株主優待とは、企業側が株主に対して、優待品を送る制度です。
優待品は自社の物やサービスであることもありますが、特に関係のない品物であることもあります。
全ての株式に株主優待があるわけではありません。
株主優待のある企業とない企業があります。
ちなみに筆者は基本的に株主優待が好きです。
特にマクドナルドの株主優待が好きです。
何しろ、株式を保有しているだけで、一定期間ごとにマクドナルドの店舗で使える優待券がもらえるので純粋にうれしい気持ちになります。
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本記事では、
について考察します。
目次
株主優待はインカムゲイン。売却差益はキャピタルゲイン
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株主優待のような、株式を保有しているだけで手に入る収入のことをインカムゲインと呼びます。
一方、株式そのものを安く買い、高く売った時の利益のことをキャピタルゲインと呼びます。
たとえば、1万円で購入した株式を1万1,000円の時に売却すると、差額の1,000円がキャピタルゲインとなります(税・手数料を無視しています)。
株主優待のデメリット?
統計的なデータではありませんが、筆者のこれまでの相談や質問などから受けた印象としては、
ように感じます。
このようにお金に対して「色分け」をしてしまうことを行動経済学という分野では「メンタルアカウンティング(心の会計)」などと呼ぶことがあります。
どっちも同じお金と考える
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ただ、本来は当然ながらインカムゲイン(株主優待)とキャピタルゲイン(売却差益)、両方とも同じ「お金」です。
ですから基本的に頭の中ではただの「収入」として同一に考えるべきです。
しかし、人によってはしばしば、「メンタルアカウンティング(心の会計)」が強く働き過ぎて、
という考え方が出がちです。
具体的に言いますと、株価が1,000円上がって含み益が出ても、財布のひもは緩みません。
しかし、優待で例えば1,000円をもらうと、「優待は別腹」的な気持ちになり、財布のひもが緩みやすいです。
株主優待のメリット 認知的なエラーを逆に利用する
合理的な投資を考える場合は、前述のように
です。
しかし、逆に考えると、この人間のクセを利用して長期投資に生かすこともできるかもしれません。
どういうことでしょうか。
たとえば、目先の株主優待があると「もう売ろうかな」という気持ちが出た場合にも、株主優待のある銘柄であれば、
という気持ちが働きやすくなります。
結果として短期的な値動きに左右されなくなり、長期投資が実現しやすくなる可能性が高まります。
短期では投機的になるので、株式投資は長期保有が合理的
倒産などの特別な事情がない限り、株式投資では長期保有が有利になると考えられます。
それは、三年以内などの短期保有では運用結果が「上がるか・下がるか」が運任せになってしまうからです。
株式に限らず金融商品の値動きは、ランダムウォーカーとも呼ばれます。
簡単に言うと「でたらめ」な動きなのです。
そのため、短期間の株式保有は「投資」ではなく「投機」になりやすいです。
株主優待がある銘柄を保有することで、「いま売るともったいない」気持ちが強く働き、結果として長期の「投資」になれば、自然と良い運用成果に結びつきやすくなる可能性があります。
株主優待目的で買った投資銘柄が大暴落! こんな時どうする?
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さて、もしも筆者や読者の方がお持ちの株主優待のある銘柄が大暴落したら、どうするべきでしょうか。
筆者は基本的に
と思います。
もちろん、その企業が倒産の危機に瀕していれば「売る」という選択肢もあるでしょう。
しかし、全体、例えばトピックス(日本の株価の指標)が同様に大きく値下がりしていれば、それはどの銘柄でも起こっているようなものですので、特に慌てる必要はないでしょう。
また、単品の株式では、分散された結果の指標よりもリスク(値動きの振れ幅)が大きいことが知られていますので、危機時には特に大きく下がるのが普通という考え方もできます。
また、投資の基本は「安い時に買うことで利益が出せる」というシンプルなものです。
市場全体が大きく下落している時期であれば、相対的に割安であると考えられます。
もし資金に余裕があれば、さらなる株主優待の銘柄の保有に動いても良いかもしれません。
株主優待は趣味程度がベスト
ここまで株主優待に対してポジティブな意見ばかり書いてまいりました。
しかし、より冷静に合理的な資産運用を考えてみますと、結局のところ、分散投資を徹底したほうがリスク(値動きの幅)は下がります。
分散投資をした方が合理的だと考えられるので、株主優待は趣味程度にするとより合理的な投資になりやすいかもしれません。
そのため、長期分散投資の主役は株主優待のある個別銘柄ではなく、投資信託になると筆者は考えます。
ただ、株主優待は筆者も好きですし、楽しいです。
そのため、株主優待のある銘柄を購入する際は、長期分散投資の「お楽しみ」程度に考えて少額でとどめることがより健全な資産運用になるかと思います。
本記事が読者の方の合理的な資産形成の一助になれば幸いです。(執筆者:佐々木 裕平)