すでにお届けした記事で、6つの数字を入力して「必要貯蓄率」を出す方法をご紹介しました。
資産形成をスタートした会社員の大塚真紀子さん(仮名・34歳)が、「人生設計の基本公式」で求めた「必要貯蓄率」は、23.6%でした。
この貯蓄率を守れば、老後の生活費は約21万円を確保できます。
今の手取り年収300万円のうち23.6%を貯蓄すると、毎月の必要貯蓄額は5万9,000円です。
今後、手取りが増えればこの金額は上がり、下がれば減ります。また結婚したら、夫婦合算して新しい貯蓄率を求めます。
真紀子さんは、お金を増やしていきたいので、iDeCoとつみたてNISAを使おうと考えています。
いくら運用したらよいのでしょう。
それを考えるのが2番めのステップです。

目次
ステップ2:iDeCoとつみたてNISAで資産運用「リスク許容度」
まずは、自分のリスク許容度を考えます。
リスク許容度といってもなかなかわかりにくいと思います。
そこでこんな風に考えてみてください。
65歳でリタイアして95歳まで生きるとすると30年間、月に直すと360か月です。
もし360万円お金が減ると毎月の生活費は1万円減ることになります。
毎月の生活費が20万円の人は19万円に、30万円の人は29万円になります。
国内外の株式に5対5で、「インデックスファンド」という投資信託を使って運用すると、最悪の場合1年間で3割くらい下落する可能性があります。
仮に、360万円値下がりしても(毎月1万円生活費が減っても)大丈夫なら、リスク性商品(投資信託)を、360万円の3倍の1,080万円まで持てると考えます。
「そんなに下がると困る、許容範囲は5,000円だ」というのなら半分の540万円までということです。
いや、少しでも下がっては困るというのであれば、リスク性商品は持たない、つまり運用をしないということです。
まずは、「360」を使って自分のリスク許容度を考えてみましょう。
大塚真紀子さん(仮名・34歳)の場合
真紀子さんは、老後期間を100歳までの35年と考えています。
月に直すと420か月です。
360万円減ると月に使えるお金は1万2,000円くらい減ることになります。
逆に、国内外のインデックスファンドに50%ずつ20年以上投資を続ければ、4割くらいお金が増える可能性も同じくらいあります。
平均年率は5%です。
あくまでも過去のデータからの話ですので、将来、絶対そうなるとは言い切れません。
しかし、儲かることだけ考えるのではなく、下がる場合のことを考えて運用にいくら回すのかを決めることが大切です。
また、下がることを恐れて全く運用しないというのも逆に困ることになります。
今後、モノの値段が上がる(インフレーション)と、お金の価値が下がりモノを買う力(購買力)が低下するからです。

ステップ3:お金の置き場所を作る
老後までにまだ20年も30年もあるというみなさんは、適切な運用をすることをお勧めします。
真紀子さんは、毎月5万9,000円のうち、税制優遇が大きくてお得なiDeCoで上限2万3,000円を運用することにしました。
現行では60歳まで拠出できますので、今後開設の手続きをして25年(300か月)、運用できるお金は690万円です。
さらに、つみたてNISAで毎月1万5,000円の運用をします。
総額342万円として、合計すると1,032万円です。
2万1,000円は普通預金に入れていきます。
ある程度積み上がったら、定期にしてもいいですし、特に使う予定がなければ「個人向け国債変動10年型」を買っても構いません。
現在の預貯金300万円は定期預金においておきます。
このように、お金を適切な場所で貯蓄していきます。
これが3つめのステップ「お金の置き場所を作る」です。
次回は、4つめのステップ「資産全体で資産配分(アセットアロケーション)を決める」と最後の「商品を選択する」についてお伝えします。(執筆者:岩城 みずほ)