最近のマネー関連記事では、ちょくちょく叩かれている外貨建て保険ですが、本当に貯蓄目的に使うには不向きなのかを今回はその目的を教育資金準備に絞って考察してみたいと思います。
目次
教育資金準備には不向きだといわれるおもな理由
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外貨建て保険が教育資金準備には不向きだといわれるおもな理由は、
1. 為替リスクがあるために決まった時期に必要になる教育資金準備には向かない
2. さまざまな諸経費が含まれているため貯蓄と考えるには効率が悪い
3. 保険料払込期間中の解約リスクが大きすぎる
おおまかに言って、この3つくらいに集約されるものと思われます。
確かに一般論でいってしまえばそうなりますが、ひとつひとつ検証してみましょう。
1. 為替リスク
教育資金が貯蓄からどのタイミングで必要になるかは、子供さんの進学内容で変わります。
ざっくりいえば、
・ どのタイミングから私立になるのか
・ 大学進学の際の高3のタイミング
・ 大学在学中
ここでは、高3のタイミングで考えてみましょう。
0歳児のときから準備するのであれば17歳(17年後)もしくは、18歳(18年後)です。
一般論的には、このタイミングでの解約(満期)為替レートが保険料支払いの平均為替レートより円高になっていると円では元本割れになってしまうので損になる。
将来の為替レートは予測できないので決まった時期の教育資金準備には向かないとなっているのです。
外貨建て保険の解約のタイミングはある程度の期間は計れる
保険種類、保険料払込期間、外貨建て保険での教育資金準備の割合、奨学金制度の活用等をうまく設定し、間違わなければ10年程度の期間は計れます。
10年程度の期間があれば、これまでの為替周期を参考にすれば解約するのにいいタイミングがあるのではないでしょうか。
これでも為替リスクが怖いとなれば、元本保証型のほとんど増えない教育資金準備方法を選択するしかありません。
そのノウハウもわからずに目先の販売だけを重視する保険販売が横行しているので、外貨建て保険は悪者にされてしまっているのでしょう。
要は、出口対策を考えていないのです。
2. 貯蓄と考えるには効率が悪い
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現在、円での積立商品の貯蓄率と言いますと、良くても表面利率0.05~0.1%程度ではないでしょうか。
これは、
ということです。
皆様はこれをどうとらえますでしょうか。
※( )内の数字は積立額に対する%表示です。
円建ての学資保険で最も返戻率が高いと言われているものでも表面利率0.5%程度です。
元本割れする学資保険までありますのでご注意ください。
一方、ある外貨建て保険(米ドル建て)の場合には、この表面利率が約1.4%程度になります。
被保険者の年齢等により異なる場合がありますが、為替レートが同一とするならば、円換算で約300万円(約125%)となります。
22年間かけて、どの程度の貯蓄率で良しとするかで判断は分かれると思われますが、最低、表面利率1%程度は目指したいところではないでしょうか。
そう考えれば、出口対策をしっかりおこなったうえでの外貨建て保険の活用はありではないでしょうか。
3. 保険料払込期間中の解約リスクが大きすぎる
貯蓄率を高めるためには低解約返戻金型にする必要があるため、保険料払込期間中の解約リスクが大きすぎるとの意見があります。
しかし、このリスクは児童手当の活用で最小限にできると考えています。
児童手当は、0~15歳までの15年間で誕生月により若干変わりますが、総額約200万円前後受け取れます(所得制限は無視しております)。
このお金をまるまる保険料の支払いに充てられれば、それほどリスクは高くないのではないでしょうか。
元々、大学の教育費は子供一人あたり、少なくとも約500万円は必要なので、0歳児の頃から始めたとして毎月2万円程度の積立は何かしらの方法でしなくてはなりません。
児童手当を教育資金に充てることができない家計ということは、そのこと自体に問題があるのではないでしょうか。
外貨建て保険活用のまとめ
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・ 保険種類は満期のない終身保険を活用すること
・ 外貨建て保険での教育資金準備は大学授業料の3年分程度まで
・ 保険料払込期間は10年程度
・ 外貨建て保険以外での教育資金準備も併用する
これらを守ったうえでおこなえば、それほどおかしなことにはならないでしょう。
ジュニアNISAや積立NISA、個人向け国債などがそのほかの方法として紹介されたりしていますが、リスクや手続きの手間や管理、貯蓄率を勘案したときにどれがいいのかは個別に判断しなければいけません。
というのは、一般論からでは的確な回答になっているとは限らないということでしょう。(執筆者:小木曽 浩司)