売買成立(約定)から決済(受渡)まで3営業日という株式投資の決まりは、配当取り・優待投資やNISA投資・特定口座での税金対策を考える上で頭に入れておくべきものです。
長い間意識してきたこの決まりですが、令和の時代を迎え2019年7月16日(海の日の翌日)の約定より、2営業日に短縮されようとしています。
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8月・9月の配当優待狙いからは気をつけたい
株式を保有して配当・優待を獲得する権利を得るには、権利付き最終売買日までには取得し、権利確定日には受渡が完了している必要があります。
東京証券取引所や日本証券業協会は2019年7月16日から、約定から受渡までの決済期間を3営業日から2営業日に短縮すると発表しました。
権利付き最終売買日と権利確定日の間隔も従来3営業日でしたが、2営業日に短縮されます。

2019年7月16日の約定より決済期間短縮
最も早く影響受ける銘柄は、決算期末が1月20日のダイドーグループHD(証券コード:2590)・7月20日の内田洋行(証券コード:8057)などですが、この段階で配当・優待取りできる銘柄は少数です。
7月17日(水)が権利付き最終売買日であり、19日(金)には受渡が行われている必要があります。
多くの投資家に関わるのは、小売り企業の中間期末が集中する8月末や、3月決算企業の中間期末にあたる9月末です。
8月末締めであれば8月28日(水)、9月末締めであれば9月26日(木)が権利付き最終売買日です。
権利付き最終売買日には配当・優待狙いの投資家の購入が殺到して株価が大きく上昇し、逆にその翌日は大きく下落することが多いです。
数日前ぐらいにはメディアで話題になるでしょうが、取得のタイミングを誤らないよう気をつけてください。
2019年のNISA・税対策の締めは12月26日

決済期間の短縮は、非課税のNISAを含めた税対策にも影響します。
従来は12月30日(土日の場合は直前の金曜日に前倒し)に開催される大納会の3営業日前が税金対策の年度末となり、その翌日には翌年の扱いになりました。
これも決済期間の短縮で2営業日前となります。
2019年は12月30日(月)が大納会のため、12月26日(木)が締めとなり、また12月末が権利確定日の銘柄は26日が権利付き最終売買日となります。
このタイミングを1日間違えていると、NISAの場合2020年の非課税枠で12月26日に取得を予定していた銘柄が、実際には2019年の非課税枠では足りなくて取得できないことが想定されます。
また特定口座における税金対策でも、12月26日に2020年分の取引を行ったつもりが2019年分として考慮しなければならないというミスも生じます。
後ろに締めがズレるので、年末の税対策であれば大きなミスにはつながらないでしょうが、目算が狂わないように気をつけたいものです。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)