少子高齢化や核家族化が進む現代、高齢者の独居や夫婦2人暮らしという世帯が多くなっています。
介護や支援が必要になっても、近くで支援できる身内が居ない場合や頼れる身寄りがいないというケースもあります。
そこで困ってくるのは、介護のマンパワーだけではなく金銭管理や必要な手続き関連の書類のやり取りです。
金銭管理等は信用できる人に任せたいと思うのが通常です。
対策の1つとして近年広く浸透してきたのが成年後見人制度です。
今後は利用する方も増えてくるかもしれません。
そこで今回は、成年後見人制度についてその内容と実際に関わる費用、助成金などについて掘り下げてご紹介していきます。

目次
成年後見人制度とは
成年後見制度は、簡単に説明すると、身内や親戚が老いや認知症のため判断能力が衰えてしまった場合に周囲の人や専門職が後見人になる制度です。
後見人は財産管理や必要な契約等の締結をおこない、不当な契約などから財産を守る役割を果たします。
「成年後見人に誰がなるか」ということについては、成年後見人になるための資格はありませんが、民法が定める欠格事由(未成年者や破産者など)に該当しない方ことが条件です。
さらに、家庭裁判所が成年後見人としてふさわしい人物であるかどうかを判断します。
任意後見人制度
本人の判断力が衰える前に契約をし、判断能力が衰えてから後見人契約の効力を発動させる制度です。
任意後見人になることができるのは、本人、配偶者、四親等以内の親族に限られています。

法廷後見人制度
判断能力が不十分な方に適用される保護制度です。
家庭裁判所が後見人を選択します。
親族、弁護士や司法書士などの専門職が選出されることが多いです。
成年後見人制度でかかる費用
成人後見人制度で気になるのが、後見人に依頼するとどのくらい費用がかかるのかです。
依頼して以降ずっと費用がかかるのか、何かを頼む度にお金がかかるのかも気になるところです。
後見人に支払う報酬は、あらかじめ本人と後見人との間で取り決めておくことができます。
ただしそれは「任意後見人」の場合です。
家庭裁判所で決める「法廷後見人」の場合は大まかに目安が決まっています。
法定後見人の場合の費用
では、実際にどのくらいの費用がかかるのかをまとめていきましょう。
ここでは、家庭裁判所が明らかにしているという意味で、費用の目安が分かりやすいので実際の費用につていご紹介します。
基本的にかかる費用(基本報酬)

管理する財産が1,000~5,000万円未満の場合 … 月額3~4万円
管理する財産が5,000万円以上の場合 … 月額5~6万円
基本的にかかる費用の他に支払う報酬(付加報酬)
特別な事情があり、後見人が特別な行為をしたときに発生する報酬を付加報酬といいます。
付加報酬の例としては、次のような場合が考えられます。
・ 複数不動産の管理
・ 後見人の不正行為による交替処理
このような場合、基本報酬額の50%以内で相当額を支払うことになります。
成年後見人制度の利用を途中でやめることはできるのか
成年後見人は、正当な理由がなければ途中で辞めることや、家族の都合で辞めさせることはできません。
成年後見人は本人の判断能力が回復する、または、本人が死亡するまでは原則として続けることになっています。
家庭裁判所が認める正当な理由とは、例えば「後見人本人が仕事を続けられない状態になった」、「後見人本人が海外に転勤になった」などの場合です。
成年後見人に支払う報酬に助成制度があります
成年後見人の報酬については自治体による助成がある場合があります。
各自治体によって助成金の内容が異なります。
「成年後見制度利用支援事業」という事業が多くの市町村で実施されています。
京都の場合
京都市の場合は、世帯収入条件を満たし、後見人が四親等以内の身内ではないことが条件となっています。
支給される経費は上限が設けられており、超えた分は実費になります。
参考元:京都市 京都市情報館
社団法人成年後見センター・リーガルサポートの場合
また、「公益信託・成年後見助成基金」という事業が社団法人成年後見センター・リーガルサポートによって実施されています。
社団法人成年後見センター・リーガルサポートの場合も、年齢や預貯金等のいくつかの条件を満たせば後見人に支払う費用の一部(月額1万円)が助成されます。
制度を利用された方参考にしながら判断してください
身内や親戚の判断能力が衰えてしまった時、金銭管理にまつわる苦労話は身近によく聞く話です。
成年後見人制度の活用は安心できる第3者に金銭管理や契約等を全て任せることで財産に関する身内間のもめごとを抑止する効果があります。
しかし、後見人に支払う報酬を巡って、身内間で意見が合わないこともあります。
本人に関わる家族、親せき間で良く話しあって進めていくこと、実際に制度を利用された方の話を複数パターンを参考にしながら、自分の場合はどうしたら一番良いかを判断すると良いでしょう。(執筆者:佐々木 政子)