葬儀の中で食事の時間はとても大切です。
参列者は飲食をともにしながら故人を偲び、遺された者同士の結びつきを再確認するからです。
そこには、通夜式や葬儀式のようなセレモニーだけではない、葬儀のもう1つの顔があるように思えます。
喪主は親族や参列者を飲食でもてなします。
葬儀における飲食とは、主に、「通夜ぶるまい」と「精進落とし」がありますが、具体的にどのようなものが振る舞われ、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
詳しくまとめました。
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目次
飲食接待費の相場は約30万円
日本消費者協会が行った「第11回『葬儀についてのアンケート調査』」では、葬儀費用の全国平均金額195.7万円のうち、「飲食接待費」は30.6万円と報告しています。
ただしこの中には、参列者への食事のもてなしや、返礼品(会葬礼状や会葬返礼品)の費用も含まれています。
通夜ぶるまいは大皿料理
通夜ぶるまいは大皿料理が用意されます。
これは、通夜にどれくらいの人が参列するか、正確な人数が分からないからです。
特に関東では、参列者に通夜ぶるまいをもてなす文化があります。
親族は通夜式が終わったあとに食事の席に通されますが、参列者は焼香が済み次第、順次食事の席に案内され、おのおのが好きなものに箸を伸ばして食べます。
通夜ぶるまいの料理には、主に寿司、煮物、オードブルなど、つまみやすく、場を汚さなくて済むものが選ばれます。
大皿料理は1皿が3~5人分で、寿司の場合は3,000円~5,000円程度、煮物やオードブルは3,000円程度でしょう。
また食事だけではなく、ビールやお酒やソフトドリンクなどの飲み物も振る舞われます。
食事の量は人によって異なるために相場をはじきだすのは難しいのですが、1人当たり2,000円前後といわれています。
また、通夜ぶるまいは多少余ってもよいくらい、少し多めに準備しておきます。
精進落としは会席料理
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精進落としは会席料理で、一人一人に御膳が振る舞われます。
通夜とは異なり、火葬場に立ち会う人数で食事の数が把握できるため、会席料理が振る舞われるのです。
費用相場は1人当たり5,000円前後です。
安く抑えようとすれば折り詰めなどを選べますし、高級料亭の個室などで執り行う場合は1万円近くかかるでしょう。
その他の食事の手配
葬儀ではさまざまな状況が考えられます。
通夜ぶるまいや精進落とし以外で喪主がしなければならない食事の手配には、次のようなものが挙げられます。
【宿泊後の朝食】
式場に宿泊する場合、朝食が必要となります。
近くのコンビニなどで購入しても構いませんし、葬儀社にも依頼できます。
【火葬場での軽食】
火葬の待ち時間に親族に飲み物や軽食をもてなします。
地域によっては、この時間に精進落としを食べることもあるようです。
【お手伝いの方への食事】
受付や駐車場などでお手伝いをしてくれた人たちに食事をもてなします。
通夜のときは、通夜ぶるまいの案内をすればよいのですが、葬儀の場合、喪主は火葬場に移動するため、予め人数分の料理を手配するよう葬儀社に依頼しておきましょう。(執筆者:五十嵐 信博)