2017年厚生労働省の調査では、日本人の喫煙率は男性29.4%、女性7.2%、そのうち男性が26.1%、女性が39.0%禁煙をしたいと希望しています。
しかし、ニコチンの依存性や喫煙に対する間違ったイメージが原因で「禁煙」を継続することはなかなか難しいのが現実です。
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実は、私も2度の禁煙体験をもっています。
そんな話も織り交ぜながら、禁煙について考えていきましょう。
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禁煙をはじめる理由は、だいたい大きく3つに分類できると思います。
1. 健康
2. 環境
3. お金
目次
1. 健康
タバコは「百害あって一利なし」です。
たばこの煙には、粒子成分約4,300種類、ガス成分が約1,000種類の合計5,300種類含まれています。
そのうち発がん性のある化学物質は約70種類で、依存性の原因となるニコチン(一般に殺虫剤に使われる中毒性のある物質)、毒性の強いヒ素や一酸化炭素などがあります。
喫煙と疾患の因果関係判定
厚生労働省が2016年8月に「喫煙の健康影響に関する検討会報告書」をまとめています。
そのなかで、喫煙と疾患の関係を、研究結果の一致性、量反応関係、喫煙後のリスク減少の有無などさまざまな要素を科学的な観点から総合的に判断し、4段階で区分されたのが「喫煙と疾患の因果関係判定」です。
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喫煙者本人への健康影響
こちらの図(国立がん研究センター)は、喫煙者本人がなりやすいレベル1の病気の一覧です。
がんをはじめ生活習慣病といわれるものが多く含まれていることが分かります。
また、妊婦の喫煙では、出産時や生まれてくる子供へ影響が及びます。
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さらに、喫煙は、喫煙者本人だけではなく、家族や友人・同僚など周囲の人たちにも健康への悪影響を与えます。
タバコの煙が体内に入るルートによって、一次喫煙(能動喫煙)二次喫煙(受動喫煙)三次喫煙(残留受動喫煙)に分けられます。
・ 一次喫煙(能動喫煙)
自らの意思で喫煙者自身が、タバコの煙を吸い込むこと、通常の喫煙のことです。
・ 二次喫煙(受動喫煙)
自らの意思とは関係なく非喫煙者が、タバコの煙にさらされ、煙を吸い込んでしまうことです。
・ 三次喫煙(残留受動喫煙) タバコの火が消えて煙がなくなっても、喫煙者の髪や服に付着するのはもちろん、煙の漂う範囲にある壁や家具、カーテン、洗濯物などにも付着し、有害物質が少しずつ揮発し続けます。
この有害物質を吸い込んでしまうことを三次喫煙といいます。
三次喫煙は新しい概念であるため、健康への影響についても明らかでありませんが、原因から考えると、屋内を完全禁煙にすることで三次喫煙が減少できることがわかります。
喫煙者の周りの人たちへの健康影響
受動喫煙(二次喫煙)による健康への影響をみると、大人では、レベル1に肺がんや虚血性心疾患、脳卒中が判定されています。
また、子どもでは、乳幼児突然死症候群(SIDS)とぜんそくの既往がレベル1と判定されています。
本人はタバコを吸わないのに、配偶者がヘビースモーカーで肺がんになったという話は皆さんよく知るところです。
虚血性心疾患、いわゆる狭心症・心筋梗塞や脳卒中などにも影響を及ぼすことに認識のない方が多いのではないでしょうか?
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冒頭、喫煙率をご紹介しましたが、年代別でみると男性の
・ 30代… 38.9%
・ 40代… 38.2%
と男性平均より10%近く上回っています。
この世代の多くは、ファミリー世帯で働き盛りでもあります。
タバコを吸うか吸わないかにかかわらず、健康管理に十分気を付けたいものです。
ちなみに私が2度目の禁煙をしたのは、45歳の時、思春期に入った娘に、「ぜんそくで苦しいから辞めて」といわれたことがきっかけでした。
今振り返れば、家族に対して申し訳なかったと思います。
2. 環境
世界保健機関(WHO)
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1987年(昭和62年)・1988年(昭和63年)世界保健機関(WHO)の世界保健総会決議により、5月31日を「世界禁煙デー」と定め、1989年(平成元年)から実施されています。
「世界禁煙デー」を通して、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指しています。
日本では1992年(平成4年)より、5月31日から6月6日までの1週間を「禁煙週間」として、各種の施策が講じられてきました。
健康増進法の一部を改正
「2020(令和2年) 年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会」を控え、受動喫煙防止対策の強化が推進されています。
これは、日本の受動喫煙対策が世界保健機関(WHO)による4段階評価の「最低レベル」という現状の改善が目的です。
さらに、望まない受動喫煙の防止を図るため、2018(平成30年)年7月25日に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、2019(令和元年)年7月より学校・病院・児童福祉施設等、行政機関では、原則敷地内禁煙となります。
すでに始まっているところも多いようですが、これまでの喫煙スペースが建物内から建物外に移されます。
そのうえ、2020(令和2年)年4月には、それ以外の施設等も原則屋内禁煙となります。
喫煙者・愛煙家にとっては、非常に厳しい環境です。
私の体験で恐縮ですが、1回目の禁煙は、第一子を出産後、夜中に何回も起きなくてはならないこと、喫煙場所を選ばなくてはならないことがきっかけでした。
いちいち、喫煙するのに外まで出なくてはいけないことが、面倒くさくなり禁煙しました。
3. お金
たばこの経済的負担は、1日のタバコを吸う本数にもよりますが、1日1箱吸う人の負担額を1箱500円で計算してみました。
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禁煙すると、この「負担額がそのまま貯蓄額になる。」想像するだけでうれしくなりますね。
180万円は大きいです。投資や運用の比ではありません。
また、民間の生命保険会社の中には、非喫煙者に対して保険料の割引制度を取り入れているところもあります。
この場合、ニコチン検査といって唾液で判定します。
禁煙後、おおむね1年ぐらいで割引適用されることが期待できます。
禁煙の継続には、「きっかけ」が大事です
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喫煙は自分の好み、ストレス発散、ライフスタイルなんて考えている方も多いと思います。
しかし、禁煙は世界的潮流であり、タバコを吸うことで、なにより家族への健康や経済的負担を強いていることはまちがいありません。
私自身、2回目の禁煙から15年がたちました。
その間に住宅を購入し、3年前には頭部開頭手術を受けましたが、60歳を過ぎた今が最高に元気です。
禁煙できたおかげだと思います。
禁煙の継続には、「きっかけ」が大事だと思います。
今一度なぜ禁煙したいのか、なぜタバコを吸っているのか考えてみてはいかがでしょうか?
次回は、結構大変だった実際の禁煙体験を交えて、禁煙方法や注意したいことなど書きたいと思います。(執筆者:京極 佐和野)