2019年に入り、毎月のように値上げのニュースがあります。
6月もカップ麺やトイレットペーバーなどの商品が値上げされました。
相次ぐ生活必需品の値上げに加え、10月からは消費税が10%に上がることも予定されています。
6月3日、金融庁は長寿化によって会社を定年退職後の人生が延びるため、「95歳まで生きるには、夫婦で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になる」との試算を示しました。
公的年金制度のみに頼った生活設計では資金不足になる可能性があり、長期・分散型の資産運用の重要性を強調しました。
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目次
日本人の貯蓄の実情
日本人は貯蓄好きと言われますが、総務省の2018年家計調査によると、貯蓄の内訳は
・銀行や郵便局に預けられた普通預金、定期預金等
・保険会社に貯蓄性商品として預けられた積立金など
≪残り約15%が元本保証されていない商品≫
・株式や投資信託など
となっています。
長引く低金利で銀行や郵便局に定期預金100万円を預けても金利は年0.01%程度です。
金額にすると100円(税引前)、自販機の缶コーヒー程度の額です。
低金利に耐えかねて高いリターンを期待できる株式や投資信託など元本保証されていない商品に投資したい方も増えてきていますが、約15%という数字が示す通りまだまだ少ないのが実情です。
こうした背景から、資産を2倍にする金利別の必要年数や投資の基礎となる直接金融と間接金融について以下で解説します。
「72の法則」で金利だけで資産を倍にする年数を試算
皆さんは、72の法則という言葉をご存じでしょうか。
お金が倍になる年数と金利(複利で運用)を簡易に求められる法則(税金は考慮していません)です。
計算式:72 ÷ 年利(%)≒ 資産が倍になる年数(近似値です)
1970年代日本が高度経済成長期の頃には、年利8%の郵便局の定額貯金がありました。
今では大手都市銀行に定期預金を100万円預けても金利は年0.01%程度、金利の高いネット銀行でも0.2~0.3%程度です。
資産を倍にする必要年数を前述の「72の法則」に当てはめると、金利別には以下のようになります。
・年利1%の場合:72 ÷ 1≒ 72年
・年利2%の場合:72 ÷ 2 ≒ 36年
・年利3%の場合:72 ÷ 3 ≒ 24年
・年利4%の場合:72 ÷ 4 ≒ 18年
・年利6%の場合:72 ÷ 6 ≒ 12年
・年利8%の場合:72 ÷ 8 ≒ 9年
・年利10%の場合:72 ÷ 10 ≒ 7.2年
年利0.01%の場合には7,200年かかりますが、もし8%の年利なら9年です。
資産を金利だけで倍にするには金利の違いによって年数に大きな差が生まれるため、リスクの低い銀行預金で資産を増やすのは現実的ではないことがわかります。
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「直接金融」と「間接金融」を理解しよう
「直接金融」と「間接金融」という言葉をご存じでしょうか。
1.「直接金融」と「間接金融」とは
あまりなじみのない言葉ですが、
証券会社等を通してある会社の株式や社債を購入することによって、お金を出す人と受け取る会社が直接結びつくお金の流れのこと
です。
銀行等に預金されたお金を銀行が資金を必要とする会社に貸し出すことによって、お金を出す人と受け取る会社が銀行を通して間接的に結びつくお金の流れのこと
です。
2.「直接金融」と「間接金融」のリスクとメリット
では、お金を受け取った会社が倒産した場合はどうなるでしょう。
「直接金融」の場合は、自分が判断して購入した株式や社債は全額が戻ってこない可能性があり、リスクは高くなります。
「間接金融」の場合は、銀行が融資先を選別していますので会社が倒産しても預金者が責任を負うことはありません。
預金は全額保護(預金保険制度により、預金者1人当たり1金融機関ごとに合算され元本1,000万円と破綻日までの利息が限度)され、リスクは低くなります。
「直接金融」は株式に代表されるようにリスクが高い商品です。
株価が年間10%超の値上がりをすることもあり、年間4%を超える配当金や株主優待をもらえることもあるため、高いリターンも期待できます。
一方、普通預金や定期預金など「間接金融」はリスクが低い安全商品ですが、ほぼ無利息でリターンも低くなります。
リスクやリターンはこの「直接金融」と「間接金融」に起因しており、リスクを恐れていては高いリターンは望めないということです。
投資初心者はどのように運用すべきか
金融庁から老後のために2,000万円必要といわれても、今まで銀行預金しかしてこなかった方にとっては、今後どのようにしていけばよいのか迷うところです。
夏のボーナス支給も近いので、次回は初心者のための投資の注意点について解説していきます。(執筆者:後藤 誠道)