因も考慮しなければなりません。
国が「確定拠出年金」や「NISA」を税制優遇措置で推奨しているのは、公的年金だけでは老後生活が立ち行かなくなることが分かっているからです。
先ほどの企業さんには社員持ち株会がありました。
持ち株会で積み立てをしていた人の中には、なんと退職金をしのぐ金額になっていたことに驚かれた方もいました。
子供や兄弟、周りの人に迷惑がかからないように、誰もが真剣に将来を見通し長期の生活設計を建てなければなりません。
自分の頭で考え、公的年金制度の情報にアンテナを張り、資産運用の正しい知識を持ち、なるべく早い時期から運用経験を積むことが老後破綻しない秘訣です。
人生100年を経済的な心配なく過ごすためには今できること、すべきことは多いはずです。
今たくさん稼いでいる人も、働いて収入を得ることができない時間の長さを考えると油断はできません。(執筆者:平賀 初恵)