「80歳まで入れる医療保険です」といったうたい文句で、高齢の方向けの医療保険のCMを見かけることがあります。
確かに高齢になると病気やケガで入院する事が増えるかもしれないと心配になり、自分の親の場合はどうなんだろうと考える方も多いでしょう。
そこで今回は高齢者になっても医療保険は必要かどうかについて説明していきたいと思います。
目次
高齢者の医療実態

保険を検討する前に重要なのは、高齢者になるとどれくらい入院するのか、また公的な保障はどんなものがあるのか知ることです。
高齢者の区分は正直難しいところはありますが、今回は75歳以上を高齢者としてお話していきます。
入院日数
生命保険文化センターがまとめた資料によると、75歳以上の傷病全体の平均入院日数は47.6日となっています。
また傷病別にみると、統合失調症などの精神系の入院は長くなっていますが、生活習慣病などの一般的な病気では30~60日前後となっており、若い人に比べると入院は長くなる傾向がありますが、それでも2か月程です。

後期高齢者医療保険
次に病気をした時の公的な保障を確認していきます。
75歳以上の方は後期高齢者医療保険という公的な医療保険制度に加入することになっています。
基本的には現役時代に加入している健康保険や国民健康保険と似たような仕組みとなっており、特徴としては
となっているので、治療費自体の負担はそう大きなものではありません。
また、後期高齢者医療保険にはもちろん高額療養費制度もあり、大きな病気をしたり長期の入院をした場合で自己負担が大きくなる場合でも、年齢や収入によって金額は変わりますが、自己負担の上限が設けられています。

参考:厚生労働省 医療費の自己負担について
高齢者に医療保険は必要か?
上記した医療の実態や公的保障を考えると、ある程度の貯蓄があれば高齢者に医療保険は必要ないと言えるでしょう。
むしろ、高齢者になって加入する医療保険は保障の割に保険料が高い場合が多いので、保険の「めったにない万が一に安く備える」という本来の機能ではありません。
特に病気した人でも入りやすいと言われる引き受け緩和型の医療保険は、さらに保険料が割高となっているので、加入は控えるべきです。
どうしても気になる方は、
とよいでしょう。
保険に頼るのは最低限にする
保険の見直しの相談でも特によく尋ねられるテーマです。
老後を考えると親だけでなく、自分も大丈夫かと心配になる気持ちもわかりますが、保険に頼るのは最低限にしておくことをおススメしています。
また、老後には病気による入院や通院だけでなく介護の問題も出てきます。
医療保険は病気やケガの入院のみが対象となるので、さまざまな用途に備えられるようにある程度の現金を持っておくということを心がけてください。(執筆者:西田 凌)