というように、今の医療保険には先進医療を受けた場合の治療費(技術代)を、全額負担するといった先進医療特約のある医療保険やがん保険がメジャーになっています。
医療保険やがん保険を検討する方の中には、先進医療に対する保障が必要だからという方もいます。
目次
先進医療特約とは?
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先進医療とは厚生労働省が認める最先端の治療の事を指しますが、先進医療は自由診療といって治療費が全額自己負担です。
しかし、先進医療特約は毎月の保険料が100円前後という少ない保険料ながらも、大きな治療費(技術代)を全額負担してくれるので、その為に保険を掛けるというのは理にかなっています。
先進医療特約というだけあってこの保障だけを単体で契約する事はできません。
基本的には医療保険やがん保険にセットで加入する事になりますが、日本は健康保険や高額療養費制度がある為、ある程度貯蓄に余裕がある方は医療保険やがん保険に入る必要性は、トータルコスト(総支払保険料)を考えるとそこまでありません。
先進医療を受けた時の事が心配だからと、医療保険やがん保険に加入し先進医療特約にわざわざ加入するメリットはあるのでしょうか?
先進医療特約にメリットはある?
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実は、先進医療の治療費が全額自己負担になるといっても、何百万も治療費が掛かるものは一部の治療だけであり、数十万で受けられるものや、中には数万程度で受けられる先進医療というものもあります。
その高額となる一部の治療として、先進医療特約の必要性を話される時に引き合いに出されるのが、「重粒子線治療」や「陽子線治療」です。
この2つの治療はがん治療に使用され、自己負担となる金額が約200~300万円程掛かると言われています。
これを聞くと普通ではそんな大金払えないと思ってしまい、やはり先進医療の特約が必要だなと思うでしょう。
実際この重粒子線や陽子線治療を受ける人というのは、年間で3,000~4,000人程と言われています。
2016年のがん全体の罹患者は99万5,132人ですので、全体の約0.4%のがん患者だけが重粒子線や陽子線治療を受けたという事です。
参考:【厚生労働省】全国がん罹患数 2016年速報(pdf)
重粒子線や陽子線治療は全国でも限られた病院や機関のみで受けられる治療となっている上に、そもそもどんながんの種類にも使えるというわけではありません。
胃がんや大腸がんというように不規則に動く臓器へのには対応ができません。
つまり、お金の問題というよりも、医療上の適用とならずに受けられないという方の方が、圧倒的に多いです。
先進医療特約のために保険に入る必要はない
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先進医療を受けた場合は、高額の治療費を負担してくれるので、金銭的なメリットは大きいのですが、これだけ先進医療を受ける確率が低いとなると、先進医療特約に入る為に必要無い医療保険やがん保険に入るという考え方はあまり合理的ではないでしょう。
重粒子線治療のうち頭頸部がんや前立腺がんは2018年の4月から公的医療保険が適用となっているなど、実際に治療の効果が認められるものは、今後も先進医療から健康保険の適用となる標準治療に移されることでしょう。
参考:サガハイマット 2018年4月から「公的医療保険」の適用が広がります
別の理由で医療保険やがん保険に加入するという場合には特約として付帯するという程度で考えられてみてはいかがでしょうか。(執筆者:西田 凌)