政府は令和初の人事院勧告を完全実施することを決定したため、公務員の給料がまた増加します。
と思うかもしれませんので、公務員の給料が決まる仕組みと、令和元年の人事院勧告でどのくらい給料が増えたのかを説明します。

目次
国家公務員の給料は人事院が査定・決定
国家公務員の給料は、人事院が民間の賃金を参考にして決定します。
人事院は、毎年、民間の賃金を反映させた国家公務員の給料案を算出し、政府に報告します(これを人事院勧告といいます)。
人事院勧告には法的拘束力がないため、政府が人事院勧告を無視した法案を提出することも可能ですが、人事院勧告の通りに法案を提出することがほとんどです(令和元年の人事院勧告の内容を完全実施します)。
なお、地方公務員の場合は、各都道府県の人事委員会が公務員の給料を査定し、地方自治体ごとに公務員の給料が決定します。
公務員給料の参考は従業員50人以上の民間企業

公務員の給料は民間賃金を参考にしていますが、民間賃金よりも平均給料が高いと感じている人は多いと思います。
公務員の給料が高くなる理由としては、公務員給料の参考となる民間企業は従業員が50人以上いる会社に限定されているからです。
従業員の平均賃金は、従業員数が多い会社ほど高い傾向にあるため、必然的に公務員の給料も全体の民間賃金よりも高くなります。

令和元年の人事院勧告で国家公務員の年収増加
令和元年の人事院勧告のポイントは2つです。
2. ボーナスの0.05か月分増加
月給額の増加は若年層の職員のみで、新卒採用の給料が最大月2,000円増加します。
一方、ボーナスの増加は国家公務員全体に反映されます。
公務員のボーナスは職員の月給に応じて支給されますので、役職や地位が高い職員ほど恩恵を受けられる計算です。
月給20万円の若手職員なら1万円のボーナス増加ですが、月40万円の職員なら倍の2万円が今回の人事院勧告によって増加します。
大規模災害発生時には公務員の給料は下がる

公務員の給料は原則民間賃金を参考にしていますが、例外があります。
それは大規模な災害が発生した場合で、その際には特例措置により公務員の給料が削減される可能性があるのです。
私が税務署職員だった当時に東日本大震災を経験しましたが、震災後に国が復旧復興費用を捻出するために、国家公務員の給料を2年間(平均7.8%)下げる法案を通しました。
そのため、当時の私の給料も十万円単位で下がりましたので、今後もし大規模な災害が発生した際には、公務員の給料が下がることも考えられます。(執筆者:平井 拓)