数珠は祈りのための法具です。
数珠を通してこちらの想いは亡き人や神仏に届くと言われています。
葬儀や法事の時には必ず数珠を持参しますが、数珠がどのようなものか、どんな種類があるのかなどはあまり知られていません。
この記事では、とっても奥の深い「数珠の世界」をご紹介します。
目次
数珠は数を数えるためのもの
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数珠は「数」の「珠」と書きます。
これは本来、真言や念仏を唱える際に、その回数を数えるために用いられていたためです。
目を閉じて、一心不乱に仏様の真言や念仏を唱えていると、回数など分かりません。
ですから、ひとつ唱えるごとに珠をひとつ手繰(たぐ)ることで、唱えた数を把握します。
さまざまな数珠の種類
数珠には、宗派別の正式なものと、どの宗派でも使えるものとがあります。
宗派別の数珠はそれぞれに特徴が異なりますが、僧侶や、信仰心の篤い檀家などでなければ、各宗派共通のものを使用します。
108の珠を連ねた「二輪数珠」、そして略式の「片手数珠」などがあります。
それぞれ、どの宗派の葬儀や法事で使用しても構わないとされています。
数珠の材質
数珠の材質には、木の実、貴石(天然石)、香木などがあり、そのほか安いものであればプラスチックやガラス製のものもあります。
また、数珠を語る上で大切なのが房ですが、こちらも正絹と人絹の違い、さらには丸い玉がぶらさがる「梵天房」や、頭から撚り糸下がる「頭付き房」など、さまざまな種類があります。
こうした珠の素材や房の編み方は、数珠の雰囲気に大きく影響しますし、それによって費用も異なります。
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数珠の費用
プラスチック製やガラス製の数珠は、間に合わせのものとして選ばれていますが、これらは大量生産が可能なため費用はとても安く、3,000円前後から購入できます。
一般的に選ばれている数珠は1万円から5万円くらい。
大切に扱い、定期的に房の交換などのメンテナンスをすれば一生ものとして使えます。
高級数珠として用いられる宝石
数珠に用いられる貴石とは、分かりやすく言えば宝石で、高価なものだと100万円を超えるものもざらにあります。
男性だと翡翠や琥珀、女性だと珊瑚などが高級数珠の代表格です。
その他、水晶、瑪瑙、ガーネット、サファイア、エメラルド、ラリマー、ラピスラズリ、トルマリンなどの宝石も、数珠に用いられています。
たとえば、珊瑚をひとつとっても、高知県や沖縄県沖で産出される「血赤珊瑚」は大変稀少なために高価です。
その他、地中海で採れる「胡渡珊瑚」や、色のすこし淡い「桃珊瑚」などさまざまな種類に分類されます。
このような高級数珠はなかなか流通しておらず、数珠専門店や仏具店や百貨店などを訊ねるとよいでしょう。(執筆者:五十嵐 信博)