米国によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害で、イランは米軍のイラク駐留基地2か所をミサイル攻撃しました。
米国がすぐに報復しなかったためいったん事態は小休止していますが、今後に向けて、あらゆる可能性を想定しておく必要がありそうです。
米国とイランの衝突が日本の住宅ローン金利になぜ影響を与えるのか、不思議に感じる人もいるかもしれません。
しかし、全期間固定金利は長期金利を指標にしており、その長期金利は世界の市場動向に左右されるのです。
今回は中東情勢の先行きが読みにくいことから、想定される事態別に解説していきます。
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目次
米国とイランの関係が現在と同じような緊張関係を続けた場合
現在もそうですが、市場は先が見えない状態を最も嫌います。
故に、些細な出来事にも敏感に反応し、市場は上下に大きく動きます。
今回も、米国とイランがお互いを牽制し合う限りは、株価が上下し、長期金利も上下しやすい展開が想定されます。
しかし、日本の長期金利は絶対的な水準が極端に低いことから、トータルで見るとほぼ横ばいで推移するものと考えられます。
結果的に長期金利に連動する全期間固定金利は、現在の水準が続きそうです。
米国とイランが一触即発の事態となり緊張関係がさらに高まった場合
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米国とイランの軍事力には圧倒的な格差があるものの、中東地域での局地戦となった場合は予断を許しません。
仮に武力衝突となった場合、市場は総崩れとなり、世界経済全体にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。
このような展開となった場合、株価は下落、長期金利も低下することになります。(原油価格は急騰)
結果的に長期金利に連動する全期間固定金利は、現在よりも低下しそうです。
全期間固定金利利用者は世界情勢に細心の注意を
そして、今年最も注意しなければならないのは、11月3日に行われる米国の大統領選挙です。
米国のシンクタンクが今年最大のリスクは、米国の大統領選挙と発表している程のリスクと考えてください。
従って、大統領選挙前後の市場は大きく動く可能性があり、これが長期金利、そして全期間固定金利にも影響を与えることが想定されます。
ただし、長期金利が上下どちらに動くかは予測しにくいため、最新のニュースなどで世界情勢や市場動向を確認することをお勧めします。
今年も日銀はマイナス金利政策を継続する見込みで、日銀の政策に連動する変動金利の水準に、大きな変化はないものと考えられます。
全期間固定金利も現在の水準で推移する可能性が高いですが、市場動向に左右される側面を持っているため、ご注意ください。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)