毎年2月中旬から1か月の間は確定申告が受付されています。
2020年では、2月17日(月)から3月16日(月)が確定申告の期間です。
通常なら会社が年末調整を行ってくれるサラリーマンでも、住宅ローン控除や医療費控除、最近ではふるさと納税など、確定申告を利用する方が多くなりました。
しかし、確定申告は1年に1度しかありません。
書類の準備も複雑なものが多く、なかなか覚えられないこともたくさんあります。
さらに、2月や3月は年度末であったり、新生活の準備などで忙しい時期です。
引越しなどの関係でなるべく早くに提出したい、という方も多いのではありませんか。
そこでこちらの記事では、確定申告にまつわる意外と知られていない話を5つ取り上げたいと思います。
筆者が実際に経験した内容も一緒にご紹介します。
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目次
1. 確定申告の書類は期間前に提出することができる
確定申告の申告期間は、だいたい毎年2月半ばから1か月間と定められています。
しかし、この期間前でも、1月4日以降であれば税務署は確定申告の書類の受付を行っています。
3月など、年度末に時間が取れない方でも、1月中に前もって提出することが可能です。
しかし、事前に申告する場合には以下の点に注意しましょう。
事前にお住まいの管轄税務署に問い合わせを行うこと
まずは事前にお住まいの管轄税務署に「期間前に確定申告をやりたい」と問い合わせをしましょう。
筆者が実際に管轄税務署に問い合わせをした内容によれば、
期間前でできることは
・ 電話での申告方法などの問い合わせ
だけです。
税務署に行って書類作成し提出したい場合は、職員が少ないため対応不可だそうです。
お住まいを管轄する税務署によって対応が違う可能性もありますので、実際に税務署に行く前に「可能かどうか」を問い合わせすることをおすすめします。
期間前に申告ができないものもある
さらに、申告内容によっても対応が変わるそうです。
筆者が問い合わせした際には、
期間前に申告可能なものは
・生命保険控除など
で、場合によっては期間前に申告ができないものは
・不動産所得など
であると言われました。
こちらも、やりたいと思っている申告内容を事前に問い合わせして、申告可能かどうかを確認してみましょう。
2. 育児休業中は会社員でも確定申告が必要になるかも
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育児休業中の方に注意していただきたいお話です。
育児休業中の社員の年末調整をするかしないかは、会社の任意で決められるそうです。
そのため、やってもらえない場合は個人で確定申告をする必要があります。
筆者の会社がまさにそうでした。
しかも筆者の場合は、発行された源泉徴収票に年末調整済みの記載がなかったので、自分から会社に問い合わせたところ初めて発覚しました。
会社からの通知はありませんでした。
申告する年に「産休に入るまでにある程度の給与所得」があり、かつ年末調整されているかどうか分からない方は一度会社に確認してみましょう。
3. 確定申告中に引っ越しがある場合は何に注意すればよいか
2月、3月は新生活や引っ越しの時期です。
確定申告期間中に住所が変わる場合、何か注意することがあるのでしょうか。
筆者は2月に引っ越しの予定があります。
こちらも税務署に問い合わせして確認してみました。
考え方としては、
「確定申告を行った時の住民票のある自治体」に納税するのが原則です。
つまり、確定申告した時点で引っ越しをしていれば新しい住所の、引っ越し前ならば今の住所の自治体に納税するということになります。
引っ越しによって納税地が変わった場合、なるべく速やかに「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出手続」を転居前の管轄税務署に提出する必要があります。
ただし同じ市内での引っ越しなど、自治体が変わらないという場合には、基本的には何もしなくてよいそうです。
(※ネットでは「住所」が少しでも変われば必ず提出しなければならないという情報もありました。
必要なら、お住まいを管轄する税務署に問い合わせしてみてください)
住民税の場合は、「その年の1月1日に住んでいた住所」に納税となります。
例えば、2019年分の確定申告の場合は、2020年の1月1日に住んでいた場所になります。
住所変更や上記の「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出手続」などの手続きが済んでいれば、6月頃に納付書が送られてきます。
「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出手続」は国税庁のHPでダウンロードもできます。
控えは返却してもらえないそうなので、自分で事前にコピーを取るか、受付印が押されたものが欲しければ、提出用と控用を2部準備して、1部返却してもらいましょう。
4. 忘れがちなセルフメディケーション制度は2021年まで
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セルフメディケーション制度とは、医療費控除の特例として創設されたもので、「健康の保持増進及び疾病の予防への取組」に行った人を対象に、指定された市販薬(スイッチOTC医薬品)を購入した金額が、世帯合計で1年間に1万2,000円以上であれば利用できます。
計算方法は主に医療費控除と同じです。
1年間で購入した市販薬の合計金額から1万2,000円を引き、その金額が課税対象となる所得から引かれて税金の負担が軽くなるしくみです。
医療費控除は、医療費を合計10万円以上支払った場合に使える制度なのですが、1年間で10万円を超えることが少ない人には、やや利用しにくい面があります。
そんな医療費控除の代わりになるものとしてセルフメディケーション制度が作られていますが、2021年12月31日までの限定制度であり、あくまで特例扱いとなっているのです。
セルフメディケーション制度を利用する場合の注意点は以下のとおりです。
・ 2021年12月31日までの特例措置である
・ 健康診断・予防接種・人間ドックなどを受けたことが証明できる結果通知書や領収書が必要
・ 控除対象となる医薬品を購入したことが分かるレシートなどが必要
医薬品1つ1つの金額は小さくても、1年分の合計となれば、気づかないうちに超えている場合もあります。
しかし、うっかり確認せずにレシートや明細書を捨ててしまい、申告が難しくなるケースも多いそうです。
せっかく税金が戻ってくるチャンスを逃してはもったいないですので、忘れずに確認してレシート等は保管し、きっちり申告するようにしましょう。
厚生労働省に問い合わせたところ、セルフメディケーション制度終了後は、それに代わるものが創設されるかどうかは今の時点では分からないそうです。
今後の動向に注目したいところです。
5. 副業の収入が20万円以上あれば確定申告が必要になる
筆者のように、会社に勤めていながら副業も行う人が増えています。
もし、年間で給与所得や退職所得以外の収入の合計が20万円以上である場合は、確定申告をしなければいけません。
不動産収入や株、FXなどの利益も合計20万円以上であれば確定申告しなければなりませんので注意しましょう。
雑所得や事業所得など、どんな所得になるかは事業内容によって変わります。
収入は20万円以上でも経費などを差し引けば20万円以内に収まる、という場合なら、確定申告は不要になります。
中には、副業の開業届を出していないので、確定申告をすれば開業届を出していないことがバレるのが怖いと思っている人がいます。
しかし、開業届が出されていなくても、特にペナルティはありませんのでご安心ください。
確定申告時に自動的に開業届を出したとみなされて処理されています。
状況によってもいろいろ変わります
筆者は毎年確定申告を行っていますが、いつも「この申告、去年はどうやってやってたかな?」と悩むことが多いです。
家庭の状況や自身の収入の増減など、微妙に申告内容が変わったりもしますので、税務署やサイトをたくさん参考にして確定申告を行います。
今回ご紹介した内容が皆さんの参考になれば幸いです。
正確に申告することが、結果的には一番早く済ますことができます。
何度も申告し直すことにならないよう、しっかり調べて確定申告に備えましょう。(執筆者:尋本 景子)