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原則自己負担ゼロの「労災保険」 加入条件・要項・方法と、雇用されずに働く人の保険を詳しく説明

ライフ 社会保障
原則自己負担ゼロの「労災保険」 加入条件・要項・方法と、雇用されずに働く人の保険を詳しく説明

先日新聞を読んでいたら、60歳以降の業務災害(業務上の病気やケガなど)が、増加しているというニュースが掲載されておりました。

この背景としては人手不足などの影響により、60歳以降も働く方が増えているからのようです。

それに加えて飲食店や福祉施設などで、60歳以降の方が働きやすい労働環境の整備が進んでいないこともあるでしょう。

労災保険は労働者がいるすべての事業者に加入義務

工場で働く人たち

1人でも労働者を雇っている事業所は原則として、労働者災害補償保険(以下では「労災保険」で記述)に、加入する義務があります。

また労災保険が適用される事業所に使用される労働者は、個別に加入手続きをしなくても、労災保険に加入します。

そのため、冒頭に記載したような業務上の病気やケガで診療を受ける際は、一般的に、契約社員、派遣社員、パートやアルバイトなどの非正規雇用であっても、労災保険を使う必要があるのです。

業務外の病気やケガで、診療を受ける際に使用する健康保険は、2割~3割の自己負担があります。

それに対して労災保険で診療を受ける際は、基本的に自己負担がないため、この点は労災保険のメリットです。

ただ「労災保険指定医療機関」以外で診療を受ける場合には、いったん医療の全額を支払い、後で請求手続きを行って、還付を受けるという手間がかかるため、この点はデメリットだと思います。

なお業務上の病気やケガだけでなく、通勤途上の病気やケガでも、労災保険を使用できる場合があります。

通勤途上の病気やケガで診療を受ける際は、業務上の病気やケガと違って、初回に200円の自己負担を支払う必要があります。

ただ仕事を休んだ時に支給される休業給付から、この200円が控除されるというルールのため、病院などの窓口で支払う必要はありません。

労働保険は保険ごとに加入要件が違うため、バラで加入する場合がある

労働する人たち

会社などに勤務する方が加入する公的保険は、

・ 労働保険(労災保険、雇用保険)
・ 社会保険(健康保険、厚生年金保険)

の、2種類に分かれております。

また勤務先の事業所が、それぞれの公的保険の適用事業所で、各労働者がそれぞれの公的保険の加入要件を満たしている場合には、本人の意思の有無にかかわらず、それぞれの公的保険に加入します。

この中の雇用保険に加入するのは、

「1週間当たりの所定労働時間が20時間以上あること」
「雇用見込みが31日以上あること」
「学生ではないこと」

という加入要件を、すべて満たした場合になります。

そのため、1週間の労働時間が20時間未満の場合には、労働保険は労災保険だけに加入し、雇用保険には加入しません

それに対して社会保険は、所定の加入要件を満たした場合は原則的に、例えば70歳になって厚生年金保険の対象から外れるケースなどを除いて、健康保険と厚生年金保険セットで加入します。

公的年金は業務災害でも支給されるが、労災保険との併給調整がある

労災保険と健康保険の両者に加入している方は、業務上は労災保険、業務外は健康保険という使い分けで良いのです。

一方で、労災保険には加入しているが、健康保険には加入しておらず、市区町村などの国民健康保険に加入している、または配偶者や子供などが加入する健康保険の、被扶養者になっている方がおります。

こういった方については、業務上は労災保険、業務外は国民健康保険か健康保険という使い分けになります。

なお、国民年金や厚生年金保険などの公的年金は、業務外の病気やケガだけでなく、業務上の病気やケガも対象にしております。

そのため、どちらの病気やケガで死亡しても、支給要件を満たしていれば、所定の遺族に対して、遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給されます。

また、どちらの病気やケガで障害状態になっても、支給要件を満たしていれば、障害基礎年金や障害厚生年金が支給されるのです。

ただ、これらの年金と、労災保険から支給される遺族(補償)年金、または障害(補償)年金を併給できる場合には、労災保険から支給される年金の一部が支給停止になります。

医療につかう器具

労災保険を使えない場合には、国民健康保険か健康保険で診療を受ける

60歳で定年を迎えた後は、同じ会社に再雇用されて働く方が、かなり多いと思います。

ただ、再雇用されて厚生年金保険に加入すると、「在職老齢年金」の仕組みにより、年金の全部または一部が支給停止になる場合があるため、いくら稼いでも厚生年金保険に加入しない業務委託に切り替えて同じ会社で働く方もおります。

またシルバー人材センターの仕事を請け負う方や、小規模の個人事業をはじめ、自営業者として働く方もおります。

このように雇用されないで働く場合には、原則的には労働者に該当しないので、労働保険(労災保険、雇用保険)には加入しません

社会保険(健康保険、厚生年金保険)にも加入しない場合が多いのですが、市区町村などの国民健康保険には加入していると思います。

また配偶者や子供などが加入する健康保険の、被扶養者になっている場合もあります。

こういった方に業務上の病気やケガが発生した場合、労災保険は使えないため、他の保険で診療を受ける必要があるのですが、国民健康保険に加入していれば特に問題はありません

その理由として国民健康保険は、業務外による病気やケガだけでなく、業務上の病気やケガも対象にしているからです。

誰もがいずれかの保険を使って業務災害の受診が可能

一方で、健康保険は上記のように業務外の病気やケガのみを対象にしているため、業務上の病気やケガには使えません

そのため労災保険に加入していない、健康保険の加入者とその被扶養者は、業務上の病気やケガが発生した時に、使える保険がないという状態が続いてきました。

しかし2013年10月から、労災保険が使えない場合は原則として、業務上の病気やケガでも、健康保険を使えるようになりました

ですから、業務上の病気やケガが発生した場合、まずは労災保険が使えるのかを調べてみて、これを使えないとわかった場合には、国民健康保険か健康保険を使って診療を受ければ良いのです。

なお中小事業主、一人親方、特定作業従事者、海外派遣者などについては、労災保険に特別加入できる場合があるので、業務上の病気やケガが心配という方は、こういった制度を活用するのが良いと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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