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生命保険の解約時に支払われる「解約返戻金」

多くの皆さんは、万が一に備えて生命保険に加入されていると思います。
一般的な生命保険は保険期間中、毎年保険料を払い続けるため、経済的な理由により保険料を払い続けることが困難になり、保険契約を解約されることもあるでしょう。
一般的な生命保険では、保険契約を解約した際には「解約返戻金」というものが保険会社から支払われます。
このような場合「保険契約を解約したらお金をもらえるなんてラッキー」と考える人もいらっしゃるかもしれませんが、実はその考え方は合理的ではありません。
なぜならば、この解約返戻金は、あくまでも契約者が保険会社に「預けていた」保険料の元利合計が解約返戻金として戻ってくるだけだからです。
私たちが毎年払う保険料は保険会社が「預かっている」
単純な例として、被保険者が保険期間内に死亡したら、保険金額が支払われる定期保険を考えましょう。
例えば、30歳に加入して80歳に保険期間が終了するものとします。
日本の死亡率は加齢とともに高くなり、特に高齢になると、その伸びは大きくなります。
その一方、生命保険の保険料は契約時の年齢(厳密には、それと性別)で決まるため、先ほどの例ですと30歳から80歳まで支払う保険料はずっと変わりません。
同じ保険料を払い続け、その一方、死亡率は年齢とともに上昇するということは、若いときに払った保険料は、死亡時の保険金の支払いに全て使うわけではありません。
将来死亡率が高くなる年齢に備えて保険会社が預かっています。
解約返戻金がない、または減額されるタイプの保険もある
その預かっている保険料のことを「貯蓄保険料」と言い、その貯蓄保険料の元利合計を「責任準備金」と言います。
貯蓄保険料の元利合計である責任準備金は、あくまでも死亡率が高くなる高齢に備えて保険会社が預かっているものです。
もし契約者が途中で保険契約を解約するようなことがあれば、この責任準備金は契約者に返還すべきなのです。
これが、保険契約の解約時に戻ってくる金額です。
ただし、注意点としては、
・ 今では、この解約返戻金自体をなくして、そのかわりに保険料を低く抑える「無解約返戻金型保険」「低解約返戻金型保険」というものも多いです
以上のとおり、保険契約の解約時に支払われるものは、あくまでも契約者自身が保険会社に預けていたものであり、しかも「無解約型」、「低解約型」では、その預けていた金額が全く戻らなかったり、もしくは減額されるというものです。
このため、これから契約を検討している保険で解約返戻金があるかないか、もしくは減額されるかは、事前に把握することが望ましいです。(執筆者:添田 享)