目次
企業年金連合会の前身は、厚生年金基金連合会
皆さま、「企業年金連合会」をご存知でしょうか?
「企業年金連合会」とは、その名のとおり企業年金の連合体です。
昭和42年に厚生年金保険法に基づき厚生年金基金の連合体の「厚生年金基金連合会」として設立され、その後、平成16年の法改正により「企業年金連合会」と名称が変わっています。
もともとは、企業年金の1つである「厚生年金基金」の連合体だったわけですね。
ちなみに、厚生年金基金はあくまでも企業年金であり、公的年金である「厚生年金」とは異なります。
ただ、厚生年金基金が他の企業年金とも大きく違うところは、老齢厚生年金 (報酬比例部分)のうち、厚生年金基金の加入員期間にかかる部分の年金給付を国に代わって行う点です(この部分を代行部分といいます)。
そのため、このような名前となっているわけです。

厚生年金基金から給付される年金は、基本部分と加算部分がある
さて、厚生年金基金から給付される年金は、以下の2つに分かれます。
・ 厚生年金基金独自の給付の部分…「加算部分」
以前は、企業年金というと厚生年金基金と適格退職年金でしたが、2012年3月31日で適格退職年金は完全に廃止されました。
また、2013年の法改正により厚生年金基金の新設は認められなくなっており、現在では、企業年金は確定給付企業年金と確定拠出年金(企業型)が主流となっております。
もう一度、厚生年金基金に話を戻しましょう。
厚生年金基金では、基本部分は加入員期間が1か月でもあれば年金の給付が発生します。
しかし、加入員期間が短い場合は年金額が小額となり、年金額よりも支払いコストの方が高くなり、非効率的になってしまいます。
次の会社も短期間で退職して、そこでも厚生年金基金がある場合は、また同様の問題が発生するわけです。
また、生命保険や公的年金と同様に、企業年金においても年金を受け取るためには「請求」が必要となります。
支給開始年齢に到達すれば、自動的に年金を支給してくれるわけではありません。
そうすると、このような短期間で退職した人は、支給開始年齢に到達した場合、過去に加入していたすべての厚生年金基金に年金の請求をしなくてはならず、非常に手間がかかってしまうわけです。
一括支給が可能になり、受給者の手間が軽減

そこで、短期間で退職などして厚生年金基金の加入員期間が短い者への給付の義務を、各厚生年金基金から厚生年金基金連合会へ引き継ぎ、厚生年金基金連合会がその者へ一括して支給するようになりました。
そうすれば、厚生年金基金もそのような加入員期間の短かった者への支給をする必要がなくなり、加入員であった者もすべての厚生年金基金に請求する必要がなく、厚生年金基金連合会に請求するだけで済みます。
厚生年金基金連合会はこのような業務を行っていて、現在は名称を変えて企業年金連合会となっているのです。
今では、確定給付企業年金においても、中途脱退者と呼ばれる短期間で退職した人について支給をまとめるという年金通算事業も実施しています。
以前、厚生年金基金のある会社にお勤めで、かつ、短期間が退職された方は、企業年金連合会から年金が支給されるかもしれませんので、ご確認されておいた方が良いですね。(執筆者:添田 享)