携帯端末で使えるSuicaには、
・ Apple PayのSuica
・ Google PayのSuica
の3つがあります。
筆者も含めてその違いが分からない人が多いと思いますが、いまさら聞くのもちょっと恥ずかしいので調べてみました。
今回は携帯端末で使える3つのSuicaを徹底的に比較したいと思います。
目次
携帯端末で使える3つの「Suica」の基本
まずは、モバイルSuica・Apple PayのSuica・Google PayのSuicaの概要をまとめていきます。
モバイルSuica

「モバイルSuica」は、JR東日本が提供するアプリです。
従来はカードでしか使えなかったSuicaを、携帯端末でも電車に乗って買い物ができるようにしたものです。
ちなみに、Android端末ではこのアプリを「モバイルSuica」と呼んでいますが、iOS端末ではなぜか「Suicaアプリケーション」と呼んでいます。
今後は混乱を避けるため、iOS端末のSuicaアプリケーションも「モバイルSuica」と呼ぶこととします。
Apple PayのSuica

「Apple Pay」はApple社が提供するアプリで、iPhoneなどiOS搭載端末で利用できます。
「Wallet」と呼ばれる財布の中で複数の電子マネーを管理することができるものです。
管理できる電子マネーの一つに、Suicaも含まれています。
Google PayのSuica

Google PayはGoogle社が提供するアプリで、GALAXYなどAndroid搭載端末で利用できます。
仕組みはApple Payと似たもので、もちろん電車に乗ったり買い物をしたりできます。
3つのSuicaを徹底比較
概要がある程度分かったところで、いよいよモバイルSuica・Apple PayのSuica・Google PayのSuicaを比較します。
1.【年会費】モバイルSuicaのみ有料
まずは、年会費を比較してみましょう。
・ Apple PayのSuica:無料
・ Google PayのSuica:無料
3つの中で、モバイルSuicaだけが年会費有料ですが、
ビューカードを紐づけしておくと無料になります。
Android端末でモバイルSuicaを利用する場合は年会費が発生しますが、iOS端末でモバイルSuicaを利用する場合は年会費がかかりません。
また、2019年9月3日からは、モバイルSuicaの年会費を支払った人に、年会費相当のJRE POINTをプレゼントしているため、実質無料です。
さらに、2020年2月26日以降は、モバイルSuicaの年会費が完全に無料化されます。
2.【利用可能端末】モバイルSuicaはガラケーでも使える
次に、それぞれのSuicaを利用できる携帯端末を比較します。
・ Apple PayのSuica:iOS端末
・ Google PayのSuica:Android端末
Apple PayのSuicaはiOS端末(iPhoneなど)、Google PayのSuicaはAndroid端末(GALAXYなど)でしか利用できません。
一方のモバイルSuicaは、iOS端末やAndroid端末に加えてフィーチャーフォン(ガラケー)でも利用可能です。
ただしガラケーは、クレジットチャージや定期券の新規購入などログインを伴うサービスが、2020年2月25日以降に利用できなくなる予定です(機種によって異なる)。
3.【Suica定期券の新規購入】モバイルSuicaのみ可能
定期券の新規購入ができるかどうかについても、比較してみました。
・ Apple PayのSuica:できない
・ Google PayのSuica:できない
Apple Pay・Google PayのSuicaは、定期券の新規購入ができません。
Apple Pay・Google PayユーザーがSuica定期券を購入するには、モバイルSuicaアプリをダウンロードしてそこからSuica定期券を新規購入するのが手っ取り早いでしょう。
1度購入すれば、Suica定期券の継続はApple Pay・Google Pay上でも可能です。
ただし、Google PayユーザーがモバイルSuicaを利用するには、年会費1,050円が必要です(年会費無料の条件は同じ)。
4.【Suicaグリーン券の購入】モバイルSuicaのみ可能

普通列車に併設されていることもあるグリーン車を利用するには、グリーン券が必要です。
・Apple PayのSuica:できない
・Google PayのSuica:できない
Suicaにグリーン券情報を書き込むことができるのは、モバイルSuicaのみです。
Apple PayやGoogle PayのSuicaユーザーがグリーン車を利用する際には、磁気券を事前購入するか車内で購入しましょう。
5.【チャージ方法】モバイルSuicaのチャージ方法が最も豊富
Suicaへのチャージ方法も比較してみましょう。

最も多彩なチャージ方法を用意しているのが、モバイルSuicaです。
機能を一部制限した「EASYモバイルSuica」でしたら、キャリア決済によるチャージもできます。
Apple PayのSuicaにクレジットチャージする際、VISAブランドは利用できないので注意してください。

ちなみに、駅でチャージをする際に自動券売機・多機能券売機ではチャージができず、ピンク色のチャージ専用機でしかチャージできません。
6.【オートチャージ】モバイルSuicaのみ可能

Suicaの残額が設定した残額以下になると、改札利用時に自動的に設定金額チャージしてくれる便利な機能、それがオートチャージです。
・ Apple PayのSuica:できない
・ Google PayのSuica:できない
ビューカードを紐づけしたモバイルSuicaのみ、オートチャージが可能
です。
Apple Pay・Google Payでオートチャージを利用するには、モバイルSuicaのダウンロードが必要となります(Google Payは年会費がかかる)。
モバイルSuicaのダウンロードをせずにApple Pay・Google PayのSuicaを利用する際には、リマインダー機能を活用するといいでしょう。
7.【カードタイプSuicaからの移行】Apple Payはデポジット返却手続きが不要
と考えている人も多いでしょう。
カードタイプのSuicaを発行するには500円のデポジットを支払いますが、携帯端末で使えるSuicaに移行した際のデポジットの扱いも異なります。
・ Apple PayのSuica:デポジットがチャージされた状態になる
・ Google PayのSuica:窓口で手続きが必要
カードタイプのSuicaからApple PayのSuicaに移行させると、500円がプラスされてチャージされた状態
となります。
この500円は、言うまでもなくデポジットです。
モバイルSuica・Google PayのSuicaに移行した際は自動でチャージされず、デポジットを返金してもらうにはカードを持ってみどりの窓口へ行かなければなりません。
8.【改札通過の手間】Apple Payはエクスプレスカード設定が必須

Suicaを使って改札を通過する際、手間取っていては混雑の原因となります。
改札通過の手間について、3つを比較してみました。
・ Apple PayのSuica:本人認証作業が必要
・ Google PayのSuica:スムーズに通過
Apple Payでスマホ決済をするためには、Touch ID(指紋認証)やFace ID(顔認証)が必要で、これで手間取る可能性が高いです。
それを避けるため、Apple PayのSuicaにのみ搭載されている機能が「エクスプレスカード設定」です。
対象のSuicaを設定するだけで、本人認証作業を省略できるため、改札通過だけでなくスピーディーな買い物に欠かせません。
9.【電池切れ・電源オフ時の利用】Apple Payはバッテリーのピンチに弱い
携帯端末は電池が命です。
電池切れの状態でも使えるか、電池切れに備えて電源オフの状態でも使えるか、比較してみましょう。
・ Apple PayのSuica:電池切れでも使える(条件付)・電源オフでは使えない
・ Google PayのSuica:電池切れでも使える・電源オフでも使える
電池切れであっても、
わずかにバッテリーが残っている状態(電源は入るがすぐに切れる状態)であれば、モバイルSuica・AndroidのSuicaは利用可能です。
Apple PayのSuicaが電池切れの場合、iPhone XS以降の端末であれば、「予備電力機能付きエクスプレスカード」機能によって、前述のエクスプレスカード設定をしたSuicaを最大5時間利用できます。
電源をオフにするとApple PayのSuicaは利用することができませんので、改札口の係員に申し出てください。
10.【JRE POINT】貯めるにはモバイルSuicaが最もシンプル!

これまで、利用しても基本的にポイントが貯まらなかったSuicaでしたが、2019年10月よりSuicaでの鉄道利用でJRE POINTが貯まるようになりました。
・ Apple PayのSuica:貯められない・使えない
・ Google PayのSuica:貯められない・使えない
モバイルSuicaならば、
JRE POINT WEBサイトで登録をするだけで、JRE POINTを貯めることも使うこともできます。
さらに、モバイルSuicaでオートチャージ・定期券の購入などをすると1.5%分のJRE POINTが、鉄道利用で2%分のJRE POINTが貯まります。
Apple Pay・Google PayはJRE POINTを貯める&使う際にモバイルSuicaが必要です。
モバイルSuicaをダウンロードしておくと便利!
モバイルSuica・Apple PayのSuica・Google PayのSuicaの比較結果を、簡潔に表にまとめました。

結論から言いますと、
です。
・ 現在のところ年会費がかかる可能性がある
・ カードタイプのSuicaから移行の際に、窓口に行かないとデポジットが返却されない
Apple Pay・Google PayのSuicaでも使えないことはありませんが、モバイルSuicaと組み合わせることで利便性が増します。
気になる年会費も、ビューカードを持っていれば年会費無料ですし、支払ったとしても現在のところは年会費相当のJRE POINTが付きます。
Apple Pay・Google PayのSuicaで使えない機能(オートチャージ、Suicaグリーン券の購入など)を利用したい方は、モバイルSuicaのアプリをダウンロードしてください。(執筆者:角野 達仁)