銀行預金といえば、
・ 絶対損をしないから安心
といったことをよく耳にします。
確かに、銀行にお金を預けていれば、元本割れすることなく利息が受け取れます。
また、普通預金や定期預金は保護の対象となるため、万が一金融機関がつぶれたとしても1,000万円までの預金と利息は保証されます。
こうした点だけ見れば、銀行預金はノーリスクで運用できるようにも思えるでしょう。
しかし、この視点には、「将来的な日本円の価値」という部分が抜け落ちているのです。
現在の日本では、この将来的な円の価値を換算すると、銀行預金ほどリスクの高い運用先はありません。
では、どのように通貨の将来価値を出せばよいのでしょうか。
目次
日本円の将来価値の計算方法

通貨の将来価値を出すには「物価上昇率」を使います。
総務省統計局のデータによると、2018年の物価上昇率は1.0%です。
つまり、2017年に比べて、1.0%分だけ商品やサービスの値段が高くなったということを示しています。
別の言い方をすれば、2017年より1.0%分だけ日本円の価値が下がった(円安)ということです。
ことになります。
ただし、銀行にお金を預けていた場合、元金には利息が付いてきます。
大手銀行の場合、普通預金の場合は0.01%、定期預金だと0.1%が基本的な金利です。
しかし、これらの金利はどちらも、あまりにも低すぎではないでしょうか。
現在の日本は大規模な金融緩和を行い、できるだけ金利を低く抑え、物価を高くするような政策をとっています。
そのため、銀行預金の金利よりも、物価上昇率のほうが高くなってしまうのです。
「銀行に預けるほど損をする」具体的なしくみ

たとえば、100万円を定期預金に預けておいたとしましょう。
金利は0.1%なので、1年間で得られる利息は1,000円です。
一方、この1年間の物価上昇率が1%だとすれば、昨年まで100万円の価値だった商品が今年には101万円に高騰します。
この時点で1万円だけ日本円の価値が下がったことになりますが、銀行預金で得た利息は1,000円でしかありせん。
つまり、金利の低い銀行預金に預けておいても、その利息を上回る勢いで物価が上昇していくため、預金すればするほど損をしてしまうということです。
お金を増やすには物価上昇率よりも高い利益率が必要
このように資金を運用する際は、単なる金利や利益率だけを見るのではなく、物価の変動も考慮に入れることが重要となります。
近年の日本では、およそ0.5~1.0%の間で物価が上昇し続けています。
そのため、少なくとも1.0%以上の利益率を見込める投資先でなくては、最終的に損をしてしまうことにもなりかねません。
株やFXの場合、元本割れのリスクはあるものの、低リスクの運用方法でも1.0%以上の利益率を出すことは可能です。
一方、普通預金や定期預金の場合、あらかじめ金利が定まっているため、自分の力だけで利益率を改善することはできません。
国内の金融政策が一変すれば、銀行預金も魅力のある投資先の一つとなりえます。
しかし、現在の状況だと、銀行預金は非常にリスクの高い運用先となってしまうのです。
「損をしない」ために正しい運用先を見定めよう
1970年代の高度成長期には、日本の普通預金の金利が3.0%を超えるなど、銀行が非常に魅力的な運用先の一つとなっていました。
しかし、現在は「空前の低金利時代」ともいわれ、ただ銀行にお金を預けているだけで資金を増やすことは難しくなってきています。
「お金は増やしたい、でもリスクは取りたくない」という方でも、今後は多少のリスクを覚悟してでも、正しい運用先を見定めていく必要があるといえるでしょう。(執筆者:柳本 幸大)