インデックス・ファンドであれば、信託報酬や購入時手数料などのコストが低ければ低いほどいいと思っていませんか。
ただし、コストが低くてもインデックス・ファンドとしての役割を果たしていないファンドは意味がありません。
ここで紹介するのは、インデックス・ファンドが正確に指数に連動して値動きしているかを示す「トラッキングエラー」という値です。
この値を使って、インデックス・ファンドの役割を果たしているかをチェックしましょう。

目次
トラッキングエラーとは
トラッキングエラーとは、ファンドの値動きがベンチマークとしている指数の値動きから乖離することをいい、「アクティブリスク」と呼ばれることもあります。
トラッキングエラーの値は、ファンドの値動きがベンチマーク指数と近ければ近いほどゼロに近づきます。
そして、ベンチマーク指数との乖離が大きくなれば、トラッキングエラーの値は大きくなります。
インデックス・ファンドでは、ベンチマーク指数の値動きに正確に連動すればするほど、良いとされているため、インデックス・ファンドの評価に、このトラッキングエラーがよく用いられています。

インデックス・ファンドの値動きはベンチマーク指数と同じではないのか?
インデックス・ファンドの値動きが、ベンチマーク指数と異なる動きをすることがあるのかと疑問に思うかもしれません。
基本的にインデックス・ファンドは、ベンチマーク指数に連動した値動きとなるように設計されています。
しかし、実際には様々な理由でベンチマーク指数とインデックス・ファンドの値動きが完全に一致しないことがあります。
例えば、インデックス・ファンドの値動きには、ベンチマーク指数以外に信託報酬などの運用コストも影響してきます。
そのほか、資金の流出入や端数処理などのさまざまな原因で、インデックス・ファンドであっても、ベンチマーク指数とは異なる値動きとなる場合があります。
トラッキングエラーでファンドを比較してみよう
ベンチマーク指数に正確に連動してなければ、インデックス・ファンドの意味がありません。
下がるべき時に値下がりしなければ安い価格でファンドを購入できませんし、上がるべき時に正しく値上がりしてくれなければ、運用リターンが小さくなってしまいます。
ですから、TOPIXが3%下落した場合は、TOPIXに連動するインデックス・ファンドも同様に3%下落すべきなです。
トラッキングエラーの過去の実績値は、目論見書等に掲載されていませんが、一部の証券会社やファンド比較サイトではインターネット上で確認できるようになっています。
正確にベンチマーク指数に連動してインデックス・ファンドの役割を果たしているのかを、トラッキングエラーで比較してみるのはいかがでしょうか。(執筆者:潮見 孝幸)