ネット証券が普及したことにより投資は身近になりました。
そして海外への移住や赴任、一時滞在なども現在は海外旅行や留学に気軽にいける時代になりました。
そこで問題によくなるのが海外に移住したり赴任したりするときに証券会社でポジションを持っているケースです。
私も海外で働く前にネット証券を利用して投資をしていたため、海外に行く前にとても面倒な思いをしたのを覚えています。
結論を先に述べておくと海外に行く前に日本・海外のネット証券でポジションを持っている場合は最寄りの税務署や税理士に相談しに行ってください。
行かないと後からトラブルのもとになるからです。

目次
国外転出時課税制度では1億円以上の含み益は課税対象
2015年頃、私はバンコクのスクンビットの行きつけの美容室で友人の美容師と世間話をしていました。
友人の美容師はバンコク在住の投資家の顧客も抱えており、私も投資をしていたことから国外転出時課税制度が話題になったのです。
私: 俺はそういうの慎重だからタイにくる前に税務署に相談して日本で全部、ポジションを整理してからタイに来たから大丈夫だよ。
友人:すごい資産家の人が含み益を1億以上保有したままタイに移住しようとしたんだけどなんかできなくなったらしいぞ。
私: そうなんだ。大変だね。
2015年7月以降に国外に転出する高額資産家を対象に資産の含み益に対して所得税が課税されるようになりました。
この制度を国外転出時課税制度と言います。
対象は
・ 原則として出国する前の10年以内の間に5年を超えて日本国内に住んでいたこと
とされています。
有価証券や未決済の信用取引・デリバディブ取引などです。
海外移住や転勤の時に株を持っているとトラブルになりやすい

・ 最寄りの税務署に相談する
この2点を海外移住や赴任の前にすることがトラブルを避けるもとです。
海外移住後に海外で利益確定をするとトラブルになりやすいのです。
例えば日本のネット証券ならば原則、非居住者になった場合は取引ができなくなるのが普通です。
そのため海外に行くことになったら口座を閉じなければなりません。
ただし永住ではなく一時的な滞在ならばそのまま、証券会社によっては帰国までの間、株を預けることもできます。(例:SBI証券)
一方で海外に転勤の場合でも口座を解約するように手続きをするようにというネット証券もあります。(例:楽天証券)
特にNISA口座などは非居住者に該当すると判明した場合、口座廃止の手続きをとられてしまいます。
また海外に行く前に税務署に立ち寄り、年度途中に確定申告をするなどの手続きをしなければいけないケースもあります。
最寄りの税務署に相談するのがトラブル回避のために重要となります。
1億円以下なら含み益は課税対象にはならないが要注意
国外転出時課税制度では1億円以上の含み益は課税対象と明言されています。
一方で1億円以下ならば含み益をそのまま海外にいる時に利益確定すれば税金を払わなくても良いのでしょうか。
そんなに単純な話ではありません。
結局、日本に実質的には本拠地があるのだから日本で税金を納めてくださいなどと後から言われてしまう可能性があります。
1億円以下でも含み益の扱いについては最寄りの税務署に相談しておくことで後からトラブルに巻き込まれずに済みます。

確実なのは税務署や税理士に相談すること
海外に移住・赴任・転勤、今や当たり前です。株を持っている人もその中では少なくないでしょう。
もしも株投資をしていて海外に移住・赴任・留学することがあれば取引している証券会社と最寄りの税務署に相談に行くのが確実です。
自分勝手な判断で黙っていても大丈夫だろうという態度が後々にトラブルにつながります。
まとめ
海外に赴任・移住などの予定がある投資家は自分勝手な判断をせずに最寄りの税務署と取引している証券会社にすぐに連絡しましょう。
後から口座の管理や税金などでトラブルが起きないためにも事前に確認しておくことが大切です。(執筆者:田守 正彦)