亡くなった人の遺骨を身近な場所に置いておく「手元供養」が人気を集めていますが、その中の1つに「遺骨ダイヤモンド」があります。
通常手元供養では、ミニ骨壺やペンダントなどに遺骨をおさめる方法がとられますが、遺骨ダイヤモンドは、文字通り遺骨そのものをダイヤモンドにするのです。
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製造メーカーは海外 約6か月かけてダイヤモンドにする
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ダイヤモンドは炭素によって作られていますが、遺骨や遺髪などに含まれる炭素を抽出して、高温高熱の環境下で結晶化させることで人工的にダイヤモンドの作成が可能です。
現在、日本国内で遺骨ダイヤモンドを取り扱うのは数社に過ぎず、そのほとんどは海外の企業で、アメリカ、スイス、ロシアなどが挙げられます。
遺骨はいったん海外の工場に空輸され、約6か月を要して手元に届きます。
ダイヤモンドに必要な遺骨の量
遺骨からダイヤモンドにするためにはどれくらいのお骨の量がいるのでしょうか?
これは、業者によって異なるようです。
スイスのアルゴダンザ社は400グラム(7寸の骨壷に対して約3分の1)としているのに対し、アメリカのライフジェム社は70グラムでよいとしています。
また、どうしても遺骨からだけでは抽出すべき炭素量が足りない時は、毛髪からも炭素がとれますので、これらをあわせてダイヤモンドを作ります。
遺骨ダイヤモンドの費用相場
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そもそもダイヤモンドが高価であることは想像できますが、実際にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
遺骨ダイヤモンドの価格は、ダイヤモンドの制作費とジュエリー(指輪やネックレス)の制作費の合計で決まります。
ダイヤモンドの品質を決めるものに「4C」というものがあります。
これは、
・ カット(Cut):輝き
・ カラー(Color):色
・ クラリティ(Clarity):透明度
の頭文字を取ったもので、特に遺骨ダイヤモンドでは、カラットこそが価格に大きく反映されます。
各社で価格の設定はさまざまですが、おおむね、0.2カラットで約45万円、1カラットで約250万円です。
また、ジュエリーには指輪やネックレスなどがありますが、安いもので5万円、高いもので20万円程度でしょう。
遺骨ダイヤモンドは故人さまそのもの
日本人の死生観では、これまで遺骨は土に還してきましたし、それは変わらないことでしょう。
しかし、供養の多様性がこれまで以上に求められている中で、遺骨ダイヤモンドは大切な人を失った悲しみを癒してくれる有用なアイテムになるかもしれません。
ダイヤモンドそのものは何も語りかけてはくれませんが、永遠性のシンボルでもあるダイヤモンドはいつだってあなたのそばにい続けますし、なによりもそれは故人さまの遺骨からできているからです。
「亡き人のそばにいたい」という人の想いをきっと満たしてくれることでしょう。(執筆者:五十嵐 信博)