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住宅ローンの返済が苦しい

夢のマイホームを手に入れたのに、時がたつと住宅ローンの返済が苦しくなる人が多くいます。
給料カット、子どもの教育費の増大、親の介護、病気など…家を買うときには想定していなかった問題で住宅ローンの返済に行き詰まることは珍しいことではありません。
住宅ローンの滞納が続くと、家は差し押さえられ、競売にかけられて追い出されることになります。
それでも負債が残り、自己破産せざるを得ない人も少なくありません。
子どもたちもその家で育ち、今も元気に学校に通っている。子どもたちのためにも、自分たちの老後のためにも、家を手放したくないと思うのも、もっともなことです。
そんな将来を悲観して自ら命を絶つ人もいます。
しかし、早まってはいけません。解決策はまだあります。
この記事では、住宅ローンの返済が苦しい人や既に滞納している人、他の負債も抱えてしまっている人でも家を手放さずに済む5つの方法をご紹介します。
1. 借入先の金融機関にリスケジュールを相談する
住宅ローンのリスケジュールとは、月々の返済額や返済期間を見直し、返済計画をあらためて設定することを言います。
まずは、借入先の金融機関にリスケジュールの相談をしてみましょう。
もともと35年払いで借りているケースなどではリスケジュールできないこともありますが、金融機関の担当者は意外に親身に相談に乗ってくれます。
相手は敵ではありません
リスケジュールが無理でも、金利の見直しに応じてくれたり、一定期間は利息の支払いだけにしてくれたりなど、代替案を示してくれることも多いのです。
金融機関としても、何とか住宅ローンの返済を続けてもらった方が得なので、親身に考えてくれるのです。
正直に相談すれば、それだけで解決策が見つかることもあります。
2. 住宅ローンを借り換える
現在の借入先の金融機関に相談してもうまくいかない場合、借り換えることも検討してみましょう。
近年では、ネット銀行の普及によって超低金利の住宅ローンがたくさんあります。
現在支払中の住宅ローンよりもメリットが大きいものを見つけて借り換えれば、月々の返済額を減らせます。
ただし、借り換える場合は保証料などの諸費用がかかります。
諸費用の相場としては30~80万円程度と言われています。
諸費用は借り換え後の住宅ローンに含めることもできますが、これだけの諸費用を負担してでも借り換えた方が得かどうかは慎重に判断する必要があります。
おおざっぱな目安としては、
・ 返済期間が10年以上残っている
・ 現在のローンと比較して金利が0.5%以上低い
のいずれかに当てはまる場合は借り換えた方が得になると言われています。
ご自身のケースについては、くれぐれも総合的に判断するようにしましょう。
3. 家を売却する

家を売却することは、家を手放すことと同じではありません。
家を売却した上で、それ以降はその家に賃貸として住み続けられる可能性はあります。
一定期間が経過した後、その家を買い戻すことも不可能ではありません。
最近では不動産系の各企業が、買戻し特約付きで住宅を買い取ったり、売買を仲介したりするサービスを提供しています。
賃貸として住み続けられる期間は3年に設定されているケースが多いです。
この方法はあまりおすすめできません
買い戻し特約付きで住宅を買い取る人や企業は、そうすることでお金を儲けるわけですから、売却して買い戻す側にとっては負担が増えるからです。
売却価格は相場よりも低く、買い戻し価格は相場よりも高く設定されます。
つまり、賃貸として住み続ける3年の間によほど経済状態が好転しないと買い戻すことは難しいのです。
3年の間に買い戻すことができなければ、退去するしかありません。
このような企業が提供するサービスではなく、親類や知人に買い取ってもらって、賃貸として住み続けることができれば安心です。
このような相談に乗ってくれる親類や知人を見つけるのは大変かもしれませんが、頼れる人が見つかった場合は大変有効な解決策になります。
4. 債務整理をする
住宅ローンの返済が苦しくなった人の中には、消費者金融やカードローンなどにも手を出している人が多くいます。
そのようなケースでは、住宅ローン以外の債務を整理することで月々の負担を軽くすることがおすすめです。
債務整理には
2. 個人再生
3. 自己破産
という3種類がありますが、自己破産すると家を手放すことになるので、ここでは説明を省略します。
任意整理
借入先の債権者と交渉することによって返済方法を変更して、改めて返済していく方法です。
将来利息はカットできますが、現時点での残高をカットするのは基本的に難しいです。
そのため、月々の返済額も大幅には下がりません。
負債総額や借入件数が比較的少ない人に向いている方法です。
もっと負債が膨らんでいる場合は、次の個人再生を検討することになります。
個人再生
裁判所に申し立てることで借金を減額した再生計画を作成し、その計画通りに返済できれば残りの借金は免除されるという方法です。
借金は原則として5分の1(最大10分の1)にまで減額されます。
住宅ローン以外の借金が1,000万円ある場合、再生計画では総支払額は5分の1の200万円にまで減額されます。
これを36回~60回で返済する計画が立てられるので、月々の返済額は3万3,334円~5万5,556円にまで減ります。
住宅ローンを抱えている人でもこの方法をとれます。
住宅ローンはそれ以外の借金とは別の扱いになり、そのまま返済を続けることもできますし、再生手続の中で返済方法を変更できます。
個人再生を利用するには、再生計画案どおりに返済していくことが可能なだけの安定収入があることなど、いくつかの要件があります。
要件を満たす場合には極めて強力な解決策になります。
5. 収入を増やし、支出を減らす

家を手放さないためには、親類や知人が援助してくれる場合は別として、結局は住宅ローンを支払っていかなければなりません。
そのためには、収入を増やし、支出を減らす必要があります。
既にギリギリまで努力していると思う人も多いかもしれませんが、見直せる点はまだありませんか?
副業も大きな収入源
夜や休日が空いているのなら、副業ができます。
副業としては、アルバイトなどを探して働きに行くのもいいですが、体を壊しては本末転倒です。
最近はインターネットを使った在宅ビジネスがたくさんあります。
それで月に数十万円稼いでいる人も珍しくありませんし、数万円稼いでいる人ならいくらでもいます。
数万円でも返済の足しにはなります。
無駄を省く
さらに、車がなくても生活できるなら手放したり、無駄な保険は解約したり、新聞も解約するなどすれば、月々の「固定費」をグッと減らせます。
また、あまり意味のない飲み会への参加をやめたり、交友関係を減らしたりして交際費も減らせます。
外食をやめて自炊し、食材はプライベートブランドの商品を買ったり、ディスカウントショップを活用したりすれば食費もかなり減らせます。
プライベートブランドの食パンや乾麺なら、100円以内でお腹は十分に満たせます。
飲み物は、安易に自動販売機で購入しないで、水筒やペットボトルに水かお茶を入れて持参しましょう。
これだけで月に数千円は節約できます。
日常生活の至るところに改善できるポイントがあるはずです。
家を残したいのなら、厳しい目でチェックしてみましょう。
生活を見直し改善する
借りたときには返せると思っていた住宅ローンの返済が苦しくなったということは、自分の生活や人生の中にどこか問題があることが多いです。
この記事では、住宅ローンそのものの見直しから、住宅を売却すること、債務を整理すること、収支状況を改善させることまで、多角的に検討してきました。
返済に苦しんでいる今、このように多角的に自分の状況を見つめて改善することが必要ではないでしょうか。
この記事をお読みになって、ひとつでも実行できることや改善できることが見つかったのなら、まだチャンスはあります。
マイホームという夢を守るために、ぜひ行動してみましょう。(執筆者:川端 克成)