
目次
解説
個人が確定申告するうえで、必要経費となる部分は、業務との直接関係があることと、その業務を行う上での必要なものに限られます。
必用経費とするための要件(国税不服審判所の判断)
「ある費用が必要経費に当たるといえるためには、単に業務と関連があるというだけでなく、客観的に見てその費用が業務と直接の関係を有し、かつ、業務の遂行上必要なものに限られ、また業務の遂行上必要なものというためには、その者の主観的な判断のみによるべきではなく、通常必要なものとして客観的に認識できるものでなければならない。」
具体的判断
(1) パソコン・ウエブカメラ購入費等 業務遂行のため必要不可欠のため、必要経費となる。
(2) 衣服等の購入費用 衣服等は日常的に使用するものとして、業務のために身に着けたのか、私的に身に着けたのかを合理的に区分できないため、必要経費にはならない。
(3) 撮影場所となる部屋の装飾費用 画面に映る場所として多少の装飾は必要であるが、通常必要なものとして客観的に認識できず、画面にその装飾物が映ったとしても、そのことで、業務と直接関係があり、かつ、 業務の遂行上必要とはいえないので、必要経費にはならない。
(4) 化粧品等の美容に関する費用 化粧品、健康用品、ダイエット用品などの美容に関する費用は、家事費とされる私的な 費用というべきであるから、客観的に見て業務と直接の関係を有し、かつ業務遂行上必要 とはいえないので、必要経費にはならない。
業務遂行上、必要であることが客観的に認識できることが大切
必用経費とするためには、直接、業務と関係していること、そして業務遂行上、必要であることが客観的に認識できないといけません。
そのように考えると、必要経費の範囲は本人たちが考えるよりも格段に狭い可能性がありますので、注意が必要です。(執筆者:小嶋 大志)