加入する時には十分に吟味したはずなのに、時間がたつと分からないことが出てくるのが民間の保険の保障内容です。
入院・手術をして初めて、請求対象になっていないことを知る人がいる一方で、実際には請求対象なのに請求対象ではないと契約者自身が誤って判断し、請求していないケースもあります。
後者の場合、お客様が損をしたまま誰にも気付かれずに過ぎてしまうといったこともあるでしょう。
そこで、ここでは、私がお客様と接する中で見つけた請求漏れで、請求した結果、多額の給付金を受け取れた例を紹介します。
皆さんや皆さんのご家族などに該当者がいらっしゃるかもしれません。
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目次
民間の医療保険のタイプ
皆さんが加入している医療保険の入院給付金と手術給付金の支払い要件は、以下のいずれかだと思います。
入院給付金の支払い要件
1. 入院1日目から
2. 5日以上の入院で5日目から(はじめの4日分は対象外)
3. 10日以上入院すれば1日目から(入院日数9日だと入院給付金は0円)
4. 20日以上入院すれば1日目から(入院日数19日だと入院給付金は0円)
手術給付金の支払い要件
(ア)公的医療保険制度の医科診療報酬点数表に手術料の算定対象として列挙されている手術(2019年現在約1,100種類)
(イ)保険会社の定める手術のみ(88種類程度、種類によって金額も規定)
(ウ)手術の保障は無し
実際にあった請求漏れの事例
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事例1
心臓病のカテーテル治療で5年前にステント留置術を行い、その後4度同じ手術を行うも、手術給付金を請求せず。
事例2
俗称「関節ネズミ」(正式名称は関節遊離体)と言われる膝関節の病気で手術、手術給付金を請求せず。
事例3
検診で大腸ポリープが見つかり、がんではないかの内視鏡検査の際にその場でポリープを切除。
医療機関では一定期間カルテの保存義務があり、その期間内なら診断書の発行が可能です。
お客様はさかのぼって診断書を取り寄せることができたので、それをもって全ての手術給付金を請求、給付金を受け取れました。
請求漏れの原因
請求漏れの原因は以下の通りです。
・ 保険が古かったため、比較的新しい技術であるカテーテルによる手術は対象外だと思った。
・ 入院期間が入院給付金の支払い要件を満たさなかったことで、手術も対象外だと思った。
・ 大腸ポリープの切除が検査のためであったことと内視鏡で行ったことで、請求対象ではないと思った。
このようなものも請求対象

次のような場合は請求対象外だと思っている方は意外と多いと思われます。
請求対象その1:イボをとった
イボを皮膚科外来で除去(この時は顔)。
これが良性腫瘍の切除手術となり、外来の手術給付金が支払われました。
請求対象その2:魚の骨が喉に引っかかった
魚の骨が喉に引っかかる、これも意外に多いことです。
その人は、自力で取れずにかかりつけ医を受診、それでも取れず総合病院を紹介されました。
総合病院では耳鼻科を受診、鼻から鉗子を入れてようやく除去成功、外来の手術給付金が支払われました。
請求対象その3:抜釘手術
折れた骨をボルト等でつなぐ手術をした人が、骨がくっついた後にそのボルト等を取り除くのが抜釘手術です。
手術給付金の支払い要件が前述の(ア)以外の場合、ほとんどの保険会社が抜釘手術は請求対象外です。
しかし、見直し等で保障内容が(ア)になると、抜釘手術は請求対象です。
この辺を誤解して請求漏れをしている人、いませんか。
請求対象その4:白内障
白内障の手術は、左右別々に行えばそれぞれ別々に手術給付金を受け取れます。
しかし、両眼を一度に手術すると、1回分の手術給付金しか受け取れません。
また、日帰りで行うと外来での手術、入院すれば入院中の手術ですので、給付金額に大きな差が出る医療保険が多いのが実情です。
請求漏れを防ぐための鉄則
請求漏れを防ぐには、入院や手術をした時に保険会社に必ず問い合わせをすることが鉄則です。
入院日数が短かくても、手術は請求対象という場合が多々あります。
ちなみに、手術給付金の支払い要件が前述の(ア)である医療保険は、医療機関発行の領収書(診療報酬点数表)の手術欄や治療内容明細書に診療報酬点数が書かれていれば、おおむね請求対象だと判断してよいでしょう。(執筆者:金澤 けい子)