今年の夏頃からノマドと呼ばれる職種の人たちを中心に、ジョージアという国の話題が頻繁に登場するようになっています。
以前はグルジアと呼ばれていた旧ソビエト連邦のジョージアが、どうして急に注目を集めるこにとなったのでしょうか。
その理由は大きく分けて3つあり、滞在ビザが365日免除であること、法人の設立が極めて容易であること、そして税制面でのメリットが大きいことです。
多くの日本人にとっては、ほとんど未知な国であるジョージアについて、どのような国であるのか、法人設立の具体的な要件、税制メリットの内容などをまとめて紹介します。
目次
ジョージアとはどのような国なのか

ジョージアという名前を聞いて、皆さんが最初に頭に思い浮かべるのは、コカ・コーラ社が発売している缶コーヒーのブランド名か、もしくはアメリカのジョージア州でしょう。
すぐに国名のジョージアだと思った方は、ごく限られていると思います。
ジョージアは南コーカサス地方の国のひとつで、ロシアの首都モスクワから真っすぐ南に位置し、黒海とカスピ海の間にあり、トルコやアゼルバイジャンとも国境を接しています。
北海道よりも小さな面積の国で、人口は370万人しかいません。
歴史的には紀元前3世紀ごろから存在しているものの、ギリシャとイスラム諸国、オスマントルコ、そしてソ連に支配されていた期間が非常に長い国です。
特産品として有名なのはジョージアワインで、赤みがかった白ワインであることからオレンジワインとも呼ばれ、なんと8000年以上ものワイン生産の歴史があります。
地中に埋められた壺で熟成される独自の技法が、ユネスコの無形文化遺産として世界遺産登録されています。
ビジネスの始めやすさランキング常連国
ビジネスの観点からジョージアが話題になることは稀ですが、ビジネスの始めやすさの世界ランキングでは10以内に入る常連国です。
・ 外国人でも1人で法人設立可能
・ 登記費用が諸経費を含めて1万円以下
など、日本や諸外国と比較しても圧倒的に低コストでビジネスを始められます。
さらに、法人登記は通常3日程度で完了しますので、登記にかかる期間の短さも評価されています。
ジョージアの法人は、事業を行うための会社として利用できることは当然ですが、不動産投資の名義として不動産保有会社のような活用方法もあります。
海外投資では個人名義よりも法人名義の方が、経費計上などの点で投資効率が高まるのです。
個人投資家にとって魅力的なジョージアの税制
ジョージアは
を持っています。
外国人からの投資を求めているジョージア政府が、税制面でのメリットを数多く用意しているためです。
少しずつ税制が改正されて数年後にはメリットが薄れていくことが予想されますが、現段階においては、個人投資家にとって非常に魅力的な税制となっています。
ジョージアの税制の基礎解説
まず、ジョージアの税制に関する基礎的なことから解説を進めます。
ジョージアではシンプルで分かりやすい税制を採用していて、所得税には累進課税がなく、どれだけ所得が大きくなっても税率は一律で20%です。
日本の消費税にあたるVAT:18%
資産税:最高で1%
物品税と関税:商品のカテゴリーごとに異なる
実は、ジョージアには以上の6つの税金しかありません。
誰でも簡単で分かりやすい税制にすることで税金を集めるためのコストを下げており、企業や個人にとっても税額を計算する時間とコストを大幅に削減できるメリットがあるのです。
日本の確定申告の複雑さと比べると、あまりにも大きな差を実感します。

仮想通貨の利益が非課税
ジョージアは仮想通貨トレーダーのなかでは少しだけ有名な国です。
マイニングという仮想通貨の正当性を確認する作業を行うボリュームが、中国に次いで世界で2番目に多いのがジョージアだからです。
また、ジョージアの土地の登記簿の管理には、仮想通貨と同じブロックチェーンが使われています。
このような仮想通貨の先進国であるジョージアでは、仮想通貨トレードによる利益が非課税で、一切の税金が発生しないという驚きの税制です。
日本で「億り人」が話題になっていた時代にジョージアの現在の税制が施行されていれば、多くの仮想通貨長者たちがジョージアに移住していたかもしれません。
不動産投資の家賃収入が非課税
ジョージアは仮想通貨だけではなく、なんと不動産の家賃収入が非課税です。
不労所得の代表格である不動産投資は、日本では高額な税金が発生する投資ですが、ジョージアでは借り手から受け取った家賃は全額、資産として手元に残ります。
既に日本で不動産投資をされている方は、家賃収入に対する税負担がないことがどれだけ利益率を高めることができるのかは容易に想像できるでしょう。
海外所得が非課税の制度もある
海外からの起業家を集めるための施策として、ジョージア政府は、
も設けています。
これは法人設立後に別途申請が必要なものですが、うまく活用することができれば、前述の通り低コストかつスピーディに登記した法人を使って、資産運用に利用することも可能です。
ジョージアは新たなタックスヘイブンか
ジョージアの魅力について早くから気付いていた人物のひとりは、現アメリカ大統領であるトランプ氏です。
政治家になる前は実業家として不動産で名をはせたトランプ氏は、以前からジョージアにトランプタワーを建設することを発表していました。
現在は大統領となってしまったためロシアへの配慮から建設計画が宙に浮いた状態となっていますが、地理や歴史、そして市場の将来性などについて予見していたようです。
ジョージアの税制の優位性をうまく活用すれば、投資の分野でもさまざまな資産運用モデルを生み出していくことが可能でしょう。
まだ注目され始めて間もないため、日本の税法との兼ね合いを検証した十分なデータはありませんが、ハイリスクハイリターンを求める投資家が最初に飛び込んでさまざまな事柄についての検証作業を進めています。
今後しばらくは、ジョージアという国について注目しておく必要がありそうです。(執筆者:斉田 暁)