みなさんは葬儀の場所といえばどこを連想しますか?
昨今は葬儀専用会館で執り行うのが主流ですが、ひと昔前までは自宅で葬儀を行なうのが当たり前でした。
さらには、お寺の本堂や公民館など、いくつかの方法が挙げられます。
そんな中、どこでも好きな場所で葬儀ができる「移動葬祭車」なるものが登場しています。
目次
移動葬祭車とは
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移動葬祭車を開発したのは、愛知県名古屋市にあるアイライフマネージメント株式会社で、霊柩搬送や遺体安置、さらには葬祭用車両の販売や修理を手がける会社です。
トラックの荷台部分を小型の家族葬ホールに改葬しており、中には棺を安置し、祭壇や仏具も設置されているため、いつでもどこでも葬儀や法要が可能です。
空調だけでなく、車椅子の人のためのリフトまで完備されており、バリアフリーへの心配りもありがたい。
移動葬祭車はまさにこれまでの常識では考えられない画期的な葬儀スタイルなのです。
・ 思い出の場所
・ 勤め先
・ 老人ホーム
などで葬儀に参列できなかった人たちのお別れの場としても利用できます。
老人ホームや勤務先の会社 さまざまな場所でお別れができる
いつでもどこでも葬儀が可能とは言っても現実的にはまだまだ葬儀の施行実績はないと、同社代表の石田良幹(よしもと)さんは語ってくれます。
たとえば、公園や海などの公共空間で車の中で葬儀や法事が執り行われると、近隣の人たちがどのような反応を示すかは想像に難くありません。
いま現在は、故人の入居していた老人ホームや、勤務先の会社の駐車場などに移動葬祭車を持ち込み、葬儀後のお別れ会としての利用が多いのだそうです。
移動葬祭車の利用料金は約20万円
同社では、移動葬祭車の利用料金を約20万円に設定しています。
しかしこれは、いわゆる「式場利用料金」として捉えてほしいとのことでした。
実際に葬儀や法要を執り行うには、それ以外にも棺や遺影写真や供花などの用意が必要で、これらは別途費用がかかる点では、一般的な葬儀となんら変わりません。
供養の多様化の中で、新たな葬儀スタイルとして定着するか
移動葬儀車を2019年のエンディング産業展に出店した際には、全国の葬儀社からさまざまな問い合わせや、活用方法のアイデアが出たそうです。
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特に地方の過疎地域では、葬儀会館までの参列が困難なため、移動葬祭車でお参りのサポートができるでしょうし、費用負担の軽減にも役立てることができるでしょう。
もちろん、移動葬祭車が定着するかしないかはこれからですが、供養の多様化という流れの中でさまざまなアイデアが飛び出している点に、これからも着目していきたいと思います。(執筆者:五十嵐 信博)
取材協力:アイライフマネージメント株式会社