少額でできる不動産投資として従来から不動産投資信託(REIT)がありましたが、最近は1万円から投資できる不動産小口化商品が登場して注目を集めています。
不動産投資信託と異なり、特定の物件を選んで投資できることから、不動産小口化商品は不動産投資の入門編として投資初心者にもさかんに勧められています。
しかし、不動産小口化商品には初心者が陥りがちなデメリットがあります。
この記事では、初心者が不動産小口化商品に手を出す前に注意しておかなければならない危険性について解説します。

目次
不動産小口化商品が不動産投資の入門編としておすすめされる理由
不動産小口化商品とは、高額な不動産を小口に分け、口数単位で出資を募り、集まった資金で購入した不動産の賃料収入や売却益を口数に応じて分配する不動産投資商品のことです。
現物不動産投資には多額の資金が必要であり、失敗したときのリスクも大きいですが、不動産小口化商品ならリスクは購入した口数分の資金に限られます。
リスクが小さいので、たしかに投資初心者にはおすすめです。
不動産投資信託(REIT)と不動産小口化商品の違いとは
不動産投資信託も投資家から集めた資金で不動産を購入し、その不動産の賃料収入や売却益を出資口数に応じて分配するものです。
不動産投資信託と不動産小口化商品の違いは、
ことです。
両者の違いがお分かりでしょうか。
不動産投資信託は株式投資に近く、利益を出すためには株式投資のノウハウが必要ですが、不動産投資のノウハウはあまり関係ありません。
それに対して不動産小口化商品では実際に不動産の所有権を持つことになるので、不動産投資のノウハウが関係してきます。
不動産投資を学びたいなら不動産投資信託ではあまり意味がなく、不動産小口化商品のほうが有益です。
そのため、不動産小口化商品は不動産投資の入門編としておすすめされています。
不動産小口化商品のデメリット
不動産小口化商品はリスクが小さく、不動産投資のノウハウの一端に触れることもできるので、たしかに不動産投資初心者におすすめはできます。
ただし、購入する前に不動産小口化商品のデメリットも知っておかなければ後悔することにもなりかず、初心者には危険と言われています。
不動産小口化商品には以下のようなデメリットがあります。
デメリット1: 商品数が少ない
最近は不動産小口化商品の数が増えてきたとはいえ、まだまだ少ないのが現状です。
不動産投資信託や現物不動産投資に比べても、投資先の選択肢はごく限られたものになります。
試しに、今購入できる不動産小口化商品を探してみても、手頃なものが見つかることは少ないでしょう。
ただ、この点は投資の入り口におけるデメリットなので、初心者にとって特に大きなリスクというわけではありません。
すぐに投資したいからといってよく分からない商品に手を出さないように気をつければ問題ありません。
デメリット2:登記費用がかかる場合がある
不動産小口化商品を購入して不動産を所有するスキームにはいくつか種類がありますが、スキームによっては登記費用を負担しなければならない場合があります。
わずかな出費かもしれませんが、細かい問題だけに、購入前によく調べておかなければ予想外の出費となって困る場合があるかもしれません。
デメリット3:換金するのが困難
上記で不動産小口化商品の商品数が少ないことを指摘しましたが、そのことは投資家の人数も少なく、市場が限られていることをも意味します。
つまり、流動性が低いため、持ち分を売りたいと思っても簡単には買い手が見つからないことが多いのです。
この点、不動産投資信託が株式と同じように証券取引所で売り買いされていて流動性が高いのとは大きく異なります。
現物の不動産でも、立地や価格などさまざまな条件にもよりますが、通常は売却するのにそれほど苦労することはありません。
不動産小口化商品の場合は、不動産投資信託や現物不動産投資の場合よりも売却するのが格段に難しいと考えておきましょう。
急にお金が必要になってもすぐには換金ができません。
数万円程度ならいいかもしれませんが、意気込んでいきなり数百万円も投資したりしていると、後悔する危険性もあります。
出口戦略を考えないのは危険

投資初心者が陥りがちなのは、出口戦略を考えずにお金を出してしまいやすいということです。
どんな投資でも、
です。
お金を出したのはいいけれど、それを必要なときに取り戻すことができないのでは万が一のときに困ってしまいます。
魅力的な商品を見つけたからといって、出口戦略を考えずに多額の投資をするのは危険です。
とはいえ、不動産小口化商品はローリスクで堅実な利益が得られる魅力的な投資です。
不動産投資の入門編としておすすめできることも間違いありません。
興味がある方は、リスクを頭に入れた上で、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。(執筆者:川端 克成)