会社を退職して失業している間、「失業手当が受給できるかどうか」は大きな問題です。
例えば、短期間で退職をしてしまった場合、前勤務先での雇用保険の加入期間が受給条件を満たさず、「失業手当は受け取れないのではないか」と不安に感じることもあるかもしれません。
でも、雇用保険加入期間は、条件を満たせば過去の加入期間も合算することができます。
今回は、基本手当を受給する時に気を付けておきたい「雇用保険加入期間(65歳未満の方対象)」について確認しておきましょう。
目次
基本手当の給付日数が決まる3つの条件
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雇用保険の基本手当(失業手当)給付日数は、離職票に記載されている3つ条件に基づいて決まります。
ただし、前提条件として、
・ 離職日から過去2年間で、通算12か月以上の雇用保険加入期間があること
倒産や解雇など会社都合による離職の場合は、
・ 離職日から過去1年間で6か月以上の加入期間があること
が必須となります。
参考元:ハローワーク
条件1:離職理由
離職理由は大きく次の3つに分けられ、失業認定の手続きをする際にハローワークで判断されます。
(1) 倒産や解雇、病気などやむを得ない理由による離職(特定受給資格者および一部の特定理由離職者)
(2) 自己都合や定年、契約期間満了による離職
(3) 障害者等による離職(就職困難者)
条件2:離職時の年齢
倒産などによる特定受給資格者および一部の特定理由離職者の場合は、離職時の年齢が細かく分けられており、年齢が高くなるほど給付日数は長くなります。
また、就職困難者の場合も、45歳を境に分けられています。
一方、その他の離職理由の場合は、65歳未満の全年齢を対象としており、離職時の年齢によって給付期間が変わることはありません。
条件3:雇用保険に加入していた期間
雇用保険加入期間(被保険者であった期間)を意味する「基礎算定期間」は、基本手当の受給期間に大きく影響してきます。
ただし、11日以上の出勤日がない月は雇用保険加入期間の対象にならないので気を付けておきましょう。
特定受給資格者および一部の特定理由離職者は、1年未満、1年以上、5年以上、10年以上、20年以上、また就職困難者は1年未満、もしくは1年以上で分けられています。
一方、自己都合などの離職理由の場合は、加入期間が10年未満、20年未満、20年以上の区分で受給期間が定められています。
転職しても雇用保険加入期間は合算できる
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基本手当の受給期間は、雇用保険の加入期間に応じて長くなります。
しかし、最近は自分の働き方や条件、スキルに合わせて、短期間で転職をする方も少なくありません。
入社したものの、どうしても社風や人間関係、仕事内容などが合わず、数か月で離職してしまうこともあるでしょう。
と不安になりますが、転職をして複数社に勤めていたのであれば、雇用保険の加入期間は合算して加入期間が判断されます。
例えば、1社目で4年間、2社目で3か月間、3社目で6年間勤務し、勤務期間すべてが雇用保険加入対象期間であれば、合算して10年3か月の加入期間となります。
正確な加入期間は、ハローワークでも確認できるので、被保険者番号を事前に確認しておきましょう。
雇用保険加入期間がリセットされる条件
ただし、雇用保険の加入期間がリセットされてしまうこともあります。
加入期間がリセットされると、それ以前の加入期間は合算できないので注意が必要です。
条件1:過去の離職時に基本手当や再就職手当を受給した
過去に離職した際、基本手当や再就職手当を受給した場合は、それまでの雇用保険の加入期間は一旦リセットされます。
次の就職日から雇用保険に加入した時点で、加入期間のカウントが改めて始まります。
上記の雇用保険加入期間合算例のケースですと、1社目(加入期間4年)を退職後に基本手当や再就職手当を受給した場合、2社目3か月の加入期間からが合算対象になります。
条件2:離職日から次の就職日まで1年以上のブランクがある
一番気を付けておきたいリセットの条件は、離職日から次の就職日までに1年以上のブランクがある場合です。
離職して雇用保険に加入していない期間(求職期間)や就職したものの加入対象ではない雇用期間が1年以上となってしまうと、過去の加入期間を合算することができません。
ただし、短期間での複数社への転職であっても、離職日から次の就職日までが1年未満であれば、これまでの加入期間は合算することが可能です。
その場合は、退職した会社から送付されてくる離職票を大切に保管しておきましょう。
受給条件をしっかり確認して基本手当を受け取ろう
求職活動中に受給できる基本手当は、収入のない失業期間の生活を支える大切な給付金です。
受給できる3つの要件をしっかりと確認して、失業手続きを進めましょう。
特に、雇用保険の加入期間は基本手当の受給日数にも大きく関わってくるので、事前に確認しておくとよいでしょう。(執筆者:花見 結衣)